4.父親(風間仁)


【父親】

満月の光が広大な日本庭園に降り積もった白雪に反射して、そこだけ幻想的な雰囲気を作り出している。

「綺麗だね」
「そうだな」
縁側に座り雪景色を仁とナーナは眺めていた。

それは急な呼び出しだった。

新年が明けてすぐの事。
李超狼から新年会を執り行うのでナーナと一緒に三島本家に来るように言われ渋々とやって来た。
何か企んでいるのではないかと思ったが、本家に着いてみれば平八は勿論、李、ラース、一八と三島一族が揃っていた。
だが仁が何より驚いたのは一八が女性連れで、しかも年若い女性だったと言う事だった。

「仁はここで少しの間過ごしていたんだね」
「あまり思い出したくはない事だけどな」
「でもさ、高専時代の仁はよく笑ってたよ」
笑っている仁をずっと見ていたとナーナは話す。
「……そうだったか?」
ナーナを後ろから抱きしめながらそう答える仁。高専時代の記憶はあまり覚えていなかった。

………………。

…………。

……。


やあ……っ……!

静寂が支配する中聞こえてきたのは女性の声。雪景色を見ていた二人は顔を見合わせる。

……あぁぁん!……

「今のってももさんの……」
断続的に聞こえて来る喘ぎ声に何が行われているのかを想像したナーナは、頬を赤らめながら言葉を濁す。
ももは今回の集まりに一八が連れて来た女性で、最近は彼女を伴って一八は公の場に現れるという。
その噂は仁もナーナも知っていた。
実際に会ってみて、ももは可愛らしい女性だった。
あの俺様な一八を上手くコントロールしているようで、とても仲睦まじい。

だが仁の心中は複雑だった。

遺伝子上三島一八は風間仁の父親である。その父親が仁とさほど年齢の変わらない、若い女性と交際している。
確かに仁の母親風間準はもういないし、一八と結婚という形もなかった。
だから所詮は他人。今も父親とは思わない一八が誰と付き合おうが関係ないはずだった。

『仁の新しいお母さんになるかもね』

ももを紹介された時、何気なくナーナが仁に言った言葉。
その時は苦笑いだけで済ませていたが、思いの他深く心に留まった。

結局ももの登場が、仁に一八は父親だという認識を思い知らせたのであった。

「年始からお盛んなことだ」
もう若くないのに……という言葉を仁はあえて言わなかった。
「ん?ちょっと仁!!」
寝間着である浴衣の胸の合わせ目から、手を滑り込ませる仁。その冷たい感触に驚いたナーナは身体をビクッと震わせる。
「温かいなナーナの肌」
「仁やだ……っ!」
胸元をまさぐる手を追い出そうとするが、力では敵わない。仁のなすがままにされる。
「俺達も姫初めするか?」
「ちょ……ちょっとダメだよ」
仁の言葉に驚き戸惑うナーナ。
自分達の部屋の襖一枚隔てた隣には、ラースや李が眠っている。一八達のように声が筒抜けになってしまうのは、とても恥ずかしくて嫌だとナーナは抗議する。
「聞かせてやればいい」
「そんな……」
だが仁から返ってきたのは止める意志のない言葉。
「一ヶ月もご無沙汰だったから我慢できないし、手加減も出来ない」
「!!」
一八達の情事に刺激され興奮したのか、仁の瞳は欲に濡れていた。

翌日ーーーー。

ラースや李は寝不足なのか目の下に隈を作っていた。

一方の一八や仁は、やけにすっきりとした表情をしている。

そしてももとナーナは、その日一日腰の痛みに悩まされ、動きが鈍かったとかそうでなかったとか。

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もも様。お名前の使用許可ありがとうございました!

不知夜月