イミテーションガーネット



白い肌に映える赤い石のピアス。
それはナマエが肌身離さず付けている宝物。
形のいい小さな耳に触れる時、伝わる金属の冷たさが好きだった。
血のように真っ赤な石は光を吸って反射して複雑に輝く。その輝きがナマエをさらに惹きたてていて、いつも目に眩しかった。
海賊というのは宝という言葉に弱い。聞けばたちまち胸を躍らせて、ガキみたいにはしゃぎだすものだ。おれにはそういった感覚が全くといっていいほどわからなかった。騒いでないで、獲るべきものは獲ればいい。そうすれば手に入る。
そう、手に入る。
手のひらの中に視線を落とせば、無意識に買っていた、ナマエの宝物を彷彿とさせる赤い石のピアス。
安物で、鈍い輝きしか生まないが、それはとても綺麗に見えた。
「へぇ、珍しい」
ナマエは目ざとくおれの変化に気付いた。
耳たぶにあるのは見慣れたゴールドではなく、シルバーの台座に鎮座する赤。
「色ものなんて付けるんだね」
「たまにはな」
「いいね、素敵」
そう言われて、ひそかにざわめいていた胸の内が落ち着いていく。慣れないものを身につけるのはどうも居心地が悪い。正直、鏡を見ることも出来なかった。おれにはどうもこの色が似合わないようで、見れば見るほど偽物だと感じてしょうがなかった。そして、その分ナマエの耳を彩る赤が本物なのだと思えた。どれほどの価値があるのかはわからない。聞いたこともなければ、興味もない。そこにあるのが当たり前で、それがナマエの一部だから。
「なんだかおそろいみたい」
目を細め、微笑みながらナマエが呟く。
おそろい、と聞いて急に頬のあたりに血が集まりだす感覚がした。
その場所だけ浮き上がっているような違和感は、不自然な熱を孕んでいて、そこでようやくガキみたいにはしゃいでいた自分に気づく。
願わくば、この熱が目に見える形で表れていませんように。

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