▼ ▲ ▼
「青葉! 何組だった!? 俺四組!」
「五組」
「えっ」
高校の入学式、どうやらクラスが離れてしまったようで、淡々と自分のクラスを告げた私に山口がショックを受けたように固まった。いや実際ショックを受けているのだろうが。そんな山口を横目で見て、私はああほら、とクラス表を指差してやる。
「月島は一緒のクラスじゃん。四組」
「三人一緒じゃなきゃ意味ない!!」
女子か! そのツッコミは溝に捨てて、私は大きく溜息を吐き出した。全く、別にクラスが離れたからって何かが大きく変わるわけじゃないだろうに。会えなくなるわけでもなし。ただ一緒の教室で授業を受けられないだけ。ああ、後体育もバラバラなのか。でもこれはどの道男女別なので変わらない。それにクラスが違う、なんて小学校の時は学校すら違ったのだから本当に些細な問題だ。アホ毛を垂らして落ち込んでいる山口を一瞥して、再度大きく溜息を吐き出した。
「ほら早く教室行くよ山口」
「うぅ……、でも」
「ウジウジしててもクラス違うのは変わんないでしょ。それより月島はどこ」
「う、うん………ツッキーなら先に靴箱行ってるって。この人混みに入るの嫌だから」
「くっそ自分だけ楽しやがって」
クラス表くらい自分で見に来いっつの。山口の腕を引きながら、内心で舌を打った。私だって楽したかったっつーの。
靴箱まで行くと、あの憎たらしいまでの身長が目に入った。
「遅い」
「死ね」
「会って早速喧嘩しないでよ!」
月島と睨み合いながら、今度は私が山口に腕を引かれて教室へ向かう。途中、私が二人とクラスを離れた事を月島に告げると、やはりというかにやぁ、と笑って「それは今年一番の朗報だね」と言ったので肘鉄をお見舞いした。涼しい顔で避けられたけど。
クラスの眼の前まで行くと、山口が名残惜しそうに私の手を掴んだまま、じぃっと見つめてくる。…あのねえ。
「そんな目で見ても変わんないから。ほら早く教室入れっての!」
「ぅわっ!?」
蹴りをケツに叩き込んで、教室に押し込んでやる。隣で月島の呆れたような視線を感じながら私は踵を返す。
「永原」
「は?」
「また後で」
「、」
そう言って教室に入っていく月島。教室の中で「ちゃんと一緒に帰ろうね!」と山口の声も聞こえた。…あーもう。
「ったく」
寂しいのがあんただけなわけないでしょーが。
01
prev | list | next