碧落ラストコネクション


「はいっ!着きました〜黄の国!!」

オレンジタウンを出て暫く歩き、3人は黄の国へとたどり着いた。ベージュ色や茶色の淡いコントラストが綺麗に並ぶ建物。アクセントに黄色や金色が映える、オシャレな街並み。明るく落ち着いた雰囲気が特徴的だ。

「はいっ、じゃないわよ。大変なのはここからよ?」

「人目のつかない場所とか…ここが母国の僕でも知らねえよ…」

ゴールの見えない目的の難しさにマゼンタとソレイユは早くも項垂れる。対するシアンは超元気でやる気満々だ。

エメラルドストリートやオレンジタウンとは違って、ひとつの国として成立するこの黄の国は、いわゆる都会と呼ばれる場所だ。木製の建物が多く、赤・青の国と比べて争いの少ない、比較的平和なのが特徴で、観光客も多く人口は世界一。人混みの中でたった1人の行方不明者を探すのは無理に等しい。

「まずは情報収集からなのです!オレンジタウンの時と同じように、二手に分かれましょう」

「それは良いとして…もし私たちが先に見つけたらどうするの?アンタ、スマホ忘れたんでしょ」

夕日が沈む寸前のこの時間帯で合流するのは難しい。さらにシアンは連絡手段を持っていない。

「ソレイユくんが花火でも打ち上げればなんとかなりますよ〜」

「はあ?クソガキが持ってるのは爆弾でしょ?」

「な、何で僕が花火持ってるって知ってんだ!?」

「持ってんの!?」

ソレイユのポーチの中には、ダイナマイトだけではなく、煙玉やコンパクトサイズの花火がいくつか入っている。花火に関しては特に戦闘で使うわけでもなく、ソレイユが趣味で作ったものだ。
誰にも見せていないのに、何故シアンがそんかことを知っているのか。ソレイユはゾッとした。

「アンタ……花火なんていつ使うのよ」

「う、うるさいなあ!好きなだけだよ!」

「そうね、私も好きよ。美しいもの。今度打ち上げてちょうだい」

「お、おう…?」

てっきりガキだと馬鹿にされると思っていたらしく、ソレイユはマゼンタの意外な対応に固まっていた。するとシアンが何かを思い出したように口を開いた。

「あと、もし……もしもですよ?もし、もし、もしも、もし」

「もしもしもしもしうるせぇよ電話してんのか!!早く話せ!!!」

シアンはゴホンと咳ばらいをして言い直した。

「もし、お2人の正体がバレたり、命の危険を感じたらすぐに花火でも何でも打ち上げてシアンに知らせてください」

「……わかったわ」

「は?でもそんな事したら…」

「いいから行くわよクソガキ」

「うわっ、ちょ、オバサン!」

マゼンタに腕を引かれ、シアンと別れる。連絡の取れないシアンに、本当に花火で知らせる気か。そんな事をしたら、折角変装までしているのに、黄の国に自分達が来ていると宣言しているようなものだ。
ソレイユがそう考えていると、その表情から言いたい事が分かったのか、マゼンタが口を開いた。

「……危機的状況であることだけをアイツに知らせれば問題ないわ」

それに、自分達の正体がバレて命の危険に晒される等、もう既に戦闘が始まっている場合に限るだろう。そのため、花火で目立ってしまった所で大して変わらないのだ。

「場所なんて関係ない。アイツは“私たちのところ”へ、どんな時でも来るわ。……気持ち悪いくらい、一瞬で」

仲間になったのは最近だが、ソレイユは組織のリーダーの事を知らなさすぎている。マゼンタの言葉も、理解出来ないでいた。



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