ダンテの憂鬱 後編
あいつが目を覚ましたのはそれから一時間後だった。
「あれ?私……」
「やっと起きたな。気分はどうだ?」
俺は机に読み掛けの雑誌を投げ捨て近付く。
「わたしどうしたの?」
情況が飲み込めず身体を起こしキョロキョロしていた。
「お前、貧血起こして倒れたんだぜ。心配した」
俺ははソファーに腰を下ろし真っすぐにあいつを見つめた。
「そう……その事についてはお礼を言うわ。ありがとう」
「なあ、あの事は俺が悪かった。本当にデリカシーがなかった。何度でも、お前の気が済むまで謝る!だから」
「だから、何?」
「今のままでも充分お前は痩せていて綺麗だ」
真摯な光りを宿したダンテの青い瞳に、わたしはドキッとしてしまう。
今まで見た事のないダンテの態度に、本当に無理なダイエットをしていた自分を心配してくれているのがひしひしと伝わって来る。
「身体を壊すようなダイエットは止めてくれ。お前の身体が心配だ」
ダンテは強引にわたしを抱きしめた。
「お前は太ってなんかいないから」
「……本当?」
「ああ…本当だ。それなら体重を計って見ればいい」
「え、あ……ちょっと!」
ダンテはわたしををお姫様抱っこをしてバスルームまで運んだ。
床に立たせて体重計を出す。
「ほら、乗って?」
「うん……」
恐る恐る体重計に乗る。
すると、
「えっ?嘘っ!」
体重計の針を見たわたしは驚いた。
あからさまに減っている体重。
いくら短期間無理なダイエットしていても、こんなには痩せないだろう。
きっと何かカラクリが……。
わたしはそう考えて体重計からそっと下りる。
……ダンテってば!!
気がつき自然と笑っていた。
「どうだ?お前は太ってない。本当に悪かった」
一生懸命なダンテが何だか可愛く見えて来る。
わたしは込み上げてくる笑いを隠すように、ダンテに抱きついた。
「わたしも意地をはっちゃった。心配してくれてありがとうダンテ」
チュッと頬にキスをする。
あいつからの頬にキスは仲直りの証でいいのか?
「お互い様だな」
「うん」
見つめ合い俺はもう一度あいつをお姫様抱っこをしてバスルームを後にする。
「ダ、ダンテ?どこに行くの??」
不安げな表情になるわたしにダンテはニッと笑った。
「決まってるだろ?俺は二ヶ月と二週間我慢してたんだぜ?結構頑張っただろう」
「ダンテ!!」
耳まで真っ赤になるあいつの唇を堪らずに塞いだ。
それからしたのは一つしかない。
朝までしっかり二ヶ月と二週間分彼女を愛したのは言うまでもない。
隣でスヤスヤ眠っているあいつを見つめながら俺は幸せだった。
お前が腕の中にいる幸せを感じつつ、俺も眠りに身を任せよう……。
***
【おまけ】
そうそう、言い忘れてたけど……。
あいつが急に太ってきた原因が後日分かったんだ。
もう無理なダイエットをする必要もないから、俺は安心した。
ただしばらく夜のアレはお預けになっちまったけどな。
え?何の事だか分からないって??
そうだな。
まあ来年には我が家も賑やかになるって事。
今はそれだけしか言えないけどな。