こいつ全然分かってない



「え、フンコロガシ屎泥課? マジで?」
「うんマジマジ。あいつ最近遅刻ばっかだったからなぁ…」
「うわー……マジかぁ……ヤバイな」

 皆さんこんにちは。鬼灯に時間が出来て暫くしまして、烏頭が屎泥処のフンコロガシ屎泥課(まあ字面で察して欲しい)という所へ異動になりました。要するに左遷されました。

「あれって相当な事ないとならないんじゃないの。いつかはやらかすと思ってたけど、案の定だよね」
「だよなあ…」
「だあうるせえな!! コソコソこっち見ながら話すんじゃねえ!!」
「あらごめんなさい聞こえてらした? おほほ」
「キメェんだよ空木テメェ!!」
「あ? 誰が? キモいって?」
「いででででこの暴力男女!!」
「せめて暴力女って言えこのバカヤロウが!!」

 あくまでも私を男扱いしたいらしい烏頭の頭をグーで殴ってやる。頭を抑えてうずくまる烏頭を横目に、私は小さく溜息を吐き出した。

「いやあ屎泥処異動とか相当じゃん馬鹿だねー」
「他人事だと思いやがって!! フンコロガシだらけの職場だぞ!? う●こだらけだぞ!!」
「オメーそのう●こ持って私のとこよく来てただろよく思い出せ」
「人間仕事になるとやる気失せるんだよ!!」
「人間じゃなくて鬼だろーがお前は!!」

 正論をぶつけて烏頭を黙らせ、私は息を吐きだしてぐりぐりと烏頭の頭を撫でてやる。ホントにアホだしガキだしどうしょうもないバカヤロウだけど大切な幼馴染だし、行きたくない気持ちもまあ、確かに分かる。私だってそりゃう●こだらけの上フンコロガシさんしかいない職場で働いて目立つのはいやだ。だがしかし、今回は勤務態度の悪かったこいつが全面的に悪いのだ。

「鬼灯だってこんな辞令出したくて出したわけじゃないだろうしさ」
「どーだか」
「お前はなー、遅刻しまくって勤務態度も最悪だった自分のせいだって自覚はないのかオラ」
「あーもうわーったよ!! 頑張りますよ頑張ればいいんだろ!!」

 ヤケクソにそう叫んだ烏頭は分かったのか分かってないのか分からないが、まあしかし任された仕事はどんな形であれやるやつなので大丈夫だろう。隣でずっと言い合いを眺めていた蓬と顔を見合わせてふ、と笑い合う。
 そして小声で、拗ねている烏頭に聞こえないように蓬と話す。

「明日から烏頭がいないなら、職場静かになるね」
「そうだな」
「ちょっと寂しいけど仕方ない」
「それ本人に言ってやればいいのに」
「やだよ調子乗るもん」
「はは……確かに」
「おい何二人でこそこそ話してんだよ!」
「何でもないよ」
「はあ!?」

 怒り出した烏頭に、また蓬と顔を見合わせて笑った。


 ▽


「烏頭う●こ返りおめでとー」
「うっせえ!!」

 そう言ってコップを軽くぶつけて、一気に飲み干す。仕事終わりのビールは美味い。これで美味しいつまみがあったら最高だけど、まあ今日は宅飲みだからしょうがない。
先日、烏頭がめでたくフンコロガシ屎泥処から戻ってきた。パチパチ、とふざけて手を叩くと、軽く頭を叩かれた。はは、すでに酔っ払ってるようなやつの攻撃なんて痛くない。

「まさか戻ってくるとはなあ」
「ねー、暫く職場静かだったのに」

 そう言ってふざけて笑うと、烏頭が苛立ったように「戻ってくるに決まってんだろ」と言った。いやあでもあそこから戻ってくるとか逆に勇者だよね、びっくりした。ずっとあそこに居るのかと。

「ずっとあそこにいるとか冗談じゃねえ」
「うーん、私にう●こ突き出してきた頃からすると成長したのか…」
「だっからいつの話してんだよそれは!! 神代くらいのときだろ!」
「まああの頃から大して成長もしてない気もするけどね」
「お前だって相変わらず男か女か分かんねえ容姿のくせに」
「なんだとこら」
「あーもうやめろってばお前らは! 放っといたらすぐ口喧嘩するんだから!」

 蓬に止められて、渋々黙る。コップに口を付けて一息付くと、少し落ち着く。

「まあでも、戻ってこれて良かったじゃん」
「…おう」
「今度こそ勤務態度改めないとダメだよ」
「分かってるよ」

 そう言って笑った烏頭はまた暫くしてフンコロガシ屎泥処へと見事二度目の栄転を果たした。