逢い引きと横恋慕

▽シャボンディ諸島(連載IF)リク

 シャボンディ諸島に上陸して数日、ハートの海賊団のトラファルガー・ローさんとひょんなこと顔なじみになった私は、今現在シャボンディ諸島の比較的治安の良い地区でトラファルガーさんを待っていた。
 なんで他の海賊団の船長さんを待っているのかと言うと、ついこの間突然今日会う約束と言うより、半ば強制的に約束を取り付けられたからである。別にトラファルガーさんと会うのは嫌じゃないけど、なんで私なんだろう……、
 そんな疑問を考えながら手首につけてある腕時計を見る。すでに約束の時間を10分以上過ぎてる、トラファルガーさんが約束を破る人には思えないし、もしかして来る途中に何か事件に巻きこまれたとか……。でも、トラファルガーさんは億越えのルーキーだし、そんな簡単にやられたりする筈はないと思うけど。
 悶々とトラファルガーさんの安否を気にしていると、ふっ、と目の前に影がかかる。不思議に思って地面を見ていた視線を上にあげると、

「何やってんだヒノデ?」
「ゾロさん!?」

 視線の先に居たのは、不思議そうな顔したゾロさんだった。確か武器屋に行くって言ってたのに、なんでこんな場所に居るんだろう? ここは服屋さんとかカフェとかしかないのに。
 私が疑問に思っている事が伝わったのか、ゾロさんはバツの悪そうな顔をして、頭を掻くと、ボソボソと話し始めた。

「その、武器屋に行こうとして、たまたま行く道を間違えただけだ」

 つまり迷ったっていう事なのかな? 恥ずかしそうに言うゾロさんに思わず笑みが零れてしまい、慌てて両手で口を隠すけど、ゾロさんにはバレてたのか、両頬を引っ張られる。

「いひゃい、いひゃいです! ゾロしゃん!!」
「うるせぇ、なに笑ってんだ」
「らって……」

 両頬を引っ張られたままのせいか、うまく話せないし、正直男の人、特にゾロさんに引っ張られるのは凄い恥ずかしい……!!
 頬を引っ張る手に自分の手を添えて離そうとすると、ゾロさんも満足したのかあっさり手を離してくれた。少しだけ頬がヒリヒリする。赤くなってるかもしれない。
 痛みを和らげようと、頬を掌で擦っていると、ゾロさんが不審そうな目を向けてくる。私何かしちゃったかな? 一抹の不安が過るけれど、ゾロさんがこんな目を向けててくるような事をした覚えはない。

「あの、ゾロさん、どうかしたんですか?」
「それはこっちのセリフだ。なんでこんな所に一人でいるんだ?」
「あ、それは――――」

 トラファルガーさんと会う約束をしてるんです。と言う前に、突然視界の隅に現れた手に口を塞がれて声にならなかった。
 突然口を塞がれた上、腰に手を回されて、吃驚して身動きが取れないでいると、背後からここ数日で聞きなれた声が上から降ってくる。

「おれと約束してるからだゾロ屋」
「てめェ!」

 突然背後から現れたのは、私がさっきから待っていたトラファルガーさんだった。良かった無事だったんだ。と安堵するけれど、そんな気持ちは直ぐに頭の隅に追いやられてしまった。
 何でゾロさんとトラファルガーさんこんなに殺気飛ばしあっているんだろう、そんなに仲悪くないと思うんだけど。そんな疑問が浮かび上がる。
 それにトラファルガーさんも出来ればそろそろ腕を放してほしい、抱きしめられてるみたいで正直とても恥ずかしい。
 今の私の顔はきっとトラファルガーさんに抱きしめられているという事に、羞恥で真っ赤に染まっているだろう。

 だけど、そんな私の気持ちとは裏腹に、身をよじりながらトラファルガーさんの腕から抜け出そうとする私に気付いたのか、なぜか腕の力を強めるトラファルガーさんに、疑問しか思い浮かばなくて、私より数十センチ高い位置にあるトラファルガーさんの顔を仰向けになる形で見上げるけれど、ゾロさんに視線を向けているせいか、目が合わない。

「何でお前とヒノデが会う約束してるんだよ。それと――」

 一旦言葉を止めると、ゾロさんは私に目を向け、未だにトラファルガーさんに拘束されている私の手首を引っ張った。突然腕を引かれて体勢を立て直せるほどの運動能力を私は持ち合わせていない。これから来るだろう固い地面の衝撃に身構えたけれど、私を待っていたのは、地面の堅い感触ではなく人独特の温かい感触だった。
 そう、ゾロさんに抱きとめられたのである。抱きとめられた私は、すぐに離れようとするけれど、肩に腕を回されて離れることは出来なかった。それどころか、余計にゾロさんの胸に顔を埋める形になってしまい、密着することになってしまった。

 胸に顔を埋めているからか、ゾロさんの心臓の音と、匂いを直に感じて、心臓がバクバク音を立てる。

 いくら不可抗力とはいえ、好きな人に抱きしめられて普通でいられるほど、私の心臓は強くない。頬に熱が集まるのに時間はかからなかった。体が石のように動かなくなったけど、次の瞬間、体を石にしている場合ではなくなった。

 トラファルガーさんが能力を発動したのである。ドーム状のサークルに包まれたと思うと、次の瞬間には別の場所に瞬間移動していた。人生初の瞬間移動だと思う。いや、普通に生きていたなら瞬間移動自体絶対にないことだと思うけど。
 人生初の瞬間移動に驚きながらも、今回の瞬間移動を行った諜報人トラファルガーさんに恨めしげに目を向ける。

「いきなり能力を発動させないでください! トラファルガーさん!」
「うるせえ、大体何であそこにゾロ屋が居た。お前が呼んだのか?」

 あれ? トラファルガーさんもしかして怒ってる? 
 ピリピリした雰囲気を纏わせているトラファルガーさんを見て、戸惑う事しかできない。ゾロさんを呼んだのは私ではないけど、そうだよね、確かに勝手に違う人事前にお知らせもしないで約束しなかった人が居たら嫌だよね。言い訳なんて出来ない。自分のしたことに対して謝罪しようと、深く頭を下げる。

「すみません、あの……」

 どう謝罪していいか分からず、口ごもっていると、ゴンッと後頭部に衝撃が走る。突然殴られたことに驚いて、叩かれた頭を押さえながトラファルガーさんを見上げると、なぜか満足そうな顔をしていた。もしかしてこれでチャラって事なのかな。
 トラファルガーさんが許してくれたのか分からなくて、首を傾げると、呆れたようにため息を吐かれてしまった。

「もういい、気にしてねェ、その様子だと、白刃屋が呼んだわけでも無そうだしな」
「でも!」
「良いって言ってんだろ、それ以上無駄なこと喋るなら本気で切れるぞ」
「す、すみません……」

 許してくれたのに、またトラファルガーさんの機嫌を悪くさせるのは嫌だから、慌てて謝る。フンッと鼻を鳴らして、辺りを見回したトラファルガーさんに習って、辺りを見回す。ここは一体何番グローブなんだろう。辺りには折れた剣や人骨が落ちている。
 まさかここって……。

「18番グローブだろうな」
「そうですよね……」

 私の考えている事が分かったのか、そう答えるトラファルガーさんに冷や汗が背中を伝い、言い知れない恐怖が体を支配する。

 18番グローブ。それはシャボンディ諸島の中でも治安が悪くて、賞金稼ぎや人攫いが大勢いる所。不安が不安を呼び、私の先を歩いているトラファルガーさんの背中に小走りで駆け寄る。
 こんな所でトラファルガーさんと離れて無事でいられる自身は無い。
 そんな私に気付いたのか、トラファルガーさんは足を止めて、振り返ってくれる。待っててくれるんだ。と思った私の気持ちとは裏腹に、トラファルガーさんは口元に怪しげな笑みを浮かべると、先程よりも早いスピードで歩き始めてしまう。
 何で!? そんな言葉が頭をよぎるけど、驚いていてる暇はない。早く追いつかないと、本当に置いていかれちゃう。
 急いで走り寄るけど、足元まで気が回らなかったせいか、何かに固い物に右足が引っ掛かって、両手を地面に着く暇もなく、勢いよく地面に体を強打してしまう。地面に倒れたまま足の方を見ると、右足に木の根っこが引っ掛かっていた。
 忌々しげに私が転ぶ原因となった木の根っこを睨むけど、前の方でブハッと吹き出す声が聞こえて、地面に倒れ込んだまま顔だけ声の方にあげる。

「お、まえは、本当に見てて飽きないな……!!」
「ひどいですよ、トラファルガーさん……!!」

 未だに口元を隠すように手を当てて笑っているトラファルガーさんを睨むけど、多分効果は期待できない。自分でも軽くあしらわれちゃうんだろうな。と思ってしまうところが更に悲しい。
 流石にいつまでも地面に寝ているわけにもいかないので、立ち上がろうとした時、目の前に手が差し伸べられる。

 え? なんだろう。
 この場で私に手を差し伸べてくるのは一人しかいない、差し出された手の先に居る人物を確認しようとする前に、右手を掴まれ力任せに立ち上がらせられる。

「ノロノロすんな。集まってきやがった」
「え? 何が――――」

 ですか? と言う言葉は、突然私達二人の足元の間に放たれた弾丸によって続かなかった。
 チッと忌々しげに舌打ちをしたトラファルガーさんは、突然の事に足が地面に縫い付けられたように動かない私を、弾丸から逃がそうと、突き飛ばす。
 突き飛ばされた私は、突然の事に受け身を取る事が出来なくて、体勢を崩して地面を転がってしまうが、転がる勢いが弱まった時、急いで何とか体勢を立て直すとヒップホルスターに差さっている血液の入ったビーカーを三本空中に放り投げる。
 放り投げられたビーカーは蓋が取れて宙に血液が四散する。
 放たれた銃弾の先を見ると、そこに居たのは、パッと見て30人近くは居るだろうガラの悪い賞金稼ぎの人達だった。

 自分より数メートル離れた場所に居るトラファルガーさんの安否を確認しようと声をかける。

「大丈夫ですかトラファルガーさん!?」
「ケンカ売ってんのか白刃屋」
「あ、え、すみません……!!」

 心配しただけなのに怒鳴られちゃった……、確かに私より強いトラファルガーさんを心配するのは失礼だと思うけど。
 余計な心配だったのか、逆に怒られてしまったけれど、次々と放たれる銃弾に、もう人の心配をしている暇は無かった。急いで宙に四散した血を両手で円を描くように動かし、自分の正面に集める。

「ブラッディイージス!!」

 正面に集まった血は、私と銃弾の間に平たい円を描きながら渦を巻く。私に向かって放たれた銃弾は渦を巻いている血の盾に阻まれて、血の盾を通り過ぎて私側に来るころにはその勢いは落ち、盾を通り過ぎた瞬間、重力に従って地面に落ちた。
 せ、成功して良かった。もう数か月海賊をやっているけど、やっぱり戦闘は怖いし、出来れば避けたい。心臓はバクバクと音を立てるし、まだ何もしていないのに息が上がってしまう。
 トラファルガーさんの方はどうしたんだろう。
 余計な心配だと思うけれど、やっぱり気になってしまう。盾もあるから大丈夫だと思い、視線をトラファルガーさんに向けたのが間違いだった――――、

「バカ! よそ見するな白刃屋!!」
「え」

 バンッ!! と言う音が聞こえたと思うと、私の体は右に倒れた。
 倒れた拍子に砂埃が宙を舞い、砂利独特の痛みが体を襲う、一瞬何が起こったか理解が出来なかったけれど、左の額から流れてきた生暖かい自身の血で額を銃弾がかすめたことが分かった。
 今まで怪我したことは何度もある。でも、慣れる事なんてありえない。
 直ぐに血が硬化して絆創膏のように傷を塞いでくれるけど、傷を治してくれるわけではない。ズキズキと痛む額の痛みを抑えるように額に左手を押し付けるけど、痛みが引くことなんてありえなくて、そして敵が待ってくれるはずもなかった。
 視界の端でトラファルガーさんの慌てた顔が目に入る。銃弾が放たれた左側を見ると私に向かって刃が振り下ろされようとしていた。

 ――今から能力を発動しても間に合わない!!

 これから来るであろう痛みに、目をきつく瞑った時、

「三十六煩悩鳳!!」

 突然聞こえてきた声と同時に、私に振り下ろされようとしていた刃と、刃の持ち主が左横から飛んできた斬撃に吹き飛ばされる。
 何度も聞いたこの声は。
 斬撃が飛んできた方向に直ぐに目を向ける。そこに居たのはやっぱり、

「ゾロさん!!!」

 視線を向けた先に居たのは、私が想像していた人物ゾロさんだった。
 殺されなかったと言う安堵から目から涙が溢れだす。情けない。同じ海賊なのに……、足を引っ張ってるだけだ。
 殺されなかったという安心感と、自分の不甲斐なさに、次から次へと溢れ出す涙を止める術は無くて、手の甲で拭うしかない。
 止まらない涙に、どうしていいか分からず、ひたすら手の甲で拭っていた時、頭を数回優しく叩かれる。
 不思議に思って、伏せていた顔を上げて見ると、そこに居たのはゾロさんとトラファルガーさんだった。お二人の表情は般若のような形相で、目には怒りの炎が宿し、賞金稼ぎの人たちを見据えていた。

「あの……」
「ちょっと待ってろ白刃屋。こいつら片付け終わって、ゾロ屋の事も片付け終わったら直ぐに治療してやる」
「ケンカ売ってんのか、あいつらもろとも片付けてやるよ」
「いや、あの、お二人とも……」

 ちょっと待ってください。と言う言葉は、敵めがけて走り出したお二人には届かなかった。敵の方にこんなこと言うのもおかしいかもしれないけど、心の中ですみませんと謝罪した。
 億越えルーキーのゾロさんとトラファルガーさんを敵に回して無事でいられるとは思えない。
 実際、私が怪我までして、一人も倒すことすらできなかったのに、ゾロさんとトラファルガーさんは傷一つおうどころか、まるで子供を相手にするみたいに戦っている。
 場違いだけれど、これが私との違いかと再認識させられる。どうあがいてもお二人のようになれるとは思えない。なれる物ならなりたいけど、絶対に無理だと思う。そう思ってしまうのがまた悲しい。
 絶対になれない物に思いを馳せている間に賞金稼ぎの方達を倒し終わったのか、ゾロさんとトラファルガーさんが私に一度目を向けたと思うと、お互いの顔を見始めると、なぜか戦闘態勢に入った。

 え? さっきの本当だったの……。
 てっきり冗談だと思っていたゾロさん達の言葉が本当だったと知って、急いで立ち上がる。こんな所で億越えルーキーのゾロさん達を戦わせたりしたら海軍が絶対動く。
 すでに自分の血で傷口を塞いである額を気にしている暇なんてなくて、ゾロさん達の元に駆け出して、今にも刀を交えようとしているお二人の間に割って入ろうと走り出したけど、その心配は無駄なものになった。

「あんたは何してんの!? ゾロ!!」
「イッテ!!!」

 マングローブの陰から聞こえてきた怒声と共に、ゾロさんの後頭部に、見覚えのある先端に球体が付いた青く丸い棒が投げつけられる。
 予想外の事に走り出していた足は止まってしまう。ゾロさんと刃を交えようとしていたトラファルガーさんも一緒みたいで、刀を下ろしていた。
 怒声を飛ばした人物ナミがマングローブの陰から姿を現す。その後ろにはルフィ達も勢ぞろいしていた。
 あれ? 何で皆居るの?
 ナミ一人ならまだしも、麦わらの一味全員が揃っている事に、驚きを隠せない。今日何もないよね? 私何も聞いてないけど……。
 勢ぞろいしてしまったルフィ達に驚いている間もなく、また第三者の声がマングローブの森の奥から聞こえてくる。

「キャプテーン!!」

 聞き覚えがあり過ぎる声に、やっぱり今日は何かあったのかと、勘ぐってしまう。
 だって、おかしい。二つの海賊団の一味が揃うなんて。
 次々と起こる予想外の出来事に困惑している間にも、声の主、ハートの海賊団のベポちゃんたちの姿が鮮明に見えてくる。
 ずっと動かない訳にもいかないから、自分の一味に駆け寄る。
 ナミ達はすでにゾロさんの所に集まって、説教を始めていた。

「あんたはなにやってんのよ!! ここには海軍本部の目と鼻の先なのよ!!」
「うるせぇな、じゃあどうしろって言うんだよ! あっちが勝手に襲ってきたんだよ!!」
「騒がない様に倒しなさいよ!」
「無茶言うな!」

 ナミはゾロさんにあんなに色々言えて凄いな。思わず感心と尊敬の念を抱くけど、今はそんなことを考えている場合ではないし、なんで皆がここに居るのかを聞かないといけない。
 私が駆け寄っていたのに気付いたのか、ナミがこちらを振り向くけど、なぜか気まずそうに苦笑いを浮かべられた。
 本当に何があったの!? 
 自分の知らないところで何かあったじゃないかと言う不安で、走っているからでなく、不安から動機が激しくなる。嫌な予感が頭を一気に駆け巡るけど、聞かない訳にはいかない。ナミの様子や他の皆の様子を見るに、絶対私関連の事だ。
 先程とは打って変わってサンジさんに説教を貰い、言い合いをしているゾロさん達の元に着くと、苦笑いと、私関連で一番事情を知っているナミの目の前に向かう。
 胸に手を持っていって、走ったことで上がる息を整えて、ナミを見据える。

「ナミ、何か隠してるでしょ」
「……隠してないわよ?」

 見るからに嘘をついているナミに、詰め寄る。いくら私だって、そんなあからさまに沈黙されたら嘘をついてるって言う事は分かる。

「嘘でしょ、本当のこと言ってよ。何かあったの?」
「……」

 バツの悪そうな顔をして何も言わないナミに、本当に予感ではなく、最悪の事態が起きてしまったんじゃないかと思って血の気が引くけれど、そんな私に気付いたのか、ナミが慌てて私の肩を掴んで揺すり始める。
 あ、あたまがクラクラするから止めてほしい……。
 私の事をひとしきり揺すったナミは、息を整えると、辺りを気にするように見回した後、私の耳に顔を近づける。

「あんた達の事付けてたのよ、今日トラ男君にデートに誘われたって言ってたから」

 デート?
 デート?デート……、デート!!?
 その言葉を聞いて、思わずデートの意味を今一度考え直してしまうけれど、私の知っているデートの意味は一つしかない。
 ナミの言っている意味がようやく分かり、そして今日のローさんとの約束は世間一般的に見ればデートだという事を理解する。
 デート、その言葉を認識して、頬に熱が集まるのを感じた。今の私の顔は絶対に真っ赤だと思う。
 赤くなっているだろう頬の熱を冷まそうと、必死に両手をパタパタと上下に動かして風を送るけど、一向に熱は冷めず、それどころか余計に上がっているような気さえする。それでも必死に風を送っていると、背後で爆発音が鳴り響く。
 何事!? と思って、後ろを振り返ると、なぜかトラファルガーさんの所の船員さんと、ルフィ達が戦っていた。
 何でいきなり戦闘を始めてるのか、何でさっきまで止めにかかっていた人たちも参加しているのか、気になることは沢山あったけれど、再びナミに耳打ちされた言葉ですべて吹き飛んでしまった。

「あのバカ達止め終わったら、根掘り葉掘り聞かせてもらうから、覚悟しててねヒノデ」

 語尾にハートマークをつけて、可愛らしく、いや元々ナミは凄い可愛いのだけれど、ウインクするとルフィ達の所に走って行ってしまった。
 根掘り葉掘り聞くと言ったナミにも恐怖を抱くけれど、それよりも……、

「デートだなんて言われたら意識しちゃうよ……」

 再び火照りだして真っ赤になっているであろう頬を隠すのに精いっぱいだった。

END


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