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 それからまぁ、何だかんだで山口と一緒にいた私だが、小学校は離れた。ちょこちょこ会ってはいたものの、当然幼稚園にいた頃に比べれば会う数は減っていた。小学校でいじめられているようだったが、必死に隠そうとするので気づかないふりをした。
 そうして過ごしている内に、山口に友達ができた。最近会う度よく話に出てくる『ツッキー』という子。本名は知らないが、いじめられているところを助けてもらったらしい。まぁ経緯を聞く限りでは助けた、というのか微妙な感じではあったけど。
 小学校時代、ずっと顔も知らぬ『ツッキー』の話を聞き続け、今。中学入学式。

「………」
「………」

 『ツッキー』、基『月島蛍』との対面を果たしていた。しかしなぜか共通の友人であるはずの山口がいない。おい山口どこ行った。私は元々喋る方ではないし、恐らくこの様子を見るに月島君も話す方ではないのだろう。気まずい沈黙が流れる中、私は沈黙に耐え切れず口を開いた。

「……あの」
「、何」
「永原青葉です。いつも山口がお世話になってます」
「……何それ、永原サンは山口の母親なワケ?」
「違うけど」
「じゃあその言い方はおかしいんじゃない?」

 何だコイツめんどくせぇぞ。人を馬鹿にしたような笑みを浮かべているそいつに、私は顔を歪めた。話題を広げるとかそういうことができないのか。広げたにしても、どんな話題の広げ方だよ。嫌味じゃねぇかよ確実に。

「おーい、ツッキー、青葉……ってどうしたの?」
「山口こいつ良い性格してんね」
「え!?」
「それはドーモ」
「褒めてないし」
「何で青葉もツッキーもそんな険悪なの?」

 いや、こいつが普通に返してくれれば良いモノを、かなり捻くれた答えを返してきたから。私の性格からしてそれを軽く受け流すことなど出来ない。少なくとも今は無理だ。私はすました顔をしている月島を睨みあげた。つかこいつ背高いな。

「あ、ツッキー! この子がいつも話してる永原青葉で、青葉、こっちがツッキーね」
「僕の名前はツッキーじゃないんだけど」
「ごめんツッキー!」
「月島蛍でしょ。一応フルネームは聞いたから」

 何となく少し険悪な雰囲気のまま、山口に促されて私達は教室へと向かった。
仲良く…出来るのだろうか。
03
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SANDGLASS