彼女の秘密 後編

ドアノブを回す音はしばらく続いたが不意に音が止んだ。

バージルは諦めてくれたのかしら?

そんな事を考えていたわたしは、数秒後自分の認識が甘い事を知った。


次の瞬間――――。

バキッ!!!

物凄い破壊音と共にドアがぶち壊された。

わたしは跳び上がらんばかりに驚いた。

「お前……」

バージルの低い声にわたしは背筋がゾッとする。

そこだけ空気が冷たい。

「さあ、話してもらおう」

「……」

わたしは床に座り込んだままバージルを見上げた。

冷たく青い瞳は、怒っているのか呆れているのか?何の感情も読み取れない。

初めて見る彼の表情。

恐い、恐すぎだよ!!

「あのですね、なんといいますか……」

「……」

早く言えと言わんばかりのバージルの視線。

もう覚悟を決めるしかない。

これからずっと一緒に住むのだから、これは彼に理解してもらわなければならない事。

……でも、恥ずかしい。

少し言葉を濁してでも伝わるかな?

わたしは大きく深呼吸をした。

「わたし、今『女の子の日』なんですが……」

「女の子の日?」

バージルは眉間に皺を寄せた。

あ゙ぁっ……! やっぱりの反応だ!!

バージルが女の人の身体のしくみを詳しく知っているとは、到底思えない。

「女の子の日とは何だ?」

真顔で聞いてくるバージルに、わたしはすかさす本棚から『家庭の医学書』を手に取り彼に渡した。

「わたしの口から説明は恥ずかしいので、これで『Menstruation』を調べて下さい」

「……」

少しムッとしたように本を手に取ると、バージルはそれをパラパラとめくり始めた。

数分後。
パタンと『家庭の医学書』を閉じるバージル。

心なしか顔が赤いような?……気のせいかな??

「理解して頂けたでしょうか?」

恐る恐る、バージルの表情を窺いながら訊ねてみた。

「始めから言えば言いものを」

「だって、恥ずかしいじゃない……」

頬を赤く染めながら自分を見上げているお前がとても可愛い。

バージルは床に座り込んでいるわたしを抱き上げた。

「キャア!!」

「次からは遠慮するな」

見つめる青い瞳が優しい光を宿していて、わたしの胸はキュンとなった。

「うん。ごめんなさい」

ギュッとバージルの首に腕を回し抱きつく。

「二人で住むと言う事は、新しい発見の連続だな。なかなか楽しい」

バージルはわたしの頬にキスをする。

「早く終われ」

「後4日は待ってね」

わたしたちは、なんとなく気恥ずかしくなって笑った。

不知夜月