唯我尊という奴は、結局のところコネでA級入りしただけのボンボンだったらしい。なるほどどうりでと納得して、事情を話した出水の影に隠れる唯我は私の射撃がすっかりトラウマになってしまったらしく、ガタガタと怯えていた。うわあめんどくせーと冷めた目を送れば、またそれが怖かったらしく「ヒィッ!」と怯えて出水の更に後ろに隠れてしまった。いやまあ結局出水に「やめろ気色わりい」と引き剥がされていたのだけど。高一にもなって大泣きすんじゃねーよボンボン……そうだこいつのことはこれからボンとと呼ぼうそうしよう(唐突)。
「お? 橘じゃねーか」
「! ………げ…………荒船………と村上」
「俺はついでか」
「げ、とは何だげ、とは」
「やめろ触んな死ね」
出水と唯我(ボン)と話していれば(犬飼と米屋は防衛任務とかでどっか行った。帽子の子はダルそうにイスに座っている)荒船と村上に話しかけられた。うげ、こいつらまだいたのかよ。帰ったと思ってたのに。
「なんだよまた模擬戦やってたのか?」
「なんか文句あるかよ」
「穂村さんえげつねえほど口わりいな…」
「俺にぶった切られて機嫌悪そーだったくせに」
「マジ死ねよお前」
「誰とやったんだ? 出水と唯我…と?」
「あと槍バカと犬飼先輩がいたけど防衛任務行って………あ、そうだ半崎が」
「あ? …おー半崎じゃねーか」
「んあ? …あ、荒船さんだ」
どうやら荒船と帽子の子…半崎くん?は知り合いらしい。じっと見て説明を求めれば、荒船はに、と笑って半崎くんの頭に手をおいた。
「半崎は俺の隊の隊員だよ」
「よし分かったきみとは絶交だ半崎くん」
「友達になった覚えすらないんすけど…ダリィ」
私の渾身のボケは半崎くんにより「ダリィ」の一言で片付けられてしまった。いやしかしこの子どっかで見たことあると思ったらそうだ荒船の隊とランク戦したときにいた狙撃手の子だそうだったそうだった。すっかり忘れてた。エロ被り少年って名づけてた気がする。エロ被りって今言うのかな………古いかな……
「半崎くん荒船の隊とか………可哀想に……」
「おいこらどういう意味だコラ」
「そのまんまだよ年中帽子野郎」
「またぶった斬ってやろうか」
「望むところだ脳天撃ち抜いてやる」
かくして、本日三度目の模擬戦が始まった。
▽
「ウェーイざまあみろアホ船」
模擬戦後、私は本当に珍しく晴れやかな笑顔でその場にふんぞり返っていた。見事荒船の脳天を撃ち抜くことに成功した私はそうそうに緊急脱出をして荒船を嗤いに来てやった。ざまあみろ荒船。私を馬鹿にするからそういうことになるのだ。
「くっそ………もう一回!」
「やだねもう疲れた」
「本当に興味なさそうだな興味失うのがはええよ馬鹿!」
「うましかー」
「くっそッ………腹立つなお前は…!!」
先程と挑発していた方とされていた方が逆転したがまあいいや。
やはり私は人を挑発するほうが性に合っているなあと、荒船の怒声を聞きながら思った。
挑発好きとか性格悪い