色褪せない想いを貴方に�D 予感

季節が秋から冬に移り変わり、間もなくクリスマスを迎えようとしていた。

ナーナは毎日をベットの上で過ごすようになっていた。

大きな発作は起こらないが、病魔はゆっくりと確実にナーナの身体を蝕んでいた。

日に日に弱っていくナーナ。

時折見舞いに訪れるダンテやレディにも分かっていた。

ナーナは長くない、と……。


「それじゃまた来るわ」

バージルが仕事で家を空ける時は、レディがよく来ていた。

「何時もすまない、レディ」

「あなたがそんな事言うの、初めて聞いたわ」

不意にレディは真顔になる。

「ナーナの側に少しでも長くいてあげて」

沈痛な面持ちのレディ。

それは、ナーナがいつ逝ってもおかしくない事を物語っている。

「ナーナの最期は、バージルが看取らなきゃ……」

自分でも酷い事を言っているのは分かる。

だが彼のいない時に、もしもの事があったら!!

「治療費が大変な事も分かるけど、今はナーナの側にいてあげるのが一番よ」

「ああ、そうだな……」

レディの気持ちが痛い程伝わってきた。


レディを見送りナーナの部屋に入ったバージル。

ナーナの部屋には小さなツリーが飾られている。

間もなくクリスマスを迎える。

バージルはツリーの電源を入れた。


「ん……バージル?」

「起きたのか?」


バージルはベットサイドに腰掛けた。

「お帰りなさい」

「ただいま、ナーナ」

バージルはナーナの額にキスをする。

寝ていてもバージルが帰って来ると、必ず起きるナーナ。

「あ……ツリーが綺麗」

「折角だからな」

バージルは部屋の電気を消した。

ライトアップされたクリスマスツリーは、窓際で小さな輝きを放っている。

バージルはナーナを抱き抱え、自分の膝の上に座らせる。

「ちょ……もう……バージル」

「……黙れ……」

バージルの首に回されたナーナの腕の細さに、彼女の身体の軽さに、バージルは愕然とした。

バージルの身体が微かに震えている。

「泣いているの……?」

温かい手がバージルの頬そっと触れる。

バージルは何も言わない。

「ごめんね、バージル」

「……馬鹿が……謝るな……」

「ムッ……馬鹿とは何よ!」

ポカポカとバージルの胸を叩くナーナ。

「馬鹿だから馬鹿って言ったんだ」

バージルはナーナの手首を掴む。

二人の視線が交錯した。


静寂が訪れる。

二人の吐息が闇に溶けていった。

不知夜月