▼ ▲ ▼


「あーあ、負けちゃった……」

 中三の春、バレーの大会で負けてしまった山口は落ち込んでいた。同じチームであるはずの月島はあっけらかんと済ました顔をしているのに、一体どういうことだろうか。私は対応に困りつつ、溜息を吐き出した。何だかんだで月島とも二年とちょっと、付き合ってきた。最早挨拶であるかのように口からポンポンと出てくる嫌味にも慣れたし、軽く受け流せるようにもなった。しかし殆ど最初の方から『ごめんツッキー』とさらりと軽く受け流していた山口はやはり凄いと思う。
 隣で溜息の絶えない山口と済まし顔の月島に挟まれて、私は兎に角無反応で歩みを進める。本当、統一性のない二人である。しかしこれでも月島はモテるらしい。まぁ綺麗な顔をしているし、背も高い。入学式会った時も思ったが、あの時よりも更に伸びた身長は、皆よりも頭一つ分飛び抜けて高い。確かに見た目はいいがこいつの場合性格が問題である。いくら見た目が良くてもこれではダメだ。

「たかが部活で何そんな落ち込んでんの、山口」
「え、あ、そうだよね、ごめんツッキー」
「いやあんたほど割り切ってる奴も珍しいけどね」
「別に、普通デショ」

 本当に可愛げのないやつである。今日見ていても普通にうまいと思うのに、どこかつまらなそうにプレイしていた。山口は少し出て交代していたけど、その間本当に楽しそうにやっていたのに。

「月島クンはほんっと冷めてますねー」
「は? っていうかクン付け気持ち悪いんだけど」
「んだとコラ」

 …ま、バレーをやってない私はとやかく言わないけど。
05
prev | list | next

SANDGLASS