「焼肉食べに行こーか!」
突然、凩さんがそんなことを言い出した。どう考えても自隊の隊長に向ける目ではない目を向けると、「目!! その目やめて!!」と泣き出してしまった。え、泣きだしたよこの人。めんどくさあ。そう思いつつ名風ちゃんのほうに視線を向けると、先ほどの私と同じような目を凩さんに向けていて、これを二人から浴びせられて心の折れない凩さんは少しすごいと思った。やめる気はないけど。
とりあえず仕切りなおして、急になんですかと問うてみれば、「最近隊であんまり集まってないなあと思って…」と返ってきて、はてそうだったろうかと首を傾げる。思い返せば確かにそうだったような気もしなくもないような…と実に曖昧な答えを出して、「でもなんで焼き肉なんですか?」と名風ちゃんの問いにとりあえず同調した。確かに何故焼き肉なのだ。
「に、二宮に相談したら焼き肉が一番だ、って言われて……」
「………」
………それはあまり適任ではないのでは。
▽
「……あれ? 鳩原? じゃん?」
「え、………穂村?」
とりあえず凩さんについて焼肉屋に行くと、なぜかそこで鳩原と出会した。よくよく見れば犬飼や辻くんもいる。あと知らない女の子と、二宮さんも。二宮さん焼肉屋似合わなさすぎて笑えてくるんだけど。
どうやら凩隊と二宮隊で、親睦会(凩さん命名)の日にちと場所が被ってしまったらしい。土曜日の夜ということもあり店は混雑しており、待合席はほぼ埋まっていた。二宮隊も今順番待ちの途中らしく、待合席に固まって座っていた。
大学生組や私と鳩原、犬飼は知り合いに会ってワイワイやっている感じだが、辻くんや女の子(多分オペレーターの子)や名風ちゃんなんかはあまり社交的な方でもないらしく居心地悪そうにしている。どうせなら一緒にやろうよ、なんて言っている凩さんだが本当に大丈夫なのだろうか。私は鳩原いるし別にいいけど。
「あ、やっほー辻くん。久しぶりー」
「えっ、あ、は、い、ど、うも」
「なんで一々一文字ずつ区切ってんのウケる」
「穂村……いじめたげないで……」
いじめてないよコミニュケーションだよ。とは言いつつ反応を楽しんでいる部分もあるので否定はできない。犬飼だって反応見たさに名風ちゃんに絡みに行ったりしているのだから私と同じようなものではないだろうか。…あ、二宮隊のオペレーターの子に庇われた。おお、何やらいい感じ。どうやら名風ちゃんにも友達が出来たかもしれない。犬飼の当て馬感半端ないけど。まあ犬飼だしいいや。
しばらくして名前が呼ばれた。やはり一緒にやることにしたようで、ぞろぞろと大人数で店の中を移動していく。うーん、お肉のいい匂い。お腹空いた。
隊の親睦会だったはずが、いつもと同じ面々でただ騒ぐ会になってしまった(新しく出来た友人と親睦を深めた者もいるが)。お肉を大量に食べてお腹いっぱいになった頃には凩さんや二宮さんはお酒ですっかり酔っ払っていて、今にも寝てしまいそうだった。お金は全部あの二人持ちなので寝られては困るが、まあ多分そんな無責任なことはしないだろうと信じている。そして辻くんはずっと反応をみてからかっていたら、すっかり慣れてしまったようで終わり頃には普通に話せるようになってしまっていた。いや、めんどくさくなくなっていいんだけどもなんか、面白くない。どっちだよ、と鳩原に突っ込まれたが知らない。私は自分に正直に生きている。
「あー、腹いっぱいー」
「わっ、ちょっとお腹出さないでくださいよ!」
「お、辻くんや、もう慣れたんじゃないのか」
「女性が軽々しく肌なんか出すものじゃありませんッ!!」
うわあ、やっぱりめんどくせー。呟いたら犬飼に「容赦ない!!」って笑われた。何でだ。
名風ちゃんとオペレーターの子(氷見亜季ちゃんというらしい)はすっかり意気投合したようで、最初から最後までずっと二人でしゃべっていた。…いいなー超女の子してるあそこ。私と鳩原じゃイマイチ女の子って感じがないんだよな。
しばらくして、なんとか起き上がった凩さんと二宮さんに促され、店を出た。割と金額いっていたように思えたのだが結局いくらなのかは教えてもらえなかった。子供の気にすることじゃないよと凩さんに微笑まれて、なんだか大人ぶってる凩さんにむかついた。
「大人ぶってんじゃねーよ」
「いや大人だよ!?」
凩さんのツッコミは無視して、鳩原と帰ろうと鳩原を探す。と、二宮さんと二人で話している鳩原を見つけ、絡みに行く。
「おーい鳩原ー。帰るぞー」
「わ、穂村。…あ、それじゃあ、二宮さん。失礼します」
「……ああ」
「二宮さんお気をつけてー。失礼します」
頭が痛いのか額を抑える二宮さんにぺこりと会釈をして、鳩原と共に帰ろうと歩き出した。ら、犬飼が辻くんを引っ張って絡んできて、結局四人で帰ることになった。
たまにはこういうのもいいな、と思った。
ダンランしようぜ!