入学二日目
今日は普通に起きれた。
二日連続遅刻は免れそうだ。
ちなみに私は昨夜、父上と母上にその日の出来事を報告した。
友達ができたことを話したら雄英合格時よりも喜んでいた気がする。
父上と母上がここまで喜んでくれるのならば友達という存在もそんなに悪くない。
雄英の午前は必修科目、普通の授業午後はヒーローに向けての授業らしい。
普通に起きれたのはいいもののやはり眠いものは眠い。
一時間目、二時間目はプレゼント・マイクによる英語の授業だった。
彼はことあるごとに私を撫でてこようとして常に警戒し、威嚇するのが大変だった。
最後のほうは力尽きた私をいいように好きなだけ撫でるプレゼント・マイクの手に気持ちよくなりいつの間にか寝てしまっていた。
三時間目、四時間目と時間は過ぎ、お昼になった。
「砂子ちゃん、昨日私たち変なこと言っちゃったかな…?ごめんね」
「砂像が私たちのことどういう風に思ってるか知んないけどさ、やっぱりせっかくだから仲良くなりたいなぁなんて…」
昨日突っぱねてしまった透明の子とピンクの子。
「こちらこそ、言い過ぎた。ごめん」
担任にあんなことを言われたからじゃない。緑谷達と出会い、少し気持ちが変わったからだ。
人間話してみないとわからないこともある。もしかしたら
「今更だけど…これから、よろしく。砂像砂子で、す…」
自分の発言がクラスに響いてることに気づき恥ずかしくなってどんどん声が小さくなってしまう。顔も暑い。
気づいたら私の周りにはほとんどのクラスメイトがいて、彼女らは喜んでいた。
そして気づくと始まった自己紹介。
透明な子は葉隠、ピンクの子は芦戸、入試の時に助けた子は切島、金髪の子は上鳴。
蛙の女の子が蛙吹、カラスみたいな顔をした子が常闇、大きなしっぽを持っている子が尾白、キラキラした子が青山‥‥瀬呂と峰田に砂糖、障子、口田。‥…こんな一気に紹介されて私覚えられるか?いや、無理だ。せめて顔だけでも覚えとこう。
見渡すと、名前を聞いていない二人の女の子とこちらを一瞥したツートンの子。そりゃそうだ、昨日の今日だ。虫が良すぎる。
私を許す許さないは彼女ら次第だ。それにそれくらいわかりやすい方が私は逆に好きだ。
仲良くなるかは別として。私が嫌いなのは人ではなくてきっと偽りの世界なのだ。
自己紹介をしてきた子たちは素直に私に好意を向けてくれた。そこにウソは感じられなかったからこそ今こうして受け止められたのだろう。
「なぁ!砂像!!一緒にお昼食べねぇ!?」
そう誘ってきたのは切島…?だったけ、そんな名前の人と上鳴?
心が変わったからと言ってすぐに行動が変わるわけではない。私はそんな完ぺき人間じゃない。
今まで人にご飯を誘われたことがなかったのだ。
「い、い…一人にして」
私は緑谷に言えないくらい顔を真っ赤にしてお弁当をつかみ教室から逃げた。
「今の見たかよ」
「やっべ、めっちゃ可愛い…」
断ったにも関わらずそんなことを二人が言っていたのは私は気づかなかった。
そして午後の授業が始まった。
「わーたーしーがー!!普通にドアから来た!!!!」
メディアで彼の名前を見ない日はない。
ドアから元気よく入ってきたのはオールマイト。
彼の登場だけでクラスは盛大に盛り上がった。
そして言い渡される今日の授業内容。
“戦闘訓練”
元から戦闘経験はあるので緊張だったり楽しみという感情はそこまでないが、私はあることに気が付き心の中でメラメラと燃えていた。
これは…爆豪を合法的にギャフンと言わせるチャンス!!
でも私は強いし爆豪は戦闘経験なんてないだろうし多少は手加減してあげようかな、なんてルールも何も聞く前に考えていた。
そんな私の視線に爆豪も気づいたのか一瞬こちらを見たが彼もまた自信に満ち溢れた顔をしていた。
「恰好から入るってのも大切なことだぜ少年少女!!自覚するのだ!!!!今日から自分は…ヒーローなんだと!!」
コスチュームに着替えグランドβに出る。
皆のヒーローコスチュームはなかなか凝っていて、中にはロボットみたいに顔面が隠れていて誰なのかわからない人もいる。
私は体を砂にすることが多いからなるべく露出多めに。でもしすぎないように。それだけだと怪我の心配や多少恥ずかしさもあるので上から軽く羽織れる大きなパーカーをお願いした。少し忍び衣装と似ているが、それはそれで着心地がいい。
「ヒーロー科…最高」
足元からそんな声が聞こえて下を見たら緑谷に話しかけているブドウ頭。
その私の視線に気づいてか、ブドウ頭もこちらを向く。
「砂像…お前…そのパーカーの下どうなってるんだァ?ちょっとオイラだけに見せてくれよぉ…」
「峰田ちゃん、最低ね」
ああ、そうそう。峰田。名前が思い出せなかった。そんなにパーカーが気になるのか?
反応しようか、無視しようか迷っているところに蛙吹が舌で峰田を殴る。
「君らにはこれから「敵組」と「ヒーロー組」に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう!!状況設定は「敵」がアジトに「核兵器」を隠していて「ヒーロー」はそれを処理しようとしている!「ヒーロー」は制限時間内に「敵」を捕まえるか「核兵器」を回収すること。「敵」は制限時間まで「核兵器」を守るか「ヒーロー」を捕まえること」
オールマイトがカンペを見ながら訓練内容を説明する。
「コンビ及び対戦相手はくじだ!ちなみに1チームだけ3人になるね!増えたところが敵チームかヒーローチームか分かったところでハンデを言い渡すよ!」
そういうことか、とうことは爆豪と対戦するのは運…なんてこった!!!
そしてくじを引く自分の番がくる。
爆豪…爆豪…爆豪…爆豪…勝つ!!!!!
引いたボールは
(Iチーム‥‥)
「続いて最初の対戦相手はこいつらだ!!Aコンビがヒーロー!!Dコンビが敵だ!!」
オールマイトが「ヒーロー」と「敵」と書いてあるそれぞれのBOXに手を突っ込み引き当てたくじ。
Aチーム…緑谷と麗日。Dチーム爆豪と飯田・・・・・・・・・・やられた!!!!
初っ端から勝ちたい相手を取られた私は一気に気が沈む。
「あ!砂子ちゃんIチームなんだね!一緒だよ!!頑張ろうね!」
「葉隠‥‥私、勝つから」
「おお!頼もしい!!」
「俺も一緒なんだ、よろしくね」
「尾白君よろしく!!」
少し落ち込んでた私の隣にはいつの間にか葉隠と尾白がいた。
私は…馬鹿だ。今は戦闘訓練中。周りの仲間を見ようともせずただ奴に勝つことだけを考えてただなんて。前世で学んだではないか。こんなことしていたら自分も仲間も死ぬ。
今は爆豪のことは忘れてこのメンバーでどう戦うかがカギになってくる。
「敵チームは先に入ってセッティングを!5分後にヒーローチームが潜入でスタートをする。他の皆はモニターで観察するぞ!これはほぼ実践!怪我を恐れず思いっきりな!度が過ぎたら中断するけど…」
そうして始まった戦闘訓練。
緑谷は対戦相手が決まった時からすごい顔をしていた。
爆豪も緑谷とは反対の、ヤバい顔をしていた。
昨日からなぜか喧嘩ごしの二人…と言っても爆豪がふっかけているだけなような気もするけど‥‥二人には何があるのだろうか。
ヒーローチームが建物に入った瞬間爆豪による奇襲が始まる。
それをうまくかわす緑谷。
相手の動きを読んでいる…あんなに毎度自信なさげだったのにやるじゃないか緑谷…!
その後も何度もかわしその間に麗日が核の元へ。
爆豪には緑谷しか見えていないらしい。きっと今こうして冷静になれる時間がなかったら私も爆豪と同じことになっていただろう。
戦いは激化していく。爆豪の顔に少し焦りが見え始めた。反対に緑谷も辛そうではあるが最初の顔が嘘だったように目に見えて“勝ちたい”という気持ちが伝わってくる。
(ナルト‥‥)
もう二度と会えない元友人を思い出す。“元”なのは私が裏切ったから。
あいつはドベだなんだと言われて目の前の勝ち目のない相手にもこうして真っ向勝負を挑んでいき勝っていた。悔しい思いも沢山したけれど最後には絶対勝っていた。
緑谷なら…きっと勝てる。
爆豪がサポートアイテムをぶっ放し、注意を受けるがそのまま訓練は続行。
緑谷の前に着た爆豪は爆発で姿をくらまし背後に周り緑谷を爆発させる。
その後一方的に攻撃を受けていた緑谷だったが体制を整え爆豪に向かって走っていく。対する爆豪も緑谷に向かって走る。真向勝負か。と思った時、
画面から音が伝わってきそうな大爆発。
気づいた時には緑谷が爆豪の爆破を左手でガードし、緑谷の“個性”で天井を破壊していた。
そしてその粉々になった建物の破片を麗日が飯田に向かって放ち、その隙に麗日が核に触れそこで勝負は終わった。
「ヒーローチームWin!!!」
「負けたほうがほぼ無傷で勝ったほうが倒れてら…」
「勝負に負けて試合に勝ったということか…」
「訓練だけど」
なかなか見ごたえのある訓練だった。
そして見かけによらず爆豪は判断力もあるし、個性を微調整できるほどの才能マンらしい。
ツートンの子とヒーローコスチュームがすごい子が言っていた。
これは…倒し甲斐があるな…!