神に背いた恋 後編
いつの間にか日が暮れたのか。
暗灰色の空からは、ポツリポツリと雨が降り始めていた。
ちょうどいい。涙を隠してくれるから。
いっそこの気持ちも、この気持ちも全て流せたら、またいつもの日々に戻れるの?
バージルを、兄を愛してしまった。
そんな気持ちを信じられなくて、沢山の人と付き合った。
でもだめだった。
誰もバージルの代わりには、なれなかった。
あの時言うつもりはなかったのに、何で言っちゃったの?
自分で壊した。自業自得なのに、哀しくて、苦しくて、涙が溢れて止まらない。
好きなのに。
こんなに貴方を愛しているのに。
「……るしいよ……苦しいよ……」
ナーナの呟きは、雨の音に掻き消された。
どのくらい泣いていたのか。
雨と涙で霞む目に、青いコートがぼんやりと見えた。
「バージル……?」
「……探したぞ」
かなり雨に濡れたのだろうか?
バージルの髪型は、雨に濡れ真っすぐに垂れていた。
「何をしに……来たの?」
「お前を迎えに来た」
「帰らない!!」
「ならば、力ずくでも連れて帰る!」
バージルはそう言うとナーナを抱き上げた。ちょうどお姫様抱っこの形になる。
「嫌だバージル!」
ナーナはバージルから逃げようと暴れるが、
「黙ってろ」
「んっ……」
バージルの唇がナーナの唇を塞いだ。
バージルに抱き抱えられ『Devil May Cry』に帰ってくると、ダンテの姿はなかった。
バージルは自分の部屋に入ると、乱暴にナーナをベットに組み敷いた。
「バ、バージル!?」
バージルは青いコートと上着を乱暴に脱ぎ捨てる。鍛え上げられた、逞しい身体。
「ナーナ」
スッとナーナに顔を近付ける。
「ちょ、ちょっと!」
身体は抑えつけられ、身動きが取れない。
「ずっと、お前は妹だと思い聞かせていた。だがもう迷わない。俺はお前を抱く!」
「!!!」
ナーナの言葉はバージルの唇によって封じ込まれた。
ナーナは初めてバージルが恐いと思った。
Tシャツが引き裂かれ、ただの布キレに変わる。
「きゃぁ……!」
ナーナは抵抗するが、頭の上で両手を押さえられ動く事が出来ない。
「バージル!いゃ……」
ナーナの瞳には涙が溢れだすが、バージルは構わずナーナを愛撫する。
「いやっ!お兄ちゃん!!」
お兄ちゃん……。
その言葉に、バージルの動きが止まった。
「こんなの嫌だ……!」
ナーナの言葉にバージルは哀しそうな表情をする。
「ならどうすればいい!」
バージルの哀しそうな瞳に胸が苦しくなった。
「バージルの気持ちが、わからないよ」
「俺の気持ち?」
ナーナは堪らず、バージルに抱きついた。
「私はお兄ちゃんが、バージルが好き。でもお兄ちゃんは、バージルは私の事」
見上げるナーナの頬にバージルは触れる。
「俺はナーナが好きだ。妹としてではなく、一人の女性としてお前を愛している」
バージルはナーナを優しく見つめた。
「お前と一緒なら、世界中を敵にまわしても、地獄に落ちても構わない」
「……バージル……」
バージルはナーナの唇に自分の唇を重ねる。
浅く、深く。優しく口付ける。
「バージル……」
「……ナーナ」
『愛している』と、互いの想いを深く刻み込む。
私はバージルを、兄を愛している。
貴方を愛した事が私の罪。
私が愛した事で貴方が罰をうけるなら、
貴方の罪もこの身に受ける。
バージル以外何も望まないから。
兄と妹=恋人。
それが私達二人の関係。
例え許されなくても、私は彼と生きて行く。
これからも。永遠に――――。
---アトガキ---
元題は crime. 罪。キリ番リクエストのお話です。ダンテがとってもカッコよくなっています。これも裏があったりなかったり。