2.お正月(風間仁)
【お正月】
「「明けましておめでとうございます」」
新しい一年が始まった。
正午。ふたりきりの静寂を破るように次々とやって来る来客たち。
ラースに東郷、ニーナにエディ、飛鳥に李超狼らがところせましと風間家のリビングを埋めつくした。
「ほんまにこれ手作りなん?」
綺麗に盛り付けられたそれは、店で売っているみたいだと感嘆の声が上がる。
「うん。仁の手作りよ」
「ナーナちゃん、仁ちゃんええ婿さんになるわ〜よかったなぁ」
飛鳥のからかうような言葉にふたりは頬を赤く染める。そんな彼らの様子に一同は笑いに包まれた。
こうして賑やかな新年が始まった。
………………。
…………。
……。
祭りのあと。
ニーナ、エディ、東郷らが帰宅し、飛鳥は騒ぎ疲れたのかソファーでぐっすりと夢の国。
そして。
ピイィィィ――――ッ!!
笛吹ケトルのけたたましい音がキッチンから鳴り響く。
「おや?」
「……ちょっと見てきます」
リビングで李らと談笑していた仁は、いつまで経っても鳴り止む気配のないそれをおかしく思い、キッチンへと足を運ぶ。
確かナーナがそこで後片付けをしているはずだが。
「ナーナ?」
「……」
キッチンに入るとすぐナーナの姿が目に留まる。
だが、呼びかけてみても返事はない。
ナーナはキッチンに備え付けの椅子に座り眠っているようだ。
仁はコンロの火を止めケトルを黙らせた。
「ナーナ?」
「スウスウ……」
返事の代わりに聞こえてくるのは寝息。
昼間みんなの間をあれだけ慌ただしく動き回っていたナーナだ。疲れていないわけはないだろう。
「風邪ひくぞ」
仁は手伝えなくて申し訳ないと小さな罪悪感を感じながら、ナーナを抱き上げた。
そしてそのまま寝室へと運ぶ。
「幸せそうな顔をして……」
ベッドに寝かせ改めて寝顔を見つめると、ナーナは幸せそうな表情で眠っていた。
そんな彼女を見ていると、仁の胸はポカポカと温かくなる。
……これがきっと『幸せ』なんだろうな。
新年を迎え、改めて感じるナーナへの愛おしさと、温かい幸せ。
「お疲れ様」
今年初めての夢。どんな夢をナーナは見ているのだろうか?
願わくは君に良い夢を……。
仁は眠っているナーナにそっと口づけた。