教室にみんなが戻っていく中私はある人物に声をかける。
「『爆豪』!!」
「あァ!?」
「次は…次は絶対に勝つ!!私あんたより強いんだから!!!絶対!!」
「ハっ…そうかよ、やれるもんならやってみろよ。オレもテメェを上からねじ伏せてやらァ!!」
どこか暗い表情だった爆豪だが、私がそう宣戦布告をすると水を得た魚のように活き活きとした表情に戻ったが私はそんなことしったこっちゃない。
私は絶対に爆豪に負けない!!
教室に戻ると沢山の人が私を囲んだ。
「ねぇねぇ、君って『砂』の個性??すごい結果だったね!」
「てかあの爆豪に宣戦布告?するとかめっちゃかっこいい!!」
「なぁなぁ、お前俺の事覚えてるか!?入試ん時助けてくれただろ??同じクラスでよかったぜ!あんときは本当にありがとうな!!」
「俺、砂像さんの個性見てすっげぇ感動しちまった!!今度メシ行かね!?」
最初に声をかけられたのは…透明?制服だけが浮かんでいるが女の子の声がする。
そして全身ピンクのハイテンションな女の子、そして入試の時に会った赤髪の男の子と金髪の男の子。
それ以外もカラスみたいな顔をした男の子や、無駄にキラキラしている男の子、普通そうに見えて大きなしっぽがある男の子、カエルみたいな女の子が話したそうに近寄ってくる。
好奇の目を向けられるのも話の中心になるのも、人と話すのも私は好きじゃない。
小学校中学校と、それとなく避けてきた。最初は話しかけられてたものの、数日経つとみんな私がそういうのを好きじゃないと悟ってか、はたまた失礼な態度に幻滅してか、興味をなくしたように言い寄ってこなくなる。きっと
いつものように私は言い放つ。
「私は誰かと馴れ合いたくてここに来たんじゃない。私にかまわないで」
今日はもう授業もHRもないらしい。そのまま帰っていいということなので帰る準備をして席を立つ。
クラスの子の視線がいたいが、これも数日の我慢。
鞄を持って廊下に出ると、壁に寄りかかって腕を組む担任がいた。
「お前はこのまま生徒指導室だ」
「え!?なんで!」
私の為にここにいたというのか。コワい。
というか私何かしでかしたっけ?してないよな…
もしかしてやっぱり除籍にするとか…?
「はァ、お前今朝遅刻しただろ」
忘れてた。
場所は変わり生徒指導室。
机の前に作文用紙が用意される。
「で、今日はなんで遅刻した?」
「‥‥」
「いいか、俺は同じことを言うのは嫌いだ。時間は有限。黙ってないでさっさと話せ」
「…寝坊、した」
「なるほど。次遅刻したらそれ相応の罰を与えるからな。今日のところは反省文だ。ちゃっちゃと書け。書き終わったら提出な。期限は今日まで。提出せずに帰れると思うなよ」
俺は職員室にいるといい残し生徒指導室に一人になる私。
…こんなの書くの初めてだ。早く終わらそう。
30分もしないうちにかき上げる。我ながら上出来だ。反省文なので上出来も何もないけれど。
「砂像か」
早く帰りたいので急いで職員室へ向かう。
担任は私が来たことにすぐに気が付いたようだ。
見せてみろ、と言われたので一枚の作文用紙を渡す。
『二度と遅刻しません。反省してます』
そう二言つづった作文用紙は一瞬にしてゴミ箱へ投げ捨てられた。
「ふざけてんのか?」
この担任コワい。
一枚目に渡した紙はダメもとで書いたものだったので(あれで許されたら今後もそうしようとした)次にしっかりと書いたほうを渡す。
「…最初っからこっち渡せ。合理的じゃない」
一通り目を通した担任。それをファイルにしまったのできっとこれでいいのだろう。
しかし担任はまだ私に話があるように見てくる。
「砂像、お前が本気でヒーローを目指しているのは分かった。だがプロになればチームアップ要請がある。他事務所のやつらと連携をとり敵を捕まえたりすることだ。今のお前は確かに他の人より強いかもしれないがいずれそういったコミュニケーションをとることも大切になってくる。少しずつでもいいからクラスのやつとぐらい話せるようになれ。お前のその態度はいずれ壁になってくる。世渡り上手になれ」
「‥‥はい」
目の前の担任は本気で私のことを考えて言ってくれた言葉だとすぐに分かった。
大人のいうことにすぐに従うのは癪だけど少し考えを改めよう。
「Hey!Hey!リスナー!!お前あれだよな、ドッスン個性なしで倒したやつ!!受験番号8112!!」
後ろのドアが開いて入ってきたと同時に大きい声が職員室に鳴り響く。
プレゼント・マイク…
受験番号まで覚えてたのか。
「お前スゲーな!どこであの戦闘能力培ってきたんだァ!?もうオレあれよ、お前が0P敵倒したところ見た瞬間Yeah!って言っちゃった!!なんであいつ倒そうと思ったんだァ?」
「0P敵…?」
あまり会話する気はなかったが、覚えのない言葉に勝手に口が反復してしまう。
「は?お前もしかしてあれかァ?0P敵だって理解せずに倒したのか??でっけぇやつだよ!試験の最後らへんに出現した」
「!!!」
そう言われて思い出した。そうか、私はあいつをかなりの高得点だと思って倒したが0Pだったのか。足止め食らって時間食ってさらには0Pと戦ってタイムアップになったのか。
私よく合格できたな。そう改めて思うと顔が真っ青になっていくのがわかった。
「図星かよ!!説明ん時にちゃんと言ったのによ!あんなに強ぇのにお前実は忘れっぽいおっちょこちょいなところあんのな!!」
「‥‥合理性に欠ける(つーことは入学前俺に会ったことも覚えていないのか?)」
「ま、これから俺はお前たちの事しっかり見ていくからよ、プロヒーロー…目指そうな!」
そう言って私の頭をわしわしと撫でるプレゼント・マイク。
この人の手…めちゃくちゃ暖かい。わしわしと豪快なのになんだか心地よくなる撫で方…って…
「私に…っ…触らないで、くだっ!さい…!!」
大人は嫌いだ!!私に触れるな!!危うく流されそうになってしまったがちゃんと威嚇できただろうか。目をそらさず威嚇のポーズをとる。
先ほど世渡り上手になれと担任から言われたばかりなのでしっかりと敬語で返したつもりだ。
「…!っく!!」
「はいはい、分かったから今日は早よ帰れ」
急に顔を背けて肩を震わすプレゼント・マイクとわかったわかったと言いながら頭をポンポン撫でながら背中を押す担任。この撫で方は…!プレゼント・マイクとは違った心地よさにもっと撫でてほしいと思ってしまった。
「っ!だから…!触るなって…!」
背中を押す担任を睨むように後ろを振り向くと同じように口元を抑え後ろを向き肩を震わせている担任。
なんだかこの光景気色悪いのでさっさと帰ろう。