5.番外編 明後日(ラース・A)


【番外編 明後日】

三島財閥頭首に風間仁が就任してはや数年。
戦争は終わり、平和な時代が到来しようとしていた。

ラースは鉄拳衆になって初めて正月休みというのをもらった。12月30日から1月5日までの一週間だ。
久しぶりにできた大きな休みを、彼女であるナーナと過ごそうと考えていたのだが、年末でナーナは忙しく、デートは年明けまでお預けになっていた。
仕方なくラースは部屋の掃除をしたり、トレーニングに出かけたりとするのだが、有効に時間を使えず手持ち無沙汰な休暇を過ごしていた。

明けて新年1月1日。

待ちに待った愛しのナーナとの再会。

「明けましておめでとうございますラースさん」
ナーナは華のような笑顔でラースに挨拶をする。
牡丹があしらわれた艶やかな振袖姿のナーナに、ラースは見とれてしまいすぐに挨拶を返すことは出来なかった。

「お正月のお料理です」
途中で買ってきた材料で作ったお雑煮と、家から持ってきた重箱をテーブルに置く。重箱には筑前煮や伊達巻き、紅白蒲鉾、数の子などお節料理がつめられていた。
「綺麗だな」
彩りよく並べられている食材に感心するラース。
「ラースさんは日本のお正月初めてなのですか?」
そんなラースに不思議そうにナーナは訊ねた。
「今の仕事になって正月休みは無かったに等しいから、改めて正月を祝うのは初めてだよ」

こうして二人は付き合って初めてのお正月を迎えた。

………………。

…………。

……。


楽しかった時間はあっという間に過ぎた。
これから親族との新年会のため一緒に過ごせたのは数時間。
「ラースさんに一番に振袖姿見てもらいたかったんです」
ラースの頬にちゅっとリップ音。頬を紅く染めてはにかむナーナ。
「ほんと可愛いなナーナは」
ラースは名残惜しそうにナーナを抱きしめた。腕の中の温もり。
溢れ出すのは愛おしいという気持ち。
「明後日また会えるんだよな?」
「はい……」
ぎゅっとナーナもラースに抱きつく。
「明後日は一日離さないから、覚悟しろよ?」
耳元で囁くように言われた言葉にナーナの鼓動が跳ね上がった。

ーーーー二人の新しい年は、始まったばかり。

不知夜月