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山口たちと別れ、私も自分の教室に入った。同じ中学から来た人はこのクラスには今のところいないようだった。何人か烏野に進学していたはずだが、確かあの子達は普通クラスに進学するとか言ってたと思うので進学クラスの五組にいないのは当たり前か、と自分の頭の中で勝手に解決する。しかし一応確認してみるためと、自分の席を確認するために黒板の座席表をに目を向けた。知っている名前はない。私の記憶は間違っていなかったようだ。とまあそれはどうでもよくて、次に自分の席だ。ええと……あれこれ出席番号関係ないのか。窓側の、前から三番目。そこそこの席だろうか。
席を確認して、自分の席で時間まで寝ようと踵を返したとき、ドンッ、と、背中に衝撃。ついでに「ふげッ」と間抜けな声も聞こえてきた。
「…ん?」
「…ッッッ!! ゴッ ゴメンナサイ!! スミマセン申し訳ございません!! 私なんぞがぶつかってしまって…! せ、せ、切腹しますからどうぞお許し下さい…!」
「え……せ、切腹ってそれ許しても許さなくてもどの道死ぬよね、いや殺さないけど。っていうか顔上げて」
「ひいぃぃい」
駄目だ聞いてねえ。
私にぶつかってきたらしいその子は、何故だか異様にビクビク震えて謝罪をしてきた。私はそんなその子を宥めるが、すっかり怯えてしまっているその子は聞く耳を持たない。私そんなに怖いかな…
多分というか恐らくというか、この子は私の身長が怖いのかもしれない。見たところ百五十そこらしかないし、そりゃあ百七十近い私は怖いだろう。いつも月島や山口といるし、二人とも背が高いからあんまり気にしてなかったけど、これはちょっとショックかもしれない。山口より背が低くなったことに不貞腐れてた自分吹っ飛べ。アホか。
「…あのさ!」
「っ!? はひ!?」
「怒ってないから。切腹もしなくていい。痛くなかったし」
そう、諭すようにそう言えば、その子はホッとしたように肩の力を抜いた。そして我に返ったようにハッとして、顔を真っ赤にした。
「ススススススミマセン!! お見苦しいところを…!」
「いや、気にしてないよ。あ、私は永原青葉。一年間ヨロシク」
「えっ、あっ、や、谷地仁花です…! よろしくお願いシャス!!」
ガバッと頭を下げてきたその子……谷地さんに私は慌てて頭を上げるように言う。…頭を下げるのが癖なのだろうか、この子は。
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