青いあなた�A

ナーナの求めていた古書には、古代の神と悪魔の戦いの歴史が書かれていた。
その中に、ナーナが探している『Crystal』についての文章があった。
『Crystal』は創世の神が持っていた宝具である。形は球型で色は透明。
それは使う者の心によって色や形状が変わる。

魔の者には、戦いの道具に。
聖の者には、平和の道具に。

『Crystal』は世界を破滅させてしまう力を秘めていると記述されていた。

バージルによると、今もなお『Crystal』は存在していると信じられていて、それを巡る事件が起きているという。

ナーナが『Crystal』を探している事をバージルは知っているが、その理由は分からない。何度か訊ねたのただがその都度はぐらかされてしまうので詮索するのを止めてしまった。


母親の最期の言葉が頭から離れない。

『Crystal』を探して。
あの男の手に渡らないように……。

未だ忘れられない母親の無惨な死。
母親の遺体の手には一枚の紙が握られていた。血文字て書かれたナーナ宛の遺書。

『あの男にとうとう見つかってしまった。私の命も、終わろうとしている。
私はナーナに何一つ伝えられなかった。ごめんなさい……』

そしてナーナは探し始めた。
『Crystal』とは何か?
何もわからないままそれは始まった。
古書を読む為古代言語も必死で勉強した。
騙された事もあった。
襲われた事もあった。
沢山の紆余曲折を経て今にたどり着いたのだ。
バージルのお陰で文献は読み解く事が出来た。彼には本当に感謝している。


ある夜、一人の男がナーナの元へ訪ねて来た。

「あなたが『Crystal』を探していると風の噂に聞きまして」

長い黒髪で顔を半分隠した男。
全身黒づくめの赤い瞳の男。

「私は『Crystal』が今何処にあるのか、場所を知っています」
「えっ?」
その反応に満足したのか、男はニヤリと笑い一枚の紙切れを差し出した。
「これに地図が描かれています」
「地図?」

男はニヤリと笑い一枚の紙切れを差し出す。ナーナはそれを受け取った。
確かに紙切れには地図らしきものが描かれていたが、

果たしてこの男を信じていいのだろうか?

「お嬢さん、私が怪しいと思ってますね?」
「!!」
ナーナは驚いて顔を上げる。
「無理もありません。突然伺ってこのようなお話しですから」
男が静かに笑い、
「あなたが信じられないのであれば、捨ててしまって構いません。ただ、もしあなたが私を信じて頂けるのなら、次の新月の夜、お一人でその場所にいらして下さい」
うやうやしく頭を下げると、ナーナの元から去って行った。
ナーナは残された紙切れをただ見つめるしかなかった。

不知夜月