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「ねえ青葉友達出来た? 一人で本とか読んでない? 大丈夫? 今度ツッキーと一緒に教室行こうか?」

 マジで殴り飛ばしてやろうかと内心で拳を握りながら、私はとりあえず横で笑いを堪えている月島に肘鉄をお見舞いした。今回はヒットしたそれにドヤ顔を見せつけながら、今度は横で未だ心配している山口の頭を軽く叩いてやった。お前は失礼すぎるわバカ。
 入学式から数日、私は山口の言うように一人で本を読んでいるぼっち…にはならず、無事友達をゲットしていた。あの入学式の日に衝撃の出会いを果たした谷地仁花ちゃん…基谷っちゃんである。奇跡的に席が前後という謎の運を発揮した私と谷っちゃんは仲良く過ごしている。ネガティブだけどとても可愛らしい子だ。山口のタイプなんじゃないだろうか。絶対紹介してやんないけど。
 今は帰り道、山口と月島と共に一緒に帰っている。安定のメンバーである。

「友達くらいいるっつーの。馬鹿にすんな。ていうかあんたらはどうなの。バレー部」
「あ、そっか良かった……あー、えっとね、明日青葉城西ってとこと練習試合するんだって」
「フーン……出るの?」
「えっ、いやそんなまさか! 三年の人たちいるし……あ、でもツッキーは出るよ! 見に来てよ青葉!」
「行かねーよなんで放課後にわざわざ月島なんか観に知らん学校まで行かなきゃならないわけ行くわけないじゃん」
「僕だって別に永原なんかに来てもらいたくないし。寧ろやる気なくす」
「はあ? 元々やる気の微塵もないやつがなに言ってんの?」

 また喧嘩が始まりそうになったとき、山口が慌てて止めに入ってくる。いつもの流れだ。制服や道は変わっても私達の関係性はいつまで経っても進歩しないなあと、内心苦笑を浮かべる。

「何で喧嘩になるのさ!」
「「だって月島(永原)が」」
「…割と仲いいよね二人」
「「良くな……真似しないでくれる」」
「ほら!」

 してやったり顔でケラケラ笑う山口が気に入らないが、まあそれはさて置こう。月島と顔を見合わせ睨み合い、フン、とお互いに顔を逸らしたところで月島との別れ道に差し掛かった。そのままべーと舌を出しながら月島と別れ、山口と二人で歩く。

「…山口さあ、バレー部楽しい?」
「え? いやまだ入ったばっかでよく分かんないけど……あ、でも変な奴らがいてさ、同じ一年なんだけど…」

 うんたらかんたら。山口の話を聞きながら、山口に気付かれないように笑みを浮かべた。楽しそうで何よりだ。
03
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SANDGLASS