2.甘さ控え目(三島一八)
2.甘さ控え目
差し出されたマグカップからはコーヒーの香りがした
普段何もしない彼が唯一譲らないのはコーヒー。
彼の煎れるコーヒーは薫りコク共に一級品だった。
そっと口をつけてみる。
「……っ!」
一口それを飲んだナーナはその苦さに顔をしかめた。
「目が覚めただろう?」
「酷い一八さん……私が甘党なの知っていて!」
頬を膨らませて一八を睨みつけるナーナ。
一八が煎れてくれたコーヒーはブラックだった。砂糖とミルクたっぷりの甘いコーヒーが好きなナーナには、例え高級な豆を使っていようがただの不味い黒い水だ。
そんなナーナを一八は馬鹿にしたように薄笑を浮かべながら見下ろしていた。
「寝ぼすけなガキには、甘さ控え目がちょうどいいだろう」
「むぅ……こうなったのは誰のせいだと思うのですか?」
「ん?何か言ったか」
「……わ……っ、んん……っ……」
一八はナーナの唇を塞いだ。
「減らず口を!ベッドの中ては素直なくせに」
「……っ!!……一八さんのバカっ!!」
真っ赤な顔で一八を睨みつけるナーナに、一八は満足そうに笑った。
太陽は既に高い位置にある。
いつもの事ながら情事の次の日の朝は起きられない。いや、起きられる訳がない。
ナーナが限界を迎えても容赦ない絶倫の一八。
そんな彼に求められると断ることも出来ずに、これの繰り返し。
「……ほら、寄越せ!」
一八はナーナからカップを取り上げると、ゆっくりとそれを飲み干した。
あなたとの恋愛は甘さ控え目が丁度い
い。