09


 仮面をつけ、スーツやドレスに身を包んだその人たちはホールに閉じ込めていたはずの顧客たちに違いない。
 甲板を埋め尽くす勢いで現れた大勢の人たちは黒煙を見てさらに悲鳴を上げて、少しでも離れようと煙が上がっているのとは反対側に目掛けて走り出す。けれど船は既に大きく傾き始めているので沈むのは時間の問題かもしれない。

『まずいレオナ氏! 今の爆発で船体の横に大穴が開いてるし船内で火災が発生してる!』

 ざざ、とノイズが走りイデア先輩の声が耳元で響く。

「なんだと⁉」
『多分今のスイッチが原因っすわ! 相手は人魚、レオナ氏が言ってた通り何か起きたら足が付かないように事故に見せかけて顧客や商品諸共船を沈める算段だったのかも!』
「っ……レオナさん! ほとんど雑魚は捕まえたんスけど、爆発と客に紛れて何人か見失ったッス!」

 ラギー先輩とフェローさんは傾きに耐えながら一緒にハーネスさんの部下を縛り上げているがその中に目立っていた中心人物たちの姿はない。

「ごめんなさい兄さん、僕の視覚映像にも彼らの姿はどこにも映ってないみたい……!」
『そんなことよりまずいって! オルトを貨物に潜り込ませていたおかげで船の正確な位置は把握できてるけど拙者たちが追い付くまでまだまだ時間がかかる! 救命ボートはほとんど使っちゃったし、このままじゃ残った君たち全員水の泡!』

 イデア先輩の言葉に私とラギー先輩、それにフェローさんが青ざめる。

「オレとジェイド、それにアズールは大丈夫だけど、流石にこの人数全員は助けらんないかもなぁ」
 気絶させた男性をフェローさんに押し付けて肩を竦めたフロイド先輩がジェイド先輩とアズール先輩と一緒にやってくる。
「まったく……やることなすこと最悪ですね彼は。まったくビジネスの参考にできません」
『言ってる場合か! なんなんアズール氏、こんな時まで『成功者の体験は役に立つ』とか言うつもりなんか⁉』
「実際、救命ボートというのはこういう緊事を経験したからこそ備え付けられたのでは? 先人の知恵は役に立つ。知識の蓄積はいざという時に必要なことですよ」

 やれやれと首を横に振ったアズール先輩は我先にと駈け出した顧客たちを見つめて息を吐く。

「まあ、僕はああいった方々と肩を並べたくはありませんが……。他人の人生を金で買おうとするから自分たちの命すら軽く扱われてしまうんです」
「しかしどうするんだ? プレイフルランドほどこの船は丈夫じゃなさそうだ。冗談抜きに沈むのも時間の問題だろ」

 上がり続ける黒煙を見つめたフェローさんの頬から焦ったように汗が伝う。
 人魚の三人を除いた全員が深刻な面持ちで押し黙るとオルトくんが手を上げる。

「僕が穴の様子を見てくるよ! 多少でも穴を塞げれば沈没を遅らせることくらいできるかも」
『はぁ⁉ 危険すぎるって!』
「でも助けが来るまで時間がかかるんでしょう? だったらやるしかないじゃない!」
『そ、それはそうなんだけど……』
「僕なら煙を吸い込む心配もいらないし、任せて兄さん!」
『あ、ちょ、オルト!』

 イデア先輩の制止も聞かずオルトくんはスラスターで体を浮かせ、無人になった船内へと戻っていく。
 彼を見送る私たちの後ろでは残った数少ない救命ボートの座席を争い大人たちが醜い争いを続けている。
 喚き散らしている人の中には船に乗ることを諦め次から次に船外に飛び降りる人もいるけれど、船体の周りの波は高く、あれに飲み込まれてしまえばどこに運ばれるかなんてわからない。
 金ならいくらでも出す、だから私を乗せろ、乗せるんだ。そんな叫びがむなしく響き私たちは思わず顔を見合わせた。

「どいつもこいつも、金、金、金。この状況でも金に力があると思っていやがる」
「金で席を譲ったところでその金を受け取る前に自分がくたばったら意味ないッスよ」

 眉間にぐっと皴を寄せたラギー先輩が首を横に振り、柵まで近づいて助けの船はまだ来てないのかと目を凝らす。

「ラギー先輩、何か見えますか?」
「いや、なーんもな……っメイくん!」
「へっ?」

 私も見渡してみようと彼を真似て柵に近づいてみると振り向いたラギー先輩が目を大きく開いて叫びだす。
 その視線を辿るように振り向こうとすると何か強い力に腕を引っ張られる。

「……っ!」

 ぐ、と勢いよく引かれたそれに逆らえずバランスを崩した私の靴は脱げ、裸足のまま一、二歩引きずられると首を後ろから締めるように押さえつけられる。

「ぁっ……な、に……っ」
「メイくん!」

 慌ててラギー先輩が手を伸ばしてくれるが、彼の手は届かないどころか牽制するように叩き落される。

「商品に触れるな! さあ、彼女を傷つけたくなければどうすればいいか……賢い君ならわかるだろうレオナくん?」
「ハーネスっ……!」
「くそ、どこに隠れていたんだ……!」

 ぎりぎりと太い男性の腕に首を絞められる。

「うっ……ぁっ……」 

 まともに息をすることも難しくまるで水中にいるようだ。息を求めて唇を震わせれば後ろで聞き覚えのある声がする。

「ま〜ったく、こうしてお前を捕まえるのは何度目だぁ? やっぱ少し痛めつけて大人しくさせておいた方が良かったかな」
「お前の痛めつけるはシャレにならねぇんだよ。やめとけやめとけ。旦那に怒られちまうだろ」

 この声は乗船時に私を捕まえた時の二人、大男とリーダー格の男性だ。
 リーダーに言われて大男の腕の力は少し緩められたが代わりに目の前にナイフが光る。

「ハーネス! その子は僕のなんだ、傷つけるのは許さないからな!」
「わかってますよエディリダ様。おい、傷はつけるなよ。そいつにはまだ一億の価値があるんだ」
「へい、ボス!」

 ハーネスさんの指示に頷く大男をエディリダさんは睨みつけて叫ぶ。

「くそ……、傷が付いたら減額するからな!」
「はなっ……し……」

 緩められたとはいえ首が絞められているのは変わらない。揉める男性たちの声が徐々に意識から遠のいていく。朦朧とする意識の中、必死に手を伸ばすけど私を人質に取られて動けないレオナ先輩たちの姿がかすむ。

「せっかくまたお前とこいつで酒が飲めると思ったのにがっかりだぜフェロー」
「そうだそうだ。アニキと一緒にどの店で飲むか相談までしてたんだぜ」
「そいつはご期待に添えなくて申し訳ねぇな。だが、俺はもうこんなふざけた商売に加担するのは金輪際ごめんなんだよ!」

 顔見知りなのか、親しそうにフェローさんに話しかけた二人は残念という割ににやにやと笑って敵対することを楽しんでいるようにも見える。
 まるで二人との関係を振り払うように腕を大きく横に振ったフェローさんはレオナ先輩の隣で杖を構える。けれど、私が人質に取られているから誰も魔法を放つことは出来ないでいる。
 そんな皆をあざ笑うようにハーネスさんが指をパチンと鳴らす。するとガクンとまた大きく船が揺れ出した。爆炎が濃くなったことでさらに悲鳴が飛び交う。

「さあ早くこれを飲め……!」
「うっ……うぇっ………」

 アニキと呼ばれていたリーダー格の男性に突然口に苦い何かをねじ込まれ、無理やり飲み込まされてしまった。

「っ……はぁっ、ぐっ……なに……くるしい……これって⁉」

 身に覚えのある苦しさが何を表しているのかわかった私は焦りから身を捩じる。けれど逃げることは出来なくて、絞めつけられていること以外の要因で酸素が上手く吸えなくなって藻掻いていると私の身体を引きずって犯人たちは柵を飛び越える。

「っ……⁉」

 そのままの勢いで私を空中に投げ捨てた男はにやりと笑い。重力に逆らうことが出来ないまま私は海に向かって垂直に落ちる。

「くそっ……メイ……! メイーーーーっ……!」

 必死にレオナ先輩が私を呼ぶ声を背に、私は海面へ沈んだ。

◇◆◇

 沈む寸前、咄嗟に息を止めたけれど苦しさに耐えかねて少しずつ空気を逃がしてしまう。
徐々に海面が離れて行く恐怖にすっかり水を吸って重たくなった衣服に抗いながら藻掻いてみるけど私の体は一ミリも浮上しない。

「まったく、無駄な足掻きをするんじゃない」
「っ⁉」

 突然足に重りでも巻き付けられたように身体がさらに水中へと沈む。
 驚いてしまった私は口を大きく開いてしまって慌てるが、ごぼり、と泡が昇るのに反して呼吸は全く苦しくならない。
 そのことに驚きながらも自分に絡みつく何かを見ようと必死に足元を確認すれば、それは二つの瞳をギラギラと輝かせにやりと笑う。

「お転婆がすぎるのも考えものだ。まあ金さえもらえれば私には関係がないことだがね!」

 皮膚の色が変わり、鋭い爪を持ったその生き物は……いや、その人は水中にもかかわらず自在に動く。

「怖がることはない。君はただ私に従うと、そう頷いてくれるだけでいいんだ。そうすればこの暗い海からは助けてあげよう」

 甘い声でそう囁きながら顔を近づけ、瞳で弧を描く人物は姿は違えどハーネスさんその人で、思わず悲鳴が漏れる。

「ひっ……」
「ハーネス、早くその子を僕に渡せ!」
「申し訳ありませんがそれは出来ません。お金をまだ頂いていないでしょう」
「くそ、こんなことなら現金を持ってくるんだった!」

 ハーネスさんの隣でもう一人の人魚が舌打ちをする。
 すっかり見慣れたその容姿はエディリダさんのもので、彼も人魚だったのかと衝撃が走る。

「あぁ、それにしても本当に僕好みだ! これでお前に見つけてもらったお嫁さんは何人目だったかな」
「さあどうでしたかな。今度ご自宅の地下で骸の数を数えてみては?」
「エヒヒヒ、そうだな。それがよさそうだ」
「や……いやっ……!」

 骸という言葉に一気に血の気が引いていく。買われた女の子がどうなったのか、想像しなかったわけじゃない。
 私には想像の及ばない苦しい思いを強いられただろう。けれど、せめて生きていて欲しかった。

「そんなに怯えなくていいじゃないか。今時、異種婚なんて珍しくもない。エディリダ様は君を幸せにしてくれるよ」
「いやです!」

 必死に首を横に振ってすべてを拒絶するように彼を睨めば、長い爪を持つ手が私の身体を引っ張り、より深い海中へと引きずり込む。これ以上深海に引きずり込まれれば水圧で私はどうにかなってしまうだろう。
 よく見れば二人以外にも大男とリーダー格の男性、その他にも船上で見かけた顔が人魚に姿かたちを変えて私たちの周りを泳いでいる。
 海の中でこんな大勢の人魚に勝てる算段が思いつかない。それでも逃げ出そうと藻掻く私を笑い飛ばすハーネスさんの声だけが楽しそうに水の中で木霊する。

「うっ……ふっ……」

 もうだめかもしれない。そんな諦めが過るのと同時に私の口から嗚咽が漏れると吐き出された音と共にごぼ、ごぼと海面に向かって泡が浮上する。それを追いかけるように手を伸ばしながら顔を上げると黒い影が頭上を覆って光を遮る。
 そのあまりの大きさに私が目を見開くのと身体に衝撃が走るのはほとんど同じタイミングだった。

「ぐあっ!」
「ボス⁉」

 どこからか放たれた魔法がハーネスさんにぶつかって彼の手が私の足から離れて行く。

「っ…………!」

 与えられた衝撃に従って私の身体は流され彼から大きく離れる。二転、三転と回転しながら吹き飛ばされ、どちらが上でどちらが下なのかなんてもうわからない。
 それでも必死に水をかき、海面を目指そうとしているとまた大きな影が私の上に現れた。

「……っぁ……!」

 水中にわずかに差し込む光でも私がその人を見間違えることはない。
 伸ばされた手を手繰り寄せその身体に捕まれば、彼を支える大きな体が私たち二人をハーネスさんたちから引き離す。
 必死に目の前の身体に抱きつけば、水中を漂う彼の鬣が首をかすめてくすぐったい。

「レオナ先輩……っ……うっ……うぅ……ひっくっ」
「大丈夫か……」

 安心させようとしてくれているのかレオナ先輩の手が背中を何度も往復する。

「トド先輩、水中でも魔法が使えるならオレはあっち加勢してくる。小エビちゃんのことよろしく!」

 人魚の姿に戻っていたフロイド先輩が勢いよく水中深くへと潜っていく。

「加勢……って他にいったい誰が……」
「あいつの片割れだ。流石のリーチ兄弟もあの人数を相手にするなら数は一人でも多い方が良いだろう」
「そう、なんですね……」

 暗い海の底での恐怖を思い出し縋りつけばレオナ先輩の手が背にまわったまま強く抱きしめてくれる。この腕の中にいるとここが海の中だなんてことを忘れてしまいそうな安心感に包まれる。

「そういえば、水の中なのになんで私たち呼吸が……」
「お前はさっき飲まされたのが魔法薬だったんだろ……。俺は念のため事前に用意してたのを飲んできた。まさか本当に必要になるとは思わなかったがな」

 そう言ってレオナ先輩はポケットにしまっていた小瓶を見せてくれる。
 まさかそこまで用意してただなんて……。相手が人魚だから海中での戦闘は避けるべきだと言っていたのに流石レオナ先輩だ。

「あいつらの狙いはお前の命じゃない。生きて連れて帰らなきゃ意味がないはずだ」
「異種婚とかなんとか言ってました……」

 エディリダさん……彼は気に入った女の子をあの船で行われる非合法な手段で手に入れ続けている人で、ハーネスさんと何度も取引をしているようだった。だからハーネスさんも太客として贔屓にしているのかもしれない。
 同じ人魚同士、暗い海の底。陸の人間の手が届かない所での密談はきっと上手くいくのだろう。
 彼らが何度もこんなことを繰り返しているのかと思うと体が震える。数えてみればと言っていた骸の数は想像するだけで恐ろしい。あの船でどれだけの女の子がそんな被害に遭ってきたんだろう。

「そういえば匂いをまた付けられてたみたいですけど水に落ちたからこれで平気ですよね」

 今までは私が原因で行動を把握されてしまったみたいだけど、これでもう追われることはないだろう。

「私たちはこれからどうしましょう……」

 海流の動きが早く自然と体が流される。船上で見た時から波は高く打ち上げていた、ヒトと獣人である私たちではこの流れに逆らうことは難しいだろう。

「追いかける直前にカイワレ大根に聞いた話だと近くに陸地があるらしい。……と言っても俺たちじゃたどり着く前に力尽きるだろうが……」
「そんな……きゃっ⁉」
「メイ……!」

 下からぐっと身体が引っ張られる。
 水の中では思うように力が入らないのか、レオナ先輩の手をすり抜けて私の身体はまた深くへと沈んでしまう。

「レオナ先輩……!」
「っ……くそ!」

 杖を一瞬構えた先輩は私に当たることを危惧したのか悔しそうに唇を噛み締め、その姿が一瞬で見えなくなると私たちを引き離すように私の足を引っ張る何者かは今度は横に大きく移動してどんどんレオナ先輩がいた場所から遠ざかる。

「まったく、何度も何度もてこずらせてくれる!」

 私を捕まえた犯人、ハーネスさんが煩わしそうに眉間にしわを寄せると近くの部下に私の身体を押し付ける。

「なんで水中で簡単に私たちのいる場所が……⁉」
「残念だが陸で付けた匂いは水に入ると取れてしまうが、この姿で付けた匂いは私が魔法を解かない限り効果が続く! 君を見失う訳にはいかないからね、海中に引きずりこんでから上書き済みさ!」
「そんな……!」
「そもそも、人魚相手に海で逃げられると思ってる方がおかしいんだよ!」

 大きな牙を光らせて、リーダー格の男性が叫ぶ。
 彼も魔法士だったのか、魔法石を掲げて手を伸ばす。

「ハーネス様、エディリダ様、俺たちがウツボ野郎を足止めしてる間にこの海流に乗ってください!」

 伸ばされた彼の手から魔法が放たれ、人工的な海流が生まれて身体がどんどん流される。
 まるで波に乗るように人魚たちは私を捕らえたまま海流を突き進み、このままではどこかに連れ去られてしまう。

「ウツボ……フロイド先輩……ジェイド先輩……!」

 そうだ、レオナ先輩に私を預けて二人はこの人たちと戦う為に姿を消した。
 どこにいるかはわからないけど、きっと近くにいるはずだ。

「先輩! 助けて! 助けて! 私ここです!」
「くそ、暴れんなっ!」

 部下の人魚の腕が身体に巻き付く。強い力で羽交い絞めにされた私はただ叫ぶことしかできない。

「せんぱい……レオナ先輩っ!」
「ぐあっ!」

 思わずレオナ先輩の名を叫ぶと急に腕の力が弱まった。

「いい加減にしろよ……そいつはテメェらが簡単に触れていい奴じゃねぇんだよ……!」
「レオナ先輩……っ!」
「おやおや、獅子の怒りを買ってしまったようですね」

 声の方へ振り向くと左右色の違う瞳が弧を描く。

「くそっ! こんなに早く追いついてこれるのかよ⁉」

 長い影が頭上を過り、海流に乗って必死に移動するハーネスさんたちをあざ笑うかのように簡単に追いついた。その背からは何度も魔法が放たれていて、彼の部下を一人、また一人と沈めていく。

「オレらから逃げられると思ってんの? 諦め悪すぎ。小エビちゃんを放せよ!」

 人魚に戻ったジェイド先輩とフロイド先輩には例え同じ人魚でもきっと勝つことは難しいんだろう。
 ウツボだ……!と怯えた声がする頃には既に彼は間合いに飛び込んでいた。

「ぐあっ!」

 が、っと打撃を加える音が何度か響くと私を掴んでいた手が完全に離れて自由になる。

「レオナさん、今度こそメイさんを……!」
「ああ!」

 勢いよくジェイド先輩の背から飛び降り、レオナ先輩が私の目の前にたどり着く。
 その腕の中に飛び込めば杖を構えたレオナ先輩が今度こそ離さないといわんばかりに力強く抱きしめてくれる。

「くそっ……邪魔な野郎だ……!」

 まだ倒されていなかったリーダー格の男性は大男と共に私たちの前に立ちはだかる。

「邪魔なのはお前たちの方だろうが!」

 レオナ先輩が魔法を撃つ。けれど、それよりも早く彼らが泳ぎ避けられてしまう。
 フロイド先輩たちはハーネスさん達を追いこんでいて、こちらへの助太刀は望めない。
 海の中という非常に不利な戦いで、私という足手まといを守りながら戦っていてはレオナ先輩のブロットがあっという間に溜まってしまうだろう。

「レオナ先輩……」

 追い詰められた状況で、私は今度こそ絶対に離れないようにレオナ先輩にしがみつく力を必死に強めた。

←前へ 次へ→

    TwstMenu/INDEX

ALICE+