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「山口って高校どこ行くの?」
「え? んー、烏野高校、かなぁ。ツッキーも行くって言ってたし」
「ふーん……」

 烏野高校、か。あの坂登るのは辛そうだなぁ。まぁ近いけど。放課後の教室、私は目の前の進路調査表に溜息を吐き出した。今は先生に呼ばれた月島を待っている。進路とかダルい。特に勉強ができるわけでもないし、出来ないわけでもない。もういっそ全然出来なかったら志望校も限られてきて楽なのに。お父さんかお母さんに相談しようにも二人共相変わらず忙しそうで構ってくれないし。あーぁ、もうホントどうしよ。
 うんうんと悩む私を横目に、山口は「決まらないの?」と首を傾げた。頷けば、「じゃあ一緒に烏野行こうよ」と笑顔で言われて、私は一瞬返事に戸惑った。

「………」
「青葉?」
「………なんかさぁ………」
「うん?」
「ここで行くって言ったらあんたに言われて進路決めたみたいじゃん?」
「、あー……」

 山口は苦笑して声を漏らした。いや、私の心の問題なのだけど。烏野は学力も平均だし、私でも十分通える学校であるけど。

「でも俺青葉と同じ高校行きたいな」
「うーん……」

 唸っていれば、月島が戻ってきた。「待ってたの」なんて可愛くない反応に私は溜息を吐き出した。

「もーちょっと何かないの?」
「ドーモアリガトウ」
「かーわいくない」
「頼んでないし………って、まだ出してないワケ?」

 私の白紙の進路調査書を見て眉を寄せる月島。うるさいなぁとそっぽを向くと、「同じとこでいいじゃん」と何とも意外な月島の言葉にパッと顔を上げた。ほう。月島にそういう事を言われるとは思わなかった。

「ツッキーもそう思う!?」
「待たされる先生が可哀想デショ」
「同じとこ行きたいならそう言えばいいのに」
「そんなこと言ってないデショ馬鹿じゃないの」

 ほんのり赤い月島の顔に笑った。
06
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