ぷー様リクエスト
※百合気味注意
「あ、のさ、……あたし、穂村が、」
鳩原から告白をされた。私自身、何があってもあまり驚くことはないのだが、とりあえずその時はただただ驚いた。驚いたけど、不思議と嫌悪感はなくて、ちょっとだけ嬉しかった。だから、告白を受けた。たぶん、私も好きだと思う、と答えたら、鳩原はパッと驚いた顔をして信じられないと言わんばかりの顔をこちらに向けてきた。
「? あれ? もしかして嘘? エイプリルフールだっけ? 今日」
「ちっ、がう、けど」
「ん? じゃあホントか。ならいいじゃん」
なんか問題ある? と首を傾げたら、何故だか鳩原は泣き出してしまって、私は珍しく、どうしていいか分からず慌ててしまった。
▽
「穂村と鳩ちゃんってホント仲良いよねー。友達通り越して何かカップルみたい」
本部に行く途中、犬飼がふとそんなことを呟いた。隣で歩く鳩原がビクリと反応した。おうお前分かりやすいな。犬飼はきづいてないけど。
「もしかしてホントに付き合ってたりして」とふざけて、冗談のつもりで言ったのであろう犬飼の言葉に、私は少し考えて、答えた。
「付き合ってるけど」
「………………………………………ん?」
「私と鳩原。付き合ってるよ」
「穂村っ!?」
鳩原が慌てたように腕を掴んでくる。それを無視して、固まって立ち止まった犬飼に合わせて立ち止まる。「………………なんて?」と未だ理解できないらしい犬飼に、もう一度、事実を告げる。
「だから、私と鳩原付き合ってる。恋人。彼女。分かる?」
「えっ、なっ、はッ…!?」
まさか犬飼も冗談のつもりで吐いた言葉が本気で帰ってくるとは思っていなかったようで、大分混乱している。青い顔をして後ずさる犬飼に、気持ち悪がられるかも、と少し寂しく思っていれば、「聞いてない、」と犬飼の小さい声。
「は?」
「はっ、鳩ちゃんが穂村のこと好きとか聞いてないよ!?」
「えっ!?」
「なにそれ!? はあ!? 黙ってた挙句抜け駆けかよ鳩ちゃんマジありえない!!」
「…………い、犬飼くん?」
「あーくそそうか敵はこんなに近くに………」
ブツブツと何かつぶやいている犬飼はなんだか様子が変だがどうやら気持ち悪がられてはいないようで少しだけ安心する。いや、私はどう思われようが構わないが、鳩原は多分そういうのを気にするタイプだろう。今のは少し失言だったかもしれない。簡単にばらしていいことではなかった。しかし人の恋愛観など自由だし好きにやればいいとは思うのだけど。まあそういうことに偏見を持つ人が多いのは事実だ。一応気をつけよう。
「鳩ちゃんがその気ならおれだって!」
「! だ、駄目だよ!? 穂村はあたしの!」
左腕に鳩原が、右腕に犬飼が絡みついてくる。少しだけ歩きにくくて、思わず顔を歪めた。
「とりあえず犬飼放せ」
「なんでおれだけ!?」
「鳩原は彼女だし」
「おれを彼氏にすればいいじゃん!」
「絶対嫌だ…」
「本気で嫌そう!?」
結局睨み合う二人に挟まれながら本部へ向かった。
▽
「………あの、さ…………橘?」
「ハイ? なんですか」
「いや………ちょっとだけいいか?」
「………はあ。なんですか」
とある日、なんだか少し様子のおかしい凩さんにそう言われて、私は首を傾げつつ話を聞くため椅子に座る。向かい側に座った凩さんは少し言いにくそうに、少し照れながら、言葉を切り出した。
「あ、あのさ…………は、鳩原さんと付き合ってるっていうのは………本当?」
「? なんで凩さんがそれ知ってるんですか」
「えッ!! やっぱり本当!?」
「…? はあ、まあ。なんなんですかウザいんですけど」
「橘お前人を好きになれたんだな…!」
「はっ倒しますよ」
人くらい好きになりますよなんなんですか意味わからん。
というか本当に何故凩さんがそれを知っているんだ。首を傾げて問えば、「いや噂で聞いて吃驚して」と言われて、今度はこちらが驚く。噂? なにそれ。
「私犬飼にしか言ってないんですけど………」
………ん? まさか……。
「………犬飼!!」
「え? なに穂村………ってうわあ!?」
「鳩原とのことバラしたのお前だな」
「え? うん駄目だった…ってギブギブ痛い!」
「お前なあ…!」
いけしゃあしゃあと頷いた犬飼の首を絞めてやる。この野郎、軽々と人に教えやがって。皆が皆認めてくれるわけじゃないんだぞ。鳩原こういうの絶対嫌いだろうに。
「だっ、だってめでたいことじゃんか! おれからしたらふざけんなだけど!」
「…はあ?」
「何がダメなわけ?」
「そりゃ女同士に偏見持つやつだって…」
「穂村ってそういうの気にするの?」
「鳩原が! 気にするだろって言ってんだよ!」
「ギブギブ苦しい!!」
タンタンとタップしてきたので大人しく首を放す。はあ、と息を吐きだして、まあ仕方ないかと頭を掻く。言ってしまったものはもうどうにもならないのだから、あとはどうにでもなるだろう。
「おー橘に犬飼」
「あ? ……おー荒船」
「何やってんだこんな所で」
そのまま犬飼とその場に突っ立っていれば、荒船が丁度通りかかった。ヒラヒラと手を振って軽い挨拶だけで済ませようとするが、荒船は暇なようで絡んでくる。…めんどくせー。
「べつに。何でもいいじゃん」
「相っ変わらずつめてーの。…あ、そうだ橘」
「あ゛?」
「鳩原と付き合ってんだってな。おめでとう」
「………、」
まさかドライモンスターと人を打てない奴が付き合いはじめるとはなーと荒船の言葉が続いたが私はポカンとして、おそらく間抜けな顔で荒船を見返した。…めっちゃ普通だ。
「ん? どうした?」
「…………いやなんでも」
変なやつだな、と荒船に笑われるが構ってられない。
その後もいろいろな人におめでとうと言われ混乱してしまう。…ボーダー内同性愛に妙に寛容過ぎねえかと思ったが、どうやら今までの鳩原の態度が露骨過ぎて皆応援してしまっていたらしい。…おう、マジかよ。
「鳩原って結構前から私の事好きだったんだ」
「えっ、な、何急に」
「いやあね、周りの話聞いてたらそうなのかーと思って」
鳩原は照れてしまって、顔を真っ赤にして震えている。初だのう、そっちから告白してきたくせに。
「これで公認じゃん。やったね」
そう言うと、ようやく鳩原は笑って頷いてくれた。うん、多分私は鳩原のこの笑顔が好きなのだ。
鳩原と恋仲になる