「昨日、影山と一緒にいましたよね」なんて、唐突に国見君にそう言われた瞬間、私は暫し黙り込んで硬直した挙句、「は?」と、何とも間抜けな声をあげた。…いや、言っている意味は分かるし、なんの事を言っているのかも、分かる、のだが。私が分からないのはそんな事ではなく、何故休日の出来事を国見君が知っているのかという事だ。昨日国見君はいなかったし、(昨日の会話の最後辺り聞かれてたらヤバイ)何故だ。解せぬ。国見君は私の反応に、何のことを言われているのか分からないと思ったのか、「あれ、違いましたか」なんて小首を傾げている。可愛い。……いやそうではなくて、何で、ホントに国見君が昨日の事を知っているんだ。国見君は確かあんまり影山君とは仲良くなかったから、影山君に聞いた、というのは考えにくい。…というか連絡先知らなさそうだなお互いに。私は内心苦笑しつつ、違わないよ、と漸く答えを返した。すると国見君はやっぱりそうですか、なんて満足そうな顔をしていて、そんな顔も可愛いな、なんて思った私は重症かもしれない。
「昨日、見かけたんで。声まで聞こえなかったし影山いたんで話しかけませんでしたけど……先輩会釈しただけなのに、影山すっげぇ勢いで頭下げてて、俺ちょっと笑いましたよ」
「………あー…………はは」
あれは、私も、やった本人も驚いていたので何とも言えない。ある意味の醜態を元チームメイトに見られてしまうとは、影山君もまぁ不憫である。…とまぁ、折角国見君が話を降ってきてくれたので、私は昨日の影山君との会話を簡潔に話した。国見君の方が格好いい…の辺りは、少しおちゃらけて言った。とりあえず、冗談として捉えてくれればいい。及川と勘違いされた事を話すと、「誰でも勘違いしますよ」なんて言われたので、とりあえずそれについては今日及川と話し合わなければ。というか私のあの態度で付き合ってるって勘違いされるって、私らはどんだけアブノーマルなカップルなんだ。違うけどね?
…で、まぁそんな感じに話していれば、及川が「俺の話?」なんて言って乱入してきたので、「及川の悪口言ってた」なんて返しておいた。すると「陰口反対!!」なんて騒ぎ出したので無視していれば、国見君が「そういうとこですよ」と言ったので首を傾げれば、「勘違いされる要因」って……普通のコミュニケーションだし、これなかったらあれだよ? 私及川とのコミュニケーションの取り方分かんないよ?? だって三年間…まぁ最初の方はアレにしても、約三年間これで貫き通してきたのだから、今から優しくするのもあれだし、私的には、今のコミュニケーションの取り方以外だと完全に無視する以外に思いつかない。岩泉とか松川とかなら、まぁいけるんだけど。…え。花巻? あいつよく失礼なこと言うからな……及川ほどじゃないが暴力を振らない日がない気がする。……気を付けよ。
「まぁ、仮に先輩好きな人がいたら、あの及川さん相手に立ち向かおうとはあんま思いませんよね」
「あー……私がモテないのは及川のせいだよ。ねぇ及川」
「えー、単に佑ちゃん自身がモテないだけだよね? 女の子にも男の子にも」
「人の気にしてる事を!!」
男の子はまぁ冗談にしても、女の子にモテないのは、というか友達ができないのは完璧及川といるからだ。なんか、抜け駆けした裏切り者みたいになっててマジ辛いわ……はは。少々遠い目をしつつ、暴力を振らない私に驚いていた及川をとりあえず殴った。「痛い…」なんて言う及川なんか知らない。通常運転ですねハイ。しかし国見君の「先輩友達いないんですか」の一言に100のダメージ。再起不能である。ツライ。女の子の友達がね、とか他校にはいっぱいいるんだよ、とか、とりあえず岩泉とか松川とか花巻とか、ついでにだけど及川も友達だよ、とか色々挽回しようとするが、どうにも全部言い訳臭い。…くそぅ。隣で及川が「ついでにって何!?」と騒いでいるが知らない。今それどころじゃないんだよくそ。花の女子高生(笑)が学校に女の子の友達一人もいないとか、何それギャグじゃん。しかも男友達ばっかって……何それビッチですか違いますよ単に仲いいだけなんですよ。しかし女子から見れば傍目はそう見えるわけか……それどうしようもないじゃん…マネージャー辞める気はないし……
「先輩切実ですね」
「切実なんだよ……」
「まぁまぁ、俺らがいるから良いじゃない」
そう言って笑う及川ウザい。私は横目で及川を睨んで「友達くらい作ってやるもん…」と弱々しく呟いた。すると及川はヘラリと何時ものよううに笑って、
意気がっちゃって
(勿論いつもの蹴りをお見舞いした)
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SANDGLASS