碧落ラストコネクション


ボカーーン!!!!

「!?!?」

翌朝、1階から聞こえた爆発音で目が覚めた。

その不吉な音に、サルファーはソレイユかと思い大慌てで自室を出るが、隣の部屋からは自分と同じような反応をしたソレイユが出てきた。

「えっ…お前やないんか?」

「僕じゃないですよ!さっきまで普通に寝てましたし!!」

ソレイユでないなら一体誰が、と思ったその時、1階からマゼンタの悲鳴が聞こえた。

「なっ…まさか侵入者か!?」

「僕、念のため煙玉とか持ってきます!」

「頼むわ!!」

ソレイユは一旦自室へ戻り、サルファーは急いで階段を下りる。1階まで辿り着くと、紫色の煙がもくもくと台所を包んでいた。

「な、何やこれ!?くっっさ!!!」

台所に漂う謎の刺激臭に思わず鼻をつまむ。マゼンタは無事だろうかと辺りを見渡すと、床を這うピンク色の髪が見えた。

「サ、サル…ファ゙ー……」

「ど、どないしたんやマゼンタ!何があった!?」

鼻をつまんで四つん這いになるマゼンタを若干エロいなと思いつつも気になるのはこの紫色の煙だ。

「蛇が………ゔぇっ」

「マ、マゼンタ!!しっかりせぇ!!何や蛇て!!」

その時、サルファーの足にヌルっと何かが絡み付いてきた。その正体は、先程のマゼンタの言葉で言わずもがな…

「ギャアアアアアアアなななななななななななななな何でヘビィィイイイイィィ!!!!!!!」

そのキモさのあまり、呂律が怪しくなるサルファーの叫びにソレイユも急いで下りてきた。

「兄貴!オバサン!一体何が……ってヘビァァアアアァアアアア!!!!!!!!」

ムリムリムリムリと連呼して階段の手すりにコアラの如くしがみつくソレイユ。S級犯罪者が蛇嫌いとは何事だと言いたくなる、なんとも情けない様だった。

ソレイユはちょっとした抵抗なのか、煙玉を怪しげな台所へ投げる。ポンッ!という音と共にオレンジ色の煙が紫色の煙にまざっていく。煙が少しずつ晴れたと思えば、中からは白衣を着たハニーが出てきた。

「あっ、おはようございます皆さん。すみません…それ私の蛇なんです」

「な、何で蛇なんか持ってきてんのやお前!!オレが爬虫類全般無理なの知ってるやろ!!!!」(※S級犯罪者)

「え?何でって…朝食に入れようかと思いまして…」

「絶対アカン!!!」

ハニーに説教し始めたサルファーを横目に、異臭に耐えながら起き上がったマゼンタは台所へ入った。その目に映ったのは、紫色のドロドロした液体が入った鍋。

「ちょっ…ハニー、アンタ何よこれ」

「カレーです」

「朝から!?」

そもそもカレーは紫色なんかではない。魔界の食べ物と化したそれからは異臭が漂う。するとサルファーはハッと何かを思い出したように言った。

「ア、アカン…そういやハニーの奴、料理だけは出来ひんのやった…」

「何でもっと早く言わなかったわけ!?このカレーモドキどうすんのよ!!」

「で、でもハニーさん楽しそうに作ってたっぽいし…僕らが食べないと…」

漸く彼女が普通の生活を出来るようになったのに、悲しませる事はしたくない。ソレイユの心境に気づいた2人は、互いに頷いた。

「どうぞ召し上がれ」

いつもの席につき、テーブルに出されたそれに3人はゴクリと息を飲む。

「い、いただきます…!」

ソレイユが震える手で恐る恐る口に運ぶ。その刹那、彼は椅子に座ったまま後ろに倒れた。ガターーン!という音に3人は驚く。

「ソ、ソレイユーーーッッ!!」

「ダメだわコレ…絶対食べられないわ…!」

「そっ、ソレイユくんどうしたんですか!?」

ハニーだけはこの状況が分かっていないようで、白目のソレイユにあたふたする。その時、2階からシアンが下りてきた。

「おはよーなのです〜…」

「お前あの騒ぎの中よう寝とったな!!!」

「お?」

凄まじい爆音に微動だせず爆睡していたシアンは流石と言えよう。そんな彼女の姿を捉えたハニーは顔を明るくさせて駆け寄る。……カレー(?)を持って。

「シアン様おはようございます!あ、あの、よろしければ…これ、食べてください!」

ハニーは恋する乙女の如くカレー(?)を差し出す。どこの少女漫画やねんとポソリと呟いたサルファーのツッコミはマゼンタにしか届かない。受け取ったシアンはニコリと笑い、ハニーの頭を撫でた。

「シアンのためにわざわざありがとうなのです!スプーンもらえますか?」

「は、はい!どうぞ!!」

まさか食べる気か、とサルファー達は倒れたソレイユを横目にシアンに視線を送る。しかし、ヤバイカレーを前にしても全く動じないシアンに、もしかしたら、と期待を込めた。

「流石に朝からカレーはちょっとキツイので、半分こしませんか?」

「も、勿論です!」

「んじゃ、あーん」

「えっ?」

カレー(?)を一口分スプーンで掬ってハニーの口元まで持っていく。シアンはニコニコしたまま、サービスだと言った。

「(ハニー顔真っ赤よ…えっ、まさかガチだったりすんの?)」

「(あいつにそっち系の趣味はなかった筈やけど…)」

顔を赤く染めたまま、恥ずかしがりながらもパクリとカレー(?)を口に入れた瞬間、ハニーは後ろにバターン!と倒れた。

「あ、これやっぱダメなやつだ。サルファー、処理お願いなのです」

「ぅ俺かーーーーーーーーーーい!!!」

笑顔で礼まで言って、食べると思いきや作った本人に毒味させる………シアンを舐めてはいけない。マゼンタは改めてそう感じた。



#05 はちみつパンケーキ
──甘くて温かい、太陽の香り。



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