「二宮は俺の友達だよ」
凩さんに何となくこの間のことを話してみれば、にこりと素敵笑顔でそう言われた。ほーそうなんだと薄い反応を返しながら、イケメン同士で友達ってなんだか良からぬ噂が立っていそうだと勝手に頭を巡らせる。凩さんはヘタレだが顔はいい。上に結構強いので女性方から人気があるらしい。これがモテるなんて世の中どうかしてますよねなんて名風ちゃんの容赦ない言葉の攻撃を受けていたのもつい先日の事だ。結成してまだ間もないものの割とアットホームな隊だと思っている。隊服はまだだが先日作戦室なるものをもらっていつもラウンジか狙撃手用の訓練室にいた私は、そこで過ごすことが多くなった。そういえば当真と最近会ってねえやと一瞬だけ考えて、しかしまあいいかと目の前の話題に思考を戻した。
「友達っていうか、幼馴染なんだけど」
「ほう、幼馴染」
「昔っから凄いやつだったんだけど、最近はA級一位部隊なんかにいったりして……本当に自慢の幼馴染だよ」
自慢気に、誇らしげに二宮さんのことを語る凩さんをすこしドン引いた目で見つめる。うわあこの人ガチだ。幼馴染で友達で憧れって狙ってんのかよそれうわあ。私のドン引いた目に気付いた凩さんは「え、なんで!?」と慌てていたがそれは自分の胸に聞いてください。私からは絶対に言いません。
「あ、それより今度中間あるんで凩さん勉強見てくれません?」
「えっ、俺あんまし勉強得意じゃないんだけど」
「えー使えない……」
「辛辣!!」
どうやら隊長はポンコツで使えそうもないので自分で勉強は頑張ろうと思う。当真はテキトウにやっときゃなんとかなんだろとか言っていたが私は進学校で当真は普通校、試験のレベルが違うのだ。本当のところ、正直に言うと普通校にすれば良かったかなーなんて思っていたりもするが、後々のことを考えれば進学率の高い方を選ぶのなんて当たり前だろう。何人かボーダーの人も学校で見かけた気もするし、私は珍しいケースではないはずだ。いやしかし進学校の勉強、難しい。
「なー名風、高校の勉強し直そうかな俺…」
「知りませんよ勝手にしてください」
「冷たい!!」
泣いている凩さんなんて、構っている暇はないのである。
▽
「友達じゃない」
ばっさりと、そうぶった切った二宮さんに私はうわー、と小さく声を漏らす。なにこれ気まずい。東さん助けておくれ。
はい、何故こんなことになっているのかと申しますと、簡潔に説明すれば東さんに置いて行かれたわけである。…勿論これでは語弊があるので説明するが、東さんにまた狙撃の練習を見てもらっていたところ、二宮さんが呼びに来て今回は一人で用事へ向かっていかれた。それで残った二宮さんがこちらをじっと見てきていたのでなんだかいたたまれなくなった私が「あーえっと凩さんのご友人なんですよね、お話伺ってます」と凩さんのことを話題に出せば、先の台詞を言われたのである。なんだかちょっとだけ、ドライモンスターと呼ばれている私も凩さんに同情してしまった。
…しかし次に二宮さんの放った言葉に、私は思わず固まった。
「あいつは幼馴染だ。友人じゃない」
「……………はい?」
「だから凩啓太は幼馴染だ」
ど っ ち で も よ く ね え か 。
心の中でツッコんで、頭を抱えた。何この人天然? 天然なの? スタイリッシュイケメンが実は天然って何それこわい。狙ってる。え、ちょむり。私この人と対話できる気がしない。
そう悟った私はそうそうに会話を切り上げようと狙撃を再開した。二宮さんもそれ以上話すことはないのかどこかに行ってしまった。
イケメンって変な人しかいないのかな。
友達とはなんぞ