青いあなた�B
Trrr……Trrr……。
バージルは何度目かの電話をかけていたが、いっこうに相手が出る様子はない。
「クソッ!!」
乱暴に受話器を置いた。
あの日からナーナと連絡が取れなくなっていた。
あの日バージルは約束の時間に、いつものカフェに行った。
だが時間になってもナーナが現れる事はなく、ナーナからの伝言だと店員から一通の手紙を渡されて、それには今までのお礼と別れともとれる言葉が綴られていた。
「!!」
何故ナーナと連絡が取れないだけでここまでイラつくのか?
妙な胸騒ぎがするのは何故だ?
「まさか『Crystal』のある場所に!?馬鹿な!!」
バージルは閻魔刀を手に走りだした。
ナーナが現れなくなる前日、バージルの所にも怪しげな男が尋ねて来た。
全身黒づくめで赤い瞳が印象的な不気味な男。
バージルは男が人間ではない事を本能で感じていた。
『次の新月の夜に、ある場所に来て欲しい』
男はそう言い残し地図を置いて帰っていった。
負の遺産があふれる遺跡は『魔』の巣窟だ 。普通の人間が入って、生きて帰ってこれるわけがない。
何故ナーナはあの文献を探していたのか。その話題になると、彼女は決まって話を逸らした。
「一体ナーナは何者なんだ?」
今まで俺は何一つナーナの事を知らなかったのだ。
「やはり、いらっしゃいましたね」
男はニヤリと笑う。
「ナーナは何処だ?」
得体の知れない気配に、バージルは握っている閻魔刀に力を込めた。
男の首筋に閻魔刀を突きつける。
「もう一度言う。ナーナは何処だ?」
「クックック……」
このまま引けば男の首は落ちると言うのに男はただ笑うだけ。
「私を殺そうと言うのですか?愚かですね?」
男は頭上を指差した。
バージルは頭上を見上げる。
「何!!」
そこには、十字架に縛り付けられているナーナがいた。
「ナーナ!!」
バージルは叫ぶがナーナからの返事はない。どうやら意識がないようだ。
「どうかねバージル君?英雄スパーダの息子さん!」
気がつくと、男はバージルの後ろにいた。
「!!」
バージルは次の瞬間強い力で投げられていた。
「くっ…」
ナーナ気を取られ隙をつかれたようだ。
バージルは直ぐ立ち上がり閻魔刀をかまえる。青白い闘気がバージルの全身から立ち上る。
「ほう……これはこれは」
男は満足そうに笑う。
「私も本気を出しましょうか」
たどり着いた洋館はどこか凶々しい雰囲気を醸し出していた。
バージルが中に入ると何処からともなく悪魔達が襲ってきた。異形の者達を、次々に薙ぎ倒しながら洋館の中を足早に進んで行く。下へ下へと行くにしたがって、邪悪な力は一層強くなっていた。
地下室へと通じる扉を開けると、床に大きな穴が空いていた。
バージルは躊躇う事なくその穴に飛び込んだ。
暗闇の中蝋燭の炎が揺れていた。
そこは大きな広間だった。
部屋の中央には祭壇があり男が立っている。男は何か呪文のようなものを唱えていた。
バージルは気配を消して男に近付いていく。
「!!」
男の首筋に閻魔刀を突き付けると、男は呪文を唱えるのを止めた。