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「青葉!!!」
「……………何朝っぱらから」
朝、インターホンを連打して強制的に眠りを妨げてきた山口を睨み、私は玄関の前で身震いした。山口の大きい声が頭に響く。お父さんもお母さんも朝方頃に帰ってきて寝てるんだよ静かにしてよ。山口本当に元気だね。びっくりするくらい。
冬の朝は本当に冷える。三月の上旬、庭の草木には大量の霜が降りてきている。ぅわあ、どおりで寒いわけだよ。眠たい目をこすり、大きく欠伸を漏らす。山口と家は近いがそれでも歩いて五分はかかるというのに、一体態々こんな早朝からなんの用なのだろう。
「青葉! 見た!?」
「うるさいんだけど………母さんたち寝てるんだってば…………、は…? なにが?」
「あっ、ごめん! 高校のさ、合格発表!」
こいつ分かってねえな。内心で若干冷めた目を向けながら、ぼんやりと頭の中で意味を咀嚼する。合格発表……ああ、そういえば今日か。
そう理解した時、山口の携帯が目の前に差し出された。近すぎて画面が二重に見える。眉を顰め、携帯をある程度遠ざけて、改めてその画面を見る。合格者の番号がズラッと並んでいた。山口がこんなに喜んでいるということは、山口は受かったのか。いや多分私か月島どっちかが落ちててもこいつは落ち込んでいるだろうと思うので私と月島も合格かもしれない。山口なら私と月島の受験番号覚えるのなんか簡単なことだろうし。
合格発表者の欄を順に見ていくと、思ったとおり私の番号もあった。月島の合否は山口の反応を見ずともわかっていた。あいつ頭良いし、落ちることはないだろうから。
「これで同じ高校行けるね!」
「だぁから静かにって……」
「お祝い! お祝いに今日出掛けよう! ツッキーも誘って!」
「分かった! 分かったから静かにしろ!」
本当にこいつは!!
08
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