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-side 繋海
「おはよう、田中!」
「え、誰」
翌日、教室で親友の田中にいつも通りの挨拶をした俺。するとなかなか酷い返事が返ってきた。
「オレだよ!オレオレ!」
「オレオレ詐欺…」
「ちげえよ!遥果だよ繋海遥果!!」
「は!?お、お前遥果!?」
田中は目がこぼれ落ちるんじゃないかというくらい見開いた。その反応を待っていた!!!
「どうしたんだよモサ男じゃなかったのか!?少女漫画によくある実はイケメンでした的な!?」
「そうだ俺はリア充デビューするんだ!」
今日は朝から女子からの熱い視線を感じる。これはイコール、モテているということでは!?
俺をイケメンに変えてくれたあの謎の女に、改めて礼が言いたい。あの時は急いでて、まともに言えてなかったから。
アイツすげえし、もしかしたら田中のこともイケメンチェンジできるかもしれない。田中にもアイツのこと教えてやろう。
「実は田中にいい情報があるんだよ」
「あ?何だよイケメン」
「えっとー……あ」
言葉を発そうとして気付いた。俺、アイツの名前知らねえ…!!
「な、なあ!黒髪に銀のメッシュがいっぱい入った女!見た事ねえ!?」
「は?こんな進学校にそんなチャラい髪してるやつお前くらいだろ」
「だから俺の金髪は地毛だっての!!」
思い出してみると、アイツの容姿もなかなかのものだった。
少し癖っ毛で外ハネなセミロングヘア。
黒髪にいくつか銀のメッシュが入った特徴のありすぎる髪。
制服のブレザーの下に薄紫のパーカーを着ていた…ような気がする。
俺は小学4年生の頃からこの学園に通っているが、そんな目立つ格好の奴を何故今まで見たことがなかったのだろうか。転校生とか?
「一回でもいいから!見たことねえの??」
「だから、そんな特徴のある女、一回見たら普通覚えてるだろ。で、そいつがどうしたんだよ」
「……そいつに、イメチェンしてもらった」
「はぁ?」
自身の髪型的にも、コイツはヘアアレンジとか得意なのかなって思ったら、本当に上手かった。ていうか、普通の美容師とかより全然上手かった。
本人は慣れてるから…って言ってたけど、家が美容室とかなんだろうか。
「なんで急にイメチェン?」
「…小日向にフラれたから心機一転」
「はぁ!?告ったの!?あのモサ男が!?」
なんて失礼な奴だ。勇気を出して告ったんだ。頑張ったな、くらいの言葉をくれよ。
「なんていうか…その…ごめんな」
「しんみりすんなよ謝るなよ悲しくなるから!!!」
「まあでも、小日向さんも考え直してくれるんじゃね?」
「は?何で…」
田中は俺をまじまじと見ながら言う。
「だって…高校一年にして学園成績トップでバスケ部のエース、さらにはイケメン……完璧な男じゃん」
「か、完璧……」
そういえばそうだ。
モサ男と言われて16年、少しでも良く見せるためバスケは必死に練習した。
キモいと言われて16年、少しでも取り柄が欲しくて必死に勉強した。
怖いと言われて16年、売られた喧嘩には必ず勝てるように強くなった。
繋海遥果16歳
ついに!!その努力が報われる日が!!やってきた!!!!!
記念すべきモサ男卒業記念日!!!
みなさん拍手!!
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