憧れの人



初めてナマエと会った時の印象は、背が高い、だった。
おれより三歳ばかり年上で、身長も二十センチは差があった。もしかしたらもっとあったかもしれない。あまり発育のよろしくないガキだったから、男のおれより大きなナマエを結構、かなり羨んでいた。
いつか絶対追い抜かしておまえを見下ろしてやる。生意気盛りの当時、そんなことをしょっちゅう言った。ナマエはいつも微笑ましそうに笑っていて、そんな余裕のあるところも羨ましくてしかたがなかった。
今思えばアホなことをしやがると小さな自分を殴ってやりたい気持ちになるが、そんな悪態をつくくらいにはナマエに夢中だったのかもしれない。
数年ぶりに再会した時の印象は、目線が近い、だった。
ほんの少し、本当に少しだけ、おれの方が背が高くなっていた。
ナマエはおれに大きくなったねと言って再会を喜んでいたが、おれも同じように返したくてしかたがなかった。
「もうちょい見下ろしたかった」
「ふふ、何言ってるの」
「でも、顔が近いのはうれしいな」
そんなことも言うようになったんだね、とナマエは笑う。
昔、必死に見上げたきれいな笑顔がすぐそばにある。それを見て、このままでも悪くねェと一人思った。

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