続ムーンリバー(風間仁)
【続 ムーンリバー】
第3回鉄拳トーナメント。決勝戦の後祖父である三島平八に裏切られた仁は姿を消す。
――――その消息は誰にもわからなかった。
オーストラリアのブルームという小さな町に仁は来ていた。
あの日ナーナと交わした約束。守る事は出来ないが、想いを共有する事は出来るはずだ。
海岸には世界中から集まった観光客で賑わっていた。彼らは今か今かとその時を待ち侘びている。
『ムーンリバー』が一番美しく見れる日は年に数回。今日がその数回の一日だった。
あの大会の後仁は、忌まわしい過去と決別するために三島の技を捨て去りオーストラリア・ブリスベンで正統派空手の修業をしていた。
そんな空手修業の日々をおくっていた仁は、ある日道場で仲間から『ムーンリバー』の話しを聞く。
不意に想い出されるあの夜の出来事。
ナーナと初めて交わしたキスは想いが形になった夜。
甘く切ない気持ちに胸の奥がズキンと疼いた。
やがて月が地平線に顔を出すと、満月の明るい光が穏やかな海面を照らす。
ゆらゆらと海面を漂う波に月の光が照らされ光の帯が現れる。
光の帯は海上に浮かんだ月へと続き、まるで月へと続く階段のように見えた。
その光景に仁は息を呑む。
瞬きするすらのが惜しいくらいだった。
この光景をこの瞳に焼き付けて。
呪われたデビルと忌まわしき三島の血。それら全てを絶つ事が今の仁の心からの願いだ。
全てを終わらせたらナーナと一緒に―――――。
願うはただひとつだけだった。