永遠に君を愛する�B


「ナーナは、恋人の敵を取る為にデビルハンターになったんだ」
いつの間にかふたりは騒がしい街中から海沿いの小高い丘へと辿り着く。
ダンテはそこのある一角で立ち止まった
「ここは?」
バージルはダンテに訪ねる。
「……ナーナと約束した場所だ」
ダンテはそう言うと、大輪の薔薇の花束を手に歩いて行った。
バージルは辺りをを見渡す。
太陽は西の空に沈み、空は群青のグラデーションに彩られている。
眼下には海が広がり、見晴らしは良かった。
ダンテはある場所に立っていた。微動だにしないでただある一点を見つめている。
「一人になりたい時にナーナはよくここに来ていた」
そっと近づくバージルにダンテはまた語り出す。まだ冬の名残を残した風が、二人の間をすり抜けて行った。

ナーナと出会って一年経ったある日、何時ものように『穴蔵』にいたダンテは
何時ものように情報屋のエンツィオから依頼を聞く。
「どうする?ダンテ」
悪魔絡みの仕事なのだが、珍しくダンテは考え込んでいた。
「あんたがダメなら、他の奴に依頼するぜ?」
エンツィオが指差す方向にはデビルハンター達がいて依頼を待っている。
「勝手にしろ」
ダンテは吐き捨てるように言った。
エンツィオは肩を竦めると、ダンテの元から離れていった。

「珍しいわね?貴方が悪魔絡みの仕事に飛びつかないなんて」
「ナーナ来てたのか?」
「ついさっき」
ナーナはダンテの隣に座った。
「報酬が高いから、かなり危ない仕事よね」
「………」
ダンテは答えない。何かを考えているようだ。
「ダンテ?」
「今起きてる猟奇事件だが、あれには2年前の事件が絡んでる」
ダンテはエンツィオが持ってきた依頼を、その前から一人この猟奇事件を追っていた。

『ある者に出会うと2日以内に無惨に死ぬ』

数ヶ月からまことしめやかにそんな噂が流れていた。始めそんな噂を誰も信じていなかった。

だが半月前ある男が死んだ。
その男はいの一番に噂を、『ある者』を否定した男で、テレビの公開放送中に殺された。
それ以後『ある者』についての事件は、国中を巻き込んでの騒ぎになっていた。

「何が絡んでいるの?」
ナーナは不思議そうに訊ねる。
「エウリノーム。死の王と呼ばれている悪魔の仕業だ」
「エウリノーム……」
その名前にナーナの顔色が変わったのをダンテは見過ごしていた。
「ダンテ。私用事を思い出したから」
「あ、おいナーナ!!」
ダンテの呼びかけは聞こえていないらしく、ナーナは慌てたように『穴蔵』を飛び出して行った。
「あいつ、急にどうしたんだ?」
そう呟き飲みかけのジントニックに手をかけようとして、ダンテはハッとした。
慌てて店の外に出るがナーナの姿はそこになかった。
次の日も、また次の日も、ダンテはナーナを待った。だが、彼女がそこに現れる事はなかった。
そしてあの日以来ナーナは『穴蔵』に姿を見せることはなかった。

不知夜月