B
-side 繋海
「お、おい…遥果、アレって…」
田中が扉付近を指差した。そこにはうちのクラスの女子数人に囲まれている北篠。
「えっ、北篠さんついに呼び出し?」
「ついにって?」
途中から会話に混ざった佐藤が興味津々だった。
「テストで遥果を差し置いて学園1位になってからかな…嫌がらせされてたんだよ」
「は!?それだけで!?でも俺毎回1位だったけど、何も無かったぞ…?」
「そりゃお前は男だしガリ勉だし。でも今はお前、モテるだろ?お前が順位落としてあからさまに落ち込んでるから、お前のファンは北篠さんが許せなかったんじゃね?」
あの人テスト前微塵も勉強してなかったし…と田中がさも当然のように言った。
お、俺のファン?まさかついにファンが出来たのか?って今はそうじゃなくて、それ俺のせいなんじゃ…。
「ま、当の本人に害は全く無かったみたいだけどね〜」
「は…?な、無かったの?」
佐藤が北篠の机の中を覗きこんだ。アイツは欠席期間が長すぎたから、机の中には大量のプリントが入っている。誰かがプリントをなくしたら、北篠の机から勝手に取るのがうちのクラスの習慣となっていた。
「あー、やっぱカラッポだ」
「全部盗られた…ってことか?」
「そうなるね〜…でも北篠さん、全然来ないから。意味ないよね」
たしかにテスト後は一度も授業に出ていないし、それまでも片手で数えられる程度しか見なかった。
「えっ…じゃあ、さっきの女子たちは……」
「痺れを切らしたんだろ。直接話した方が早いって思ったんじゃね?」
田中の言葉を聞いて顔が青ざめるのを感じた。
「おっ…俺、見てくる!!」
「じゃあ俺も行く〜!!」
「佐藤もかよ!?…俺はバイトだから帰るな〜…ってもういないし」
もし暴力なんかになったら大変だ。田中なんかは放ってそっちを優先だ。
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