碧落ラストコネクション


モノ・トーンとの世間話を終えたのか、シアンが声を上げた。

「それでは!新メンバーが入ったところで、皆さんに目的のためのミッションを与えます!!」

突然の事にサルファー達は驚く。今までは新メンバー探しや生活費のために自由に動くというスタイルだったが、本来の目的…世界征服のために動くのは今回が初めてだ。

「モノちゃんとハニーで青の国について調べてください」

「わかりました!でも、どうして突然青の国なんか…」

「あ、いえただ単に故郷が今どんな状況なのか気になってるだけなのです」

「「………」」

いつも通りのシアンに呆れる。けれどマゼンタだけは、その言葉の本質を理解していた。

「(アンタがいつも、一番気に掛けている国…あそこは政府が色々とやばすぎるのよね…)」

ハニーもデータマン故に、青の国政府の情報は既にいくつか持っていた。それを踏まえて、現在の最新の情報を入手しろという事だろう。

「…了解しました。有力なデータを盗んでみせます!」

「おお〜!!頼もしいですねぇ、よろしくなのです!!」



***


カタカタと鳴り響くキーボードの音。PC内にはモノ・トーンが電脳世界を駆け巡っていた。

0と1が並ぶ、彩度の無い世界。モノクロの空間の中、ひとつのフォルダを見つけた。フタを開けると、見慣れた文字が出てくる。

“パスワードを入力してください”

こればかりは、ハニーだけでは難しい。

「モノ、よろしく」

《リョーカイ、マスター!!》

モノ・トーンは、フォルダのロックに手を翳す。脳内に組み込まれた情報を元に計算し、選ばれた12桁の英数字を入力していく。

“パスワードの入力に成功しました”

モノ・トーンの力の前では、セキュリティなど無いに等しい。

《侵入成功。マスター、どうしマス?専用のウイルスを解放しマスか?》

「ウイルスはまだ待って。データだけ記録してくれる?」

《リョーカイ》

モノ・トーンはそこに並べられた文字、画像、あらゆるものを記録していく。その内容は、驚くべき物だった。

《…マスター、コレは…このPCの主の現実世界も覗いた方がイイかもしれまセン》

「…!」

モノ・トーンにはAIが搭載されているため、自分で考える力も当然備わっている。そんな彼女が自らそう言うのは珍しい。今回は余程の事なのだろう。

「…お願いするわ」

《リョーカイ》

その後すぐに、モノ・トーンは侵入先の現実世界の窓へと近づいた。

カメラとマイクをハッキングし目に映ったのは、曇りがかった青い部屋。
スーツを着た大人達が、何かを話している。モノ・トーンは耳をすませた。

《例の件は順調か?》

《ああ。期待以上だ》

《これで、あの国も終わりだな。試しに別の場所で実験しよう》

“例の件”に、“あの国”…気になるワードが沢山出てくる。そして彼らは“実験”と言った。何か大きな計画を企てているのはまず間違いない。

《アメジストブリッジはどうだ》

《ああ、それがいい。あそこならフィリドール博士もいる…後始末が楽だ》

《成功確率は97%…本番が楽しみだな》

プツッとそこで映像が途切れ、モノ・トーンの視界は真っ黒に塗りつぶされた。恐らく、PCの主が電源を切ったのだろう。

「モノ、戻ってきて」

《リョーカイ》

あまりにも有力すぎる情報を、伝えない訳にはいかない。モノ・トーンは急いで引き返した。



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