永遠に君を愛する�C
ダンテは薄暗い廃墟の中を歩いていた。
……コツン、コツン。
ブーツの足音だけが廃墟内に響き渡る。
あれからダンテは情報屋のエンツィオから、ナーナがあの誰も引き受け手のなかった依頼を受けたと言うことを聞いた。
今更ながら、あの自分の失言に腹が立っていた。
街外れの鬱蒼とした森の中に廃墟はあった。その周囲には下級悪魔が彷徨いている。ダンテはそれらを軽くあしらい廃墟の侵入した。
廃墟は不可解な不協和音が響いていた。
それが彼らの『呪文』なのだとダンテは知っていた。
『呪文』はどこか怪しげで、そのくせどこか禁断の魅力を持ったものだ。
ダンテの悪魔の血が騒ぎだすのを感じた。
薄暗い廊下を突き当たりの扉を目指して進んで行く。おそらく広間に通じている扉なのだろうと。
「?」
その扉の前で影がゆらりと動くのを見逃さなかった。
ゆっくりと慎重に影に近づく。
その影は黒髪の良く見知った、あの日からずった探していた女性だった。
「ナーナ!?」
ダンテは床に倒れ込んでいるナーナを抱き起こす。腕や顔、身体のあちらこちらに鋭い爪で引っ掻かれたであろう傷があったが、幸いどの傷も致命傷にはなっていなかった。
温かな身体を抱きしめ、ダンテは安堵の溜め息をついた。
「ダン、テ……?」
ナーナがうっすらと目を開けるが、
「大丈夫か?」
「……ごめんなさい。一人で先走って」
「馬鹿野郎!!何の為の相棒だ!?」
「そうね……ごめんなさい……」
直ぐにまた意識を失った。
「ナーナ……」
ダンテはナーナの額に軽くキスをし床に寝かせた。
待っていろよナーナ?
後は俺がやるぜ!!
ダンテは勢いよく広間のドアを開けた。
……z ζ ё д я v m
『呪文』はいっそう高まり、闇の中まるで寄せる大波のようにこの廃墟を揺るがして行く。
「何者だ?」
地を這うような声が闇の中に木霊した。
「あんたが今回の黒幕か?」
ダンテは背中から二丁拳銃を抜き構える。
「人間ごときが、小賢しい!」
禍々しい闇を纏った悪魔が貪り食っていた死骸をダンテに投げつけた。
「おっと!」
ダンテはそれを軽く弾き返す。
「上級悪魔エウリノーム。またの名を死の王。その姿を見た者は、その名の通り死ぬ。そしてあんたが、その死骸を喰らう……」
「ほう。人間のくせに、よくワシの事を知ってるのう?」
「俺の仕事は、お前らを倒す事だからな!!」
ダンテの二丁銃が火を吹く。
それが戦いの合図だった。
戦いは圧倒的にダンテが優勢だった。
ダンテの攻撃は、二丁拳銃から愛剣リベリオンに代わっている。
ダンテの繰り出す多彩な攻撃に、エウリノームはされるがままだった。
グワォォォ…!
やがて咆哮を上げ、エウリノームは床に崩れ落ちた。
「ダンテ!」
意識を取り戻したのかナーナが扉を開けて中に入って来た。
「終わった、の?」
「あぁ……」
ダンテはリベリオンを背中に戻した。
エウリノームは崩れ落ちたままピクリとも動かない。
ダンテはそれを見ながら奇妙な感覚に襲われていた。
本当にこれで終わりなのか、と。
「ねぇ、ダン……」
どこか上の空のダンテにナーナはもう一度声をかけようとしたその時、エウリノームが微かに動いたように見えた。