いよいよ明日は受験本番。
実際学校を決めるにあたってヒーロー科があるのならどこでもよかった。
しかしながら進路希望を決めるときに父上と母上が『雄英高校』をごり押しで進めてきたのだ。
ならばここに行く以外選択肢はない。
第一希望を雄英のヒーロー科、第二希望は雄英の普通科。
ヒーロー科以外私には選択肢はないのだが、さすがにそれは、ということで無理やり教師に書かされた普通科。
絶対に大丈夫だと思いながらも、やはり緊張はするものである。
なかなか寝付けないことに少しイラつきながら時計を見る。0時。
あまり褒められたことではないが、気持ちを落ち着かせるために少しランニングをしよう。
父上母上から離れ、受験の為に雄英高校にアクセスがいいからととったホテルから少し先にある海岸を目指す。
走って30分もしないでついたそこは暗くて少し怖いけど、気持ちを落ち着かせるのには充分だった。
「大丈夫、大丈夫…」
せっかくならほんの少し術の練習でもしよう。
夜中だし誰もいないし。ただ、市街地は近いので最小限で。
集中すれば時間の経過はあっという間だった。
そして私は重大なミスを犯すことになる。
「き、君の個性?…すごいね!水?あ、いや海水とか海かな…ブツブツ」
あまりにも集中しすぎててすぐ近くに人が来ていることに気づかなかったのだ。
なんたる失態。もしこれが前世ならば私はもうとっくに死んでいただろう。
深緑の髪の色をした同じ年くらいの少年は私の術を見るなり目を輝かせて私のこの“忍術”の考察を一人ブツブツととなえ始めた。
「あ、でも公的な場所での個性の使用は禁止されてるはずっ…!あ、ごめっ、注意とかそんなんじゃなくて…ってか急に話しかけたりしてごめっ、っそ、その個性があまりにもすごくてし、知りたくなっちゃって…」
「・・・・落ち着いて」
「ひゃ、ひゃい!!」
急に慌てだした少年を落ち着かせるべく両肩に手を置いて落ち着くよう諭すと今度は顔を真っ赤に染め上げた。
「…君、トレーニング中?」
「えっ!あ、はい!明日雄英高校の受験で…その、ヒーロー科で…こんな地味な僕がそういう風に見えないかもだけど…」
「私も、ヒーロー科・・・・君、強い目をしている。きっと大丈夫」
自信なさげにどんどんと下を向く目の前の少年にいつかの彼が重なってここに生まれてきてから他人に対してこんな人を思いやる言葉なんてかけたことなかったけど、自然と口に出していた。
その目は…姿形、しゃべり方性格・・・どれをとっても似つかないけど火影になると強い意志の持った金髪の少年を思い出した。
「へあっ・・・!?え、えっと…その、ありがとう…でも、僕まだ全然だめっ「また明日・・・・トレーニング邪魔してごめん」
これ以上彼を不安な気持ちでいっぱいにさせないためにも無理やり会話を切ってひらひらと後ろは見ずに手だけを振りつつ私はホテルへと走り出した。
試験当日
「今日は俺のライブにようこそー!!!エヴィバディセイヘイ!」
「(これは返したほうがいいのか?)・・・・へい」
シーーーーーン
大きな講堂に集められた私たちの前に現れたのはたまにメディアなんかで取り上げられているプレゼント・マイク。コールアンドレスポンスを求めるように耳に手を当てたのでそう返したのだがどうやら間違っていたみたいだ。
ここの人の感性はなかなか理解に追い付けない。なんて言い訳をしてみるがただただ
(・・・・・ハズい)
「ちっさ!やる気なっ!!!なかなかシヴィーがレスポンスありがとな!!受験番号8112ちゃん」
聞こえてたのか。
「さて、入試要項通り!リスナーにはこの後10分間の『模擬市街地演習』を行ってもらうぜ!!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習場へ向かってくれよな!!」
演習の内容はこうだ。演習場には仮想敵を三種多様に配置してありそれぞれの攻略難易度に応じてポイントを設けてある。それを何らかの形で行動不能にしポイントを稼いでいくらしい。
しかし配られたプリントには4種類の仮想敵の写真が印字されており、そのことについてほかの生徒から疑問の声が挙げられた。
どうやら4種目目の敵は0P。倒してもいいし倒さなくてもいい。いわゆるお邪魔虫的存在らしい。各会場に一体所狭しと大暴れしているんだとか。
「俺からは以上だ!最後にリスナーへ我が校“校訓”をプレゼントしよう。かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!『真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者』と!!
“Plus Ultra!!”(さらに向こうへ)それでは皆いい受難を!!」