#04黄の誘導 C
「「あ」」
ハーブと別れてから、シアンは他に何かないか探りに歩き回っていた。特に何も無いなと思い始めていた頃、マゼンタとソレイユに偶然合流した。
「いやぁ、偶然ですねぇ!まさか合流してしまうとは!」
「……そっちは有力な情報は手に入れたわけ?」
「はい!今回はかなり有力なはずなのです!多分!!」
自信満々に言いつつ自信なさげなシアンを怪訝そうに見るソレイユ。何度も思うが、最初に会った時のあの恐怖の感覚は幻だったのだろうか。
「……で、どんな隠れ家?」
「アレなのです」
シアンは先程ハーブが教えてくれた、いちばん高い木造の建物を指差す。その情報に、マゼンタは目を見開いた。
「……アンタにしては上出来じゃない」
「え?」
「あの建物、普通なら取り壊されるか、修復作業に進むはずでしょ。何でそのままなのかは掴めた?」
「いえ、そこまでは…」
シアンの返答にマゼンタは自信に満ちた表情を見せた。流石はスパイというべきか、自分よりも遥かに有力な情報を得ていたマゼンタを頼もしく思った。
「例の男…レモン・イエローが中断させてるらしいわ。レモンの能力は、“呪”…見えない結界とか張ってるかもしれないわね」
「能力……?」
マゼンタの説明の中に聞きなれないワードがあったのか、ソレイユは聞き返す。そんな彼にマゼンタとシアンはギョッと大きく目を見開いた。
「はあ!?アンタそんな事も知らないの!?!?」
「ソ、ソレイユくん……流石のシアンも知ってる常識ですぞ…!?」
「な、何だよ文句あんのかよ!」
シアンに言われたくねえ!と顔を赤くして言うソレイユに、マゼンタは呆れながらも説明した。
「能力ってのは、人間誰しもが持つ生まれながらの力の事。例え戦士でない、一般人でも持っている力よ。大体の人間が持つのは“治癒”の能力。世界の70%の人間がそうだと言われているわ」
なんでわざわざこんな事説明しなきゃなんないのよ!と文句を言いながら溜息をつくマゼンタ。ソレイユはそこまで当たり前の事だったのかと驚く。能力を持たない人間は存在しないらしい。
「勿論、ソレイユくんにも能力はあるのですよ〜?」
「ぼ、僕にも…?僕の能力って……?」
「知らないわよそんなの」
そんな世界の、人間の常識を知らなかった彼に2人は驚きを隠せないでいた。『人間は足を使い歩く事ができる』『人間は肺で呼吸をする』と同レベルの常識だ。例え彼がまだ幼い子供だったとしても、当然知っているはずの知識なのだ。
「ソレイユくんの部下いたじゃないですか。あの人たちも能力はあったはずなのです」
「えっ……あ…手から炎出したり、水とか出したりしてたかも……そっか、ああいうのがそうなんだ…」
「…………」
ここ数日ソレイユと共に過ごして来て分かった事は……
彼は嘘を吐くのが苦手な事、
知識量が致命的に少ない事だ。
彼がいつからテロリストになったのかは知らないが、これは本格的に教育が必要になるだろう。
「にしても“呪”って…正義側の人間として大丈夫なのかよその能力…」
「国は完全に彼を信じ込んでいるわ。おそらくあの建物の責任も、彼が負っているはずよ」
シアンはほう、と声を漏らした。その情報が確実なら、話は早い。
「ではお2人とも、変装を解いてください」
「は?」
「今夜は、とことん目立って暴れます。そして世界に我々の名を知らしめてやるのです!!」
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