風邪とキミ(風間仁)


【風邪とキミ】

ナーナが風邪を引いたと連絡を受けて、俺は仕事を早めに切り上げナーナの家に向かった。
一応今から行く事をメールで知らせたが、返信はない。

もしかすると、寝ているかもしれない……。

合鍵で中に入り様子を伺うと、案の定ナーナは眠っていたが、その呼吸は苦しそうだった。
「熱が高いな……」
氷水を用意しタオルを冷やし、ナーナの額に乗せる。
「……」
何度かそれを繰り返すうちに、少し顔の赤みが取れてきたようだ。

それからしばらくしてナーナが目を覚ました。
「……じん、来てくれたんだ……」
「当たり前だろう?」
嬉しそうにはにかむナーナ。
一人できっと不安だったのだろうなと仁は思う。
「食欲は?」
「少しだけ」
「じゃあ何か消化の良い食事を作るから待っててくれ」
そう言いナーナの額にキスをすると、仁はキッチンへ向かった。

━━━━15分後。

作り終えた料理を運び、ナーナがベッドから起き上がるのを手伝う。
「風間家特製中華粥」
土鍋の蓋を開けると卵でとじられたお粥は色どりよく野菜が入っている。

ほうれん草は鉄分。
大根は抗菌作用。
人参はビタミン。
そして生姜は発汗作用。

昔仁が風邪を引くと、母親が作ってくれた思い出の味だった。

「ほらあーんして」
ナーナの隣に座り、お粥をレンゲに掬いふうふうと冷ましてから、仁はナーナの口に運ぶ。
「……野菜が小さめだから、食べ易い」
弱った身体にスウッと染み渡るような優しい味で、仁がよそった分のお粥を食べた。
「美味しかった」
「それと食後はこれを飲んでくれ」
「これは?」
差し出されたカップからはほかほかと湯気が立ち上っている。
「これは蜂蜜ホットジンジャー。喉の炎症に効くから、少しでも飲んでくれないか」
具合の悪い所すべてを考えてくれる、仁の心遣いが嬉しかった。
「ナーナが治るまで傍にいるから、何でも言ってくれ」
明日は一応休みを取ってきた。ニーナには散々嫌味を言われたがやっぱり傍にいたい。
「じん…ありがとう」
「こういう時は頼ってくれると嬉しいから」
「うん……」
優しい眼差しに胸が高鳴る。
また、熱が上がったみたい
それから頭を優しくぽんぽんとされた。

じん、だいすき━━━━。

仁の優しさに包まれながら、ナーナは再び眠りにつくのだった。

不知夜月