入学前1

引っ越しの片づけも手続きもそれとなく終わり初登校日は明後日。
本日はぱっとしない曇り空が広がっているけど少し家の周りを散策しよう。

家の近くにはコンビニがあったりスーパーがあったり。本屋、マッサージ屋…とにかく何でもそろっている便利なところであることが判明した。
駅も徒歩15分。少し離れてはいるがこれと言って困ることはないだろう。
なんなら高校までは徒歩10分なのだから。

それなりに歩いて少し休もうと入った小さめの公園。
缶ジュースを自販機で買い、ベンチに座ると足元に私を見上げる小さな視線。
それは私ににゃあと鳴くとすぐ近くの木をひっかく。
可愛い。
でもそれは次第に何を意味しているのか分かってきた。
何度も私を見上げては木をひっかく猫。
その様子におかしいと思い軽く上を見上げるとかなり高い位置に足元にいる猫より一回り大きい猫。多分この子の親だろう。
人間を助けるのはあまり好きではないが、こういった可愛らしいものに助けを求められるのはうれしいものだ。それに、親を亡くす辛さを私は知っている。
この子はきっと不安でしょうがないだろう。猫だけど。
どうしたものかと私は考える。個性を使えば一瞬でとらえることはできるけれど…少し派手かな。見られたらやばいし。
なら木登り風にチャクラを手と足にまとわせて登って捕まえればいいか。
頭の中で考えを整理したら即行動。

「猫ちゃん、絶対親助けるからね。安心して待っててね」
足元の子猫を一撫でして木を軽々登っていく。いつかの修行を思い出させる光景だ。
確かあれは波の国で再不斬と殺りあった後だ。
チャクラのコントロールの為足だけにチャクラをまとわせできるだけ高い所へ登っていき降りる寸前にクナイで木に印をつける。…なかなか上達しなかったのになぁ。もう今じゃ呼吸をするくらい簡単なことになった。
木の葉を恨んでいるはずなのに昔のそういったことを思い出させてしみじみとしてしまうのはやはり第七班の影響が大きいからだろう。

木の真ん中あたりまで登ると次第に雨が降ってきた。傘、持ってきてないのにな。タイミングが悪すぎる。
チャクラでくっついてる足と手は滑る心配はないのでそんなことを考えながらまた歩みを進める。
親猫のところに到着するまですぐだったが、そのころにはすでに豪雨となっていた。

「おいで」

猫は震える足で私のほうに歩み寄ってくる。が、その瞬間猫の足は雨で滑ってしまい体が宙に浮く。とっさにチャクラ糸を出して猫を捕まえ引き寄せる。その拍子で足にまとっていたチャクラを切らしてしまい猫を腕に抱えながら今度は私もろとも宙にだけ出される形となった。‥‥‥はぁ、本当に私は忍びをしていたのか?思い通りにならない自分のバカさに嫌気をさしながら受け身の体制に構える。

地上まであと2m。
しっかりと受け身の体制になった私に巻き付く布。

「…え?」

そのまま私は引っ張られ真っ黒い服をきたおじ…お兄さん?の腕の中へ。

「怪我は?」
「ない…あんた、何?」

礼儀知らずと言われてもいい。すっかり言うのが遅れていたが私は大っっっの大人嫌いなのである。むしろ人が嫌いだ。私には父上と母上さえいればいい。
大人は信用ならない。簡単に裏切る。何を考えているのかわからないし、自分の利益だけで動く輩しかいないのだから。

布と腕から縄抜けの術で抜け出し戦闘体制を整える。

「捕縛布を……」
「私の事、助けたとか思わないでよね。あんたにこんなことされなくたってちゃんと受け身とれるし怪我なんてしないんだから。余計な事しないで。大人が…私に触るな…!!」

布から抜け出したことにより唖然として(見える)男に威嚇をする。
よくカカシ先生には猫がシャーって言ってるみたいであまり迫力ないって言われてたけど。
腕の中にいた猫は私の威嚇に驚いて逃げてしまった。

「あー…はァ…ま、怪我がないならいいが。あまり無茶はするなよ」

気だるそうにそういう男は私の雨で濡れた頭を一撫でして踵を返して消えていった。
その温かい大きな手の感触が冷えた体を温めるようにとても心地よかった。

「‥‥って!私に触るなァ!!!!」

もうだいぶ先に行ってしまった後ろ姿に向かってまたシャーと威嚇するが今度は振り返ることもなくいつかの私が深緑の少年にしたように片手をあげひらひらと手を振るだけだった。
く、悔しい。もう二度と会うことないだろうけど。いや、会いたくないけどここまで馬鹿にされるなんて…!

\Summer_Dive!/