遠回りの巡り逢い
再会は3年後の4月
これから一番気持ちのいい季節をむかえようとしていた。
ダンテは一仕事終えて、3日ぶりに家に帰る途中だった。
ナーナは両親の墓参りに、ここを訪れていた。
それは本当に偶然だった。
観光客で賑わうパークの中にある湖の湖畔で、二人は再会したのだった。
二人は近くのベンチに腰を下ろした。
眼前に広がる湖は、太陽の光が湖面に反射してキラキラと輝いていた。
「びっくりした!こんな所でダンテに会えるなんて!!」
長い沈黙の後、最初に口を開いたのはナーナだった。
3年前二人は付き合っていた。
ダンテが『Devil May Cry』を開業したばかりの時、初めての依頼客がナーナで、それが始まりだった。
「私がここから離れたのは、ダンテを、あなたを忘れる為……」
「俺はずっとナーナの事を想っていた。忘れられなかった」
ダンテはナーナの横顔を見つめた。だがナーナはダンテの方を見ようとはしない。
名うてのデビルハンターのダンテと一般人のナーナは、住む世界が違った。
「ずるいな」
「ずるい?」
「そう……ずるいよダンテ」
ナーナはベンチから立ち上がりダンテを見つめる。
潮が引くように、ベンチの周りにいた鳥達がザーッと飛び散って行った。
「せっかくあなたを忘れかけてたのに」
あなたは別れた時より、逞しく精悍な大人の男になっていた。
私はきっとあの頃のまま変わらない。
「できれば会いたくなかったよ」
今の私を見て欲しくなかった。
「運命だな」
ダンテが低く呟いた。
無邪気に子供達が駆けて行く午後の昼下がり。穏やかな空気が流れて行く。
運命というダンテの言葉にナーナは目を見開いた。
あんな別れ方をしたのに、また出逢ってしまった。
この場所で、こんなに沢山の人の中で。
「運命だとしたら、もう少し早く会いたかった」
ナーナは自身の左手をダンテに見せたると、薬指に指輪が光っていた。
「私ね、結婚してるの」
「!?」
ナーナの言葉にダンテは頭を鈍器で強く殴られたような衝撃を受けていた。
あれからもう3年が経っている。
ナーナが結婚していても、おかしくはない。
「でも、嫌になっちゃった。どうして今なんだろう」
運命の神様は意地悪だと、ナーナは悲しそうに微笑んだ。
「……ナーナは幸せなのか?本当にそいつでいいのか!?」
「ダンテ……」
ナーナはダンテに抱きしめられていた。力強い腕に抱きしめられていると不思議と満たされる。
ダンテを忘れる為に、あの人と結婚した。
でも満たされない想いが燻っていた。
顔を合わせると口論の毎日。
そんな日々に嫌気がさして、逃げるようにあの人の家を飛び出した。
「ナーナが幸せそうじゃない」
「……」
「本当にそいつでいいのか?返答によっては俺は」
不意にダンテの唇がナーナの唇を塞ぐ。
「……」
「……」
ナーナは瞳を閉じダンテの口吻けを享受した。
あなたと別れて沢山の人と付き合った。
あなたを忘れる為に結婚した。
でもあなたへの想いは消えなかった。
私は今でもあなたを、愛しています。
「俺はナーナを、誰よりも知っていて、誰よりも愛している!」
唇を離したダンテはナーナをしっかりと見つめる。青い瞳に強い光があった。
「ダンテ!私をさらって!」
ダンテの背中に回したナーナの腕に力がこもる。
『離さないで』とナーナの強い気持ちが伝わってくる。
「二度離さないからな!」
二人は唇を重ねた。
互いの想いを刻み込むかのように、深く唇を重ね合った。
結ばれる為に出会った二人。
回り道をしたけどようやく辿り着いたあなたの腕の中。
もう二度と、あなたから離れない――――。
---アトガキ---
元題は It comes round and it encounters it. です。巡り逢いですね。回り道をしたけど最後はダンテと……。