色褪せない想いを貴方に 発病
通り過ぎるのは白衣を着た人ばかり。
ここは消毒薬の匂いが充満していた。
点滴の音だけが静かに響いている。
別室でバージルは医師から説明を受けていた。
「初めてではない?」
医師の言葉に、バージルの眉間の皺が深くなる。
「ナーナさんは、今までに何度か貧血を起こしてますね」
「えっ……?」
「それに、本人も相当辛かったはずですよ……」
穏やかな春の日に突然ナーナは倒れた。
それが全ての始まりだった――――。
ナーナはボンヤリと窓の外を見ていた。
病室の中には点滴の音だけが響いている。
「遅くなった」
ドアが開きバージルが入って来た。
彼は青いコートを脱ぎながら、ベットサイドの椅子に座った。
「……前にも倒れた事があるらしいな?」
「バージル……」
「どうして今まで隠していたんだ?」
バージルの強くはないがナーナを責めるような声。
ナーナはバージルから目を逸らした。
「ダンテやレディには内緒に……」
「ナーナ!?」
二人の声が病室で重なった。
「答えになってない!!」
バージルはベットに半乗りになり、ナーナの肩をベットに押し付けた。
「……ナーナ……」
「痛い、バージル!!」
バージルの爪が肩に食い込む。
「お前ひょっとして、自分の病気のことを……」
バージルの青い瞳が揺れている。
初めて見るバージルの表情。
頼りなさげなその表情に、堪らずナーナは腕を伸ばしバージルを抱きしめた。
「……ごめんなさいバージル。私……」
「知っているんだな……」
「……白血病でしょう?」
バージルの銀色の髪をナーナは優しく撫でる。
まるで子供のようなバージル。
「私の母親も同じ病気で死んでるから……」
「ナーナ……」
顔を上げナーナ#を見つめるバージル。
優しく微笑むナーナ。
その微笑みが、とても美しかった。