「うっわあ、ほんとにキューブになってる。ちょっと見てよ犬飼」
「見えてるよ…」

 二宮隊に協力してもらい、無事新型を倒した私は早速新型の腹をこじ開けて凩さんの救出を図った。キューブになった凩さんを見てみたかったとかそんなんじゃない。うん。違うよ。
 トリオンキューブに変えられてしまったらしい凩さんを持ち上げて、試しに床に落としてみた。コロン、と転がるだけで特に傷のついた様子もなく、どうやらかなり丈夫だという話は本当らしかった。

「よく自隊の隊長を地面に落とせるよね…」

 犬飼が呆れた様子で言った。見れば二宮さんと辻くんも似たような顔をしている。えっ。

「だって辻くんが何しても壊れないって言うから」
「俺のせいにしないでくださいよ」
「えーほらもしかしたら戻ったりするかもじゃんか」
「それで戻るなら苦労もしませんよ」
「まあ、だよね」

 うんと頷いて、キューブを小脇に抱える。

「これ本部に持ってけばいいんだよね?」
「そうですね」
「隊長をこれ呼ばわり…」
「犬飼いちいちうっさいな、これじゃんか」
「いやあだってさあ、なんか凩さん可哀想で」
「いつものこといつものこと。…それよりさっき本部攻撃食らってたけど行っても大丈夫なのかな」
「大丈夫だろう。本部の守りもザルじゃない。それにいざとなれば太刀川や当真が本部でゴロゴロしてるはずだからな」
「えっ、何それいいなー私もゴロゴロしたい…」

 なんだよ当真のやつ。多分これ凩さんこの戦い中に戻れるかわかんないし落とされた&迫゙に入るだろうから言いつけ通りにするなら他のサポートに回んないといけないし……あーどこ行こっかな。

「まあとりあえず行ってきます」
「うんじゃーね」

 とりあえず犬飼たちと別れて、本部に向かった。


 ▽


「あ、当真」
「おー橘。何だよもう落とされたのかお前」
「寝言は寝て言え馬鹿。凩さんがキューブにされたからエンジニアに届けに来たんですー」
「マジかよ凩さん落ちたの」

 凩さんをエンジニアに預けてとりあえず外に行こうと本部内を歩いていると、本部でゴロゴロしていたらしい当真と出会した。凩さんがキューブにされた事実に驚いていた当真は私を見て、「お前はこれからどうすんの?」と聞いてきた。うーん、どうしようかな。

「まあ凩さんが戻って戦えるようなら合流かなー。そのまま別々もありえるけど。ともかく他のとこ行くか迷い中」
「ふーん」

 聞いてきたくせにさして興味もなさそうに相槌を打った当真は、パッと名案とばかりに手を打った。

「じゃー俺とここで待機しとくか? 結構暇なんだよなー」
「ばっか私が怒られるわそんなん。当真と太刀川さん待機ってことは一位攻撃手と一位狙撃手をもしもの時のために置いてるってことでしょ? 順位もそこそこな私が残ってられるわけないじゃん」
「まあ大体当たりだけど。…あー話し相手ができると思ったのなー。まあしゃあねえか」

 肩をすくめて諦めたらしい当真はヒラヒラと手を振って私を送り出した。多分当真もずっとここにいるわけじゃないだろうし、その内出て行くんだろう。その時は私よりもっと難しい任務が回ってくるんだろうな……大変そー。まあ当真変態かってくらい射撃は精密だし大丈夫だろうけど。
 当真と別れて外に出ると、まだちらほらと近界民が見えて思わず溜息を吐く。結構いる。とりあえず新型じゃない奴を倒していこうとアイビスに持ち替えて動いた。


「…お、村上だ」

 しばらく雑魚近界民を地道に倒していっていれば、村上の姿を見つけて立ち止まる。新型三体を同時に相手しているようだ。うわあ結構満身創痍っぽいなあ。
 とりあえず名風ちゃんに頼んで村上と通信を繋げてもらい、声をかけてみる。

「こちら橘。村上、今村上の近くにいるけど援護いる?」
「! ああ頼む!」

 その返答によしと頷いて、とりあえず硬そうな装甲を狙って一発撃ってみる。…だめだ傷一つつかない。しょうがない、あんまり好きじゃないけど耳とか足とか地道に狙っていくか。
 そうして村上の援護をしつつ地道に傷をつけていっていれば、どこからか黒い影が現れて、三体を一気に倒してしまった。…え、嘘誰だよ。

「…って太刀川さんじゃん……何なのチートかよ…」

 新型を全て倒してしまった太刀川さんはしばらく通信で何かを話したあと、村上と少し話して私の方を見た。とりあえず立ち上がって、二人の元へ行った。

「どーも太刀川さん」
「橘も一緒だったのか。あ、じゃあ俺のもう一体は橘につけるか?」
「なんの話ですか?」
「新型倒したランキング。さっき倒した三体、結構傷入ってたから二体村上につけたんだ」
「ああ……いらないです。凩さんの言いつけ通りサポートしてただけですし。それにあの傷ほぼほぼ村上が付けたやつだし…」
「いや、結構助かってたぞ。俺のから一体渡すか?」
「いらないってば、サポートだし」

 それでもと渋る村上を押し切って、話を進める。黙って話を聞いていると、どうやら人型近界民が出てきたらしく、風間さんがその人型近界民の一人にやられたらしい。うわあ、マジかよ。

「じゃあ俺行くわ」
「あ、はい」

 人型近界民の情報にワクワクしている太刀川さんと別れ、村上ともとりあえず別れてうーん、と顎に手を当てた。人型近界民か。襲撃してきてるってことは玉狛の人型近界民とはまた違う国の近界民ってことだ。

「…ちょっと会ってみたいな」

 玉狛の近界民より先に、話を聞けたりするだろうか。

人型近界民への興味

SANDGLASS