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折角の初授業ということで、満喫してみることにした。
二時限目 数学
担任である高橋先生の授業は、授業スピードがやたら早いことで有名だが、個人的にはそんなことなかった。そして非常にわかりやすい。
三時限目 英語
教師は美人なアメリカ人女性の日本語ペラペラな先生、Ms.Nancy(ミズナンシ−)。隣のAクラスの副担任らしい。非常勤講師で顔を見るのは今日がはじめてだったが、私のことは知っていたらしく、私を見て驚いた様子だった。
四時限目 古典
珍しく豊島がいた。本人曰く古典は苦手という。賢い故に苦手教科なんて無いのだと思っていた。
五時限目 日本史
相上さんが仕事で早退していなかった。
そして教師は歴男でおなじみの秋岡先生で非常に嬉しかった。
理事長の仕事を終え暇人と化した私が暇つぶしに職員室へ遊びにいった時、秋岡先生から色々な豆知識を聞いたことがあった。私が小学生の頃から仲が良い先生だ。
その時から、秋岡先生の授業なら受けてみたいと思っていた。これは運命か、神様ホントに存在するならありがとうございます、まじげ。
六時限目 美術
やたら胸のデカイ先生だった。特に美人なわけでもないが、とにかくデカパイだった。男子の目線が明らかにそこに向いていた。
そして繋海が超絶画伯であることが判明した。完璧男にも欠点があったのか……。
七時限目 現代文
眠いと評判の鬼田先生の授業だった。
クラスの半分の頭が船を漕いでいた。
厳ついプロレスラーのような見た目の癖に声は優しいトーンで、眠くなるのも無理はない。私も寝てはいないが途中ちょっとやばかった。
なるほど流石進学校、先生もなかなか良い人を使っている。そして放課後には屋上から帰ってくる豊島がかなりのサボリ魔である事も実感した。
「どうだった?初授業」
豊島がニヤニヤしながら聞いてくる。その顔は癖なんだろうか。いつもニヤついてる気がする。
「流石進学校と思いました」
「高橋先生早くなかった?」
「そう?普通じゃない?」
「アレが普通…?もしかして北篠、数学得意…?」
「そんな事はない」
数学は別に得意ではない。というより勉強自体そんなに好きじゃない。秋岡先生の日本史なら好きだけど。
「てか、突然イメチェンした繋海…アレ、北篠がやった?」
「Yes.」
「やっぱり」
豊島は私がヘアアレンジやヘアメイクが得意なのを知っている。豊島の髪で遊んだこともあった。…アフロにしたりして。
「玄米茶好きなんだ?」
「抹茶がいちばん好きだけどね」
「え、そなの?」
「そなの。」
というかお茶が好きなんだ。理事長室でお茶の飲み比べする勢いで好きなんだ。ジュースとかよりも、お茶派。
「ふーん……今度奢ってやる」
「………嘘くさ」
「マジだって」
だって顔がニヤついている。何か企んでいるようにしか見えない。ファミレスのドリンクバーの飲み物を全て同じグラスに入れてとんでもない物を作る男子高校生のような顔をしている。
「まじげ?」
「げって何だよ…まじげまじげ」
「……ゴチになります」
「…ん、オレ有言実行な人だから。じゃーな」
豊島はドヤ顔を残して帰っていった。
常にニヤついた顔…略してニヤ顏な人間がドヤ顔してもあまり決まらないのが分かった。
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