「ん……」
身じろいだ時に感じた鈍い腰の痛みで目が覚める。昨日は映画デートをして、家に帰って、ご飯食べてお風呂入ったらそのあと流れで…。追って思い出す記憶に少し照れくさい気持ちになる。つまりは悠真と行為をして寝た。恋人ならあるあるだが、いつまで経っても慣れない。
「あ。起きた?」
「んー…おはよ、はるまさ」
「無理に起きなくてだいじょーぶ。昨日ちゃんとお風呂入れたからね、僕」
「そーなの…?ありがと…」
にしても、船をこぐ成人女性を風呂に入れるのだって中々骨が折れるはずなのに。大丈夫だった?と私が聞くと、悠真は「執行官だからね〜」なんて笑ってこたえる。
「ちょっと痩せた?」
「ん…痩せた、かな…?最近軽いもの食べたりよく運動したからかも」
「昨日の夜、腰細くなったな〜って」
「…もう」
「無理してないならいいんだよ。確認しただけ」
午前七時のまどろみ。
少しだけ開けられたカーテンから朝日がこぼれていて、私は頭をこてんとまくらにあずけると、顔にかかったやわらかな髪を悠真が手でよけ、梳く。たしか今日は悠真が出勤の日だったような。そうだ、だから昨日は映画デートしたんだった。ラブロマンスでもない、エンターテインメントの作品のわりに、性描写が生々しかった。昨夜の悠真と綾みたいなことを画面でしていた。
ぼんやり思い出しながら目を閉じてうとうとしていると、ベッドから悠真が抜け出して、ポットのお湯をマグに注いできた。
「あ、あ。んー…喉、がらがら」
「あとでのど飴食べよっか」
「はるまさも声かすれてるよ」
「え、ほんと?」
清潔にされたぬるいシーツの上で、ふたり白湯を飲む。
恋人の匂いがすこしだけ揺蕩うワンルームで、あと五分と船をこぎだした。