B級に上がって、かなり経った頃のことだ。ふと、チームを組まなければ、と思い至った。というのも、これ以上上に行くにはチームを組んでランク戦なるモノに参加しなければならないらしい。無知な私に東さん(と一応当真)が色々と教えてくれた(余談だが当真はB級に上がったらしい)。ついでに当真には隊に入るかと誘われたが当真の隊に入ると色々とポジションのバランスとかがおかしくなるなと思って後当真と同じ隊が嫌で断った。後者の理由が主だとかそんなわけない。私だっていろいろと考えてる。うん。そしてそうなって困った私は暫くは様子見つつ誰かが誘ってくれるのを待つことにした。他力本願な私である。B級よりも勿論A級の方が給料高いなんて当たり前なので私はA級に上がりたい。ので出来れば強い人お誘い待ってるよ。なーんてそんな私に早々お誘いなんかやって来ない。まあ気長にのんびりやっていこうと思う。B級の給料も悪くはない。今から貯めれば何とか三年頃には一人暮らしできる額にはなるだろう。

「でそんなお前に紹介したい人がいる」
「失せろリーゼント」
「酷すぎる」

 いつも通り暴言を吐きつつもあまり気にした風のない当真を一瞥して、ふと当真の後ろにいる人物に目が止まる。ふわふわした茶髪の、多分年上の男の人が立っている。おおイケメンだイケメンがいる。キョトンとしてその人を見ていると、当真が気づいてすかさず口を開いた。

「この人は凩啓太。B級の攻撃手で割と個人上位にいる凄い人だ」
「よ、よろしく。照れちゃうなあ」

 当真の紹介でヘラヘラと照れているその人…凩さん?はイケメンだが何となくヘタレ臭がところどころ漂っている。しかしB級でも個人ランク上位か………そんな人が何の用だ一体。当真は席を外すと言っていなくなり、二人きりで向かい合うその状況に首を傾げる。ニコニコと優しげな笑みを浮かべている凩さんにそれで何の用なんですかと先を促すとうんえっとねと話しだす。ふむ。

「俺と隊を作ってくれませんか」

 凩さんはそう言ってまたへらりと笑った。私は言われた言葉の意味を咀嚼して、また首を傾げた。タイ? 隊、と、そう言ったのかこの人は。いやそれは良いのだけども、なんで私? 直球にその問いをぶつけて見せれば、君撃つ時頭を狙うでしょうと凩さん。確かに手っ取り早く緊急脱出してくれるしチマチマと脚とか腕を切断していくよりも楽だろうなあと思ってのことだ。それがどうかしたのか。また問えば俺にはないその残酷さがほしいなあと思ってと割と容赦ない言葉が浴びせられる。オウ、そうすか残酷すか。でも腕とか脚とかちょっとずつ切断してくのもなんかアレじゃない? ね? 見た目的にはあっちのが残酷だと思うんだけども。
 それでどうかなと首を傾げられて別に断る理由はなくしかも誰か誘ってくれないかなーと考えていたところだったので私は受けることにした。うん、なんかこの人いい人そうだし。

「よろしくお願いします」

 そうして私は凩隊の一員となった。


 ▽


 凩隊は私と凩隊長の戦闘員二人と、オペレーターの名風和歌ちゃんの三人編成の隊だった。これ以上増やさないのかと問うともうこれ以上誘う勇気ないやとここで謎のヘタレ具合を発揮された。何それ私にあんな容赦ない言葉言えるくせに誘う勇気がないって何だそれ。変な人。しかしまあオペレーターの名風ちゃんも結構クセのある子っぽいので私と名風ちゃんを誘うのにも結構勇気を要したに違いない。だって後から当真から聞いた話この人、狙撃の時に残酷にも頭をぶち抜く私がドライモンスターだと影で呼ばれているのを知って怖がりながらも頑張って話しかけたらしい。いやというかドライモンスターと呼ばれていたのが初耳すぎてちょっとそっちのほうが頭に残っちゃってたのだがそれはまあいい。とにかく私を誘うのに結構頑張ったらしい。ヘタレなりに。
 名風ちゃんはひとつ下の後輩でコンピュータ等の電子機器の取り扱いが得意らしい。凄いねオペレーター天職だねと言えば少し頬を赤らめてありがとうございますと小さく呟いた。わあ可愛い。ただし私には素直な名風ちゃんも凩さんには妙に辛辣というか冷たいというか。多分嫌ってはないんだろうけど見ててちょっと可哀想になるというか。まあ別にどうでもいいんだけど。

「凩隊か、楽しそうだな」
「まあそれなりに」
「そうか。…そこ、もう少し右だな」
「はい」

 東さんに狙撃の指導をしてもらいながら、私は凩隊のことについて報告してみた。すると東さんがそうか凩がと微笑ましげに色々と聞いてきた。東さん23とかそのくらいじゃなかったっけ妙な貫禄あるんだけど不思議。ちょくちょく真ん中から外しつつも真ん中に命中する率が上がってきて、私も内心ガッツボーズをする。上手くなったなーと東さんはまるでお父さんのようだ。失礼か。
 そうして暫く指導してもらっていれば、「東さん」と誰かが東さんを呼びに来た。ふと顔を上げると、多分年上の、凩さんとはまた違う感じのイケメンが東さんに声をかけていた。「二宮」と東さんにそう呼ばれたイケメンさんはちらりと私を見やり、東さんに用件を伝えた。どうやら東さんは急用ができてしまったようだ。

「悪いな、橘」
「いーえー。ご指導ありがとうございました」

 そう敬礼をしてお礼を言えば、東さんは再度謝罪をしながらどこかに行ってしまった。東さんを呼びに来た二宮さんももう一度ちらりと私を一瞥して東さんとどこかに行ってしまった。一応小さく会釈をしておいた。
 その人が東さんの隊の人で、凩さんの友人だと知ったのはそれから少し後のことだった。

凩隊結成

SANDGLASS