天使(風間仁)
【天使】
一瞬、天使が降ってきたのかと思った━━━━━。
「風間く━━ん!!」
「!!?」
学校の中庭を歩いていた仁は、急に呼ばれた自分の名前に驚いて視線を声の方に向けた。
「おい!!」
校舎の3階の窓からクラスメイトであるナーナが身を乗り出していたのに仁は驚いた。
「受け止めて!!!」
「!?」
危ないからと仁が声をかけようとした瞬間、ナーナは3階の校舎の窓から飛び降りる。
太陽の光がキラリ反射して、一瞬ナーナの背中に羽を生やした。
「…天使…」
太陽の光を身に纏いスローモーションのように降りてくるナーナに仁は見とれていた。
「ナイス風間くん!!」
「……っ!!」
仁の腕の中にフワリと降ってきたナーナは驚く程軽く、いい匂いがした。
息が触れ合うくらい間近にある彼女は眩しいくらいの笑顔だった。
「コラァ━━━━ッ!!ナーナ!!!」
窓から身を乗り出しナーナを追いかけていた社会の教師が叫ぶ。
「ヤバッ!」
その声にナーナは仁の腕の中から素早く抜け出ると走り出した。
「あ…おいナーナ!?」
「風間くんありがとね!」
仁の声に一旦立ち止まり頭をペこりと下げると、ナーナは再び走り出した。
「……天使じゃないよな?」
その場に立ちすくす仁。風が運ぶナーナの残り香に胸がドキリとした。
ある夏の日。
それは天使が降りそうな青い青い空だった。