お願いきいて



動物パジャマを試作品として作ってるんだけど、カラ松くんちょっと協力してくれないかな?
そんなお願いを快く了承してくれたカラ松くんを二階に案内し、以前採寸していた通りに作ったパジャマを渡して数分。


「これでいいか?」


隣室から出てきたオオカミパジャマ姿のカラ松くんが可愛くて叫び出そうになった言葉を飲み込んで、平静を取り繕う。


「サイズはピッタリじゃなくてちょっと大きめにしてるんだけど、着心地はどう?」
「フカフカしてて気持ち良い」
「フード被ってもらっていい?」
「こうか?」
「かっ」


可愛い。めちゃくちゃ可愛い。フードにオオカミの顔をあしらったのは正解だった。カラ松くん、ちょっとオオカミに食べられてるみたいに見えるけど。色味は各動物につき一色のみ。それでも優しい青みのオオカミパジャマは彼にとても似合っている。


「やっぱりオオカミはカラ松くんに似合うなあ」
「フッ……このギルトガイにかかればどんな服も馴染んでしまうものさ」
「気になるところとかある?」
「寝てみない事にはなんとも……」


じゃあ、と隣室に布団を敷いて横になってもらう。一応枕と毛布も用意した。ごろごろと寝返りをうつカラ松くんの隣に座り、様子を観察してみる。


「ちょっとフードがごわつくな」
「取り外せるようにするしかないかな」
「でも暖かくていいぞ」


にんまりと笑うカラ松くんは可愛いけれど、やっぱり取り外せるようにすべきだろう。改善点はそんなところだ。無難にボタンがいいだろうか、と悩んでいるとカラ松くんが毛布を捲った。


「協力したからには見返りはあるのか?」
「お昼ご飯でもどうかなーとは思ってたけど」
「ああ、それも魅力的だが、俺のお願いも聞いてくれ」
「なに?」
「セックスしよう」


思わず聞き返すと、全く同じ言葉を返された。いやいや、そんなキラキラした顔で見つめられても。熱くなってきた顔を冷ますべく扇いでいた手をガッシリと握られた。いやいや。


「しよう」
「え、あのっ、いやほら、どこでそんなスイッチが」
「布団も敷いてるし、俺とお前しかいない。だめか?」
「だ、だめっていうか」
「イヤか?」
「いっ……や、じゃない……けど……」


握られていた手が力強く寄せられ、そのまま布団に引きずりこまれてあっという間にカラ松くんに押し倒されていた。とても満足そうな顔で見下ろしてくる。


「一緒に気持ち良くなろうな」


そんな事を言われながらキスされてしまうと、もう抵抗する気が起きなくなる。何度かは唇を合わせるだけだったのに、すぐに舌が入ってきた。これにはいつもびっくりしてしまう。自分の口内で動き回る異物。カラ松くんの舌。頬や唇に当たる吐息に背筋がぞくっと震えた。上あごをべろりと舐めたカラ松くんの舌が引き抜かれる。つう、と糸を引いた。カラ松くんは先程と同じくにんまりと笑みを浮かべながら私のシャツを噛む。そのまま捲り上げるカラ松くんの目つきに鋭さが宿っていた。違った。さっきと全然違う。露になった下着にも噛み付くとぐいっと押し上げられた。カラ松くんの目の前には私の胸が晒されている。恥ずかしくなって隠そうとした腕を掴まれてしまった。


「いただきます」
「ばっ……、んっ」


ちゅうっと吸い付かれ、文字通り食べられている。オオカミだからとか、そんなの、ちょっとどころかすごく恥ずかしいのだけれど。キスと同じようにべろりと舐め上げられる。音を立てて吸うのはわざとだ。私が恥ずかしがるのに、カラ松くんは満足するのだ。肌に擦れるパジャマの生地が気持ち良い。フカフカしてる。カラ松くん、と呼べば手を離してくれた。フードの中に手を差し込んで彼の首筋を撫でるとほんのり汗ばんでいた。吸湿性も考えるべきだろうか。なんて考えているとまたキスされた。カラ松くんに合わせて必死に舌を動かす。慌ただしい羞恥心を解いてくれるような優しいキスに感じないわけがなく。


「ん、んっ……!んふ、は、っん……っ」


どうしても漏れてしまう私の声と同じく、時折カラ松くんの喉が鳴る。彼の喉元を指でなぞるとまた鳴った。隆起した喉仏が上下に動く。カラ松くんの低い声はここから鳴ってるんだなあ、と酸欠の頭でそんな事をぼんやり思っていると脚の間を何かが掠めた。一気に意識が戻される。


「んあっ……!」
「濡れてる」
「ぁ、あ、ちょっと」


いつの間に脱がせたというのか。ショートパンツとショーツを膝辺りまで下ろされていたのに今気が付いた。受け入れたのは私だし、何の意味もないとわかってはいるけれど脚を閉じようとするとカラ松くんの膝に阻まれた。あの、ショートパンツを踏まれると、脚が全く動かないんだけれど。開くのも閉じるのも立てるのもできなくなった脚の合間、敏感な部分に差し込まれたカラ松くんの手が動いた。浅い部分を少し弄ばれてすぐに奥まで指先が滑り込んできた。長い指が私の中を探りだす。骨張った関節と指の腹で良いところを擦り上げられる。


「ひ、あっ……あっ、ぁ、ん……!」
「もうとろとろしてるな」


かわいい、なんて続けられて弄ばれている部分に力が入る。こういう感じになる度に余裕を増していくカラ松くんに反して私は未だにいっぱいいっぱいだ。恥ずかしいし視界を覆うカラ松くんの姿やお腹に響く低い声がどうしても、好きなのだ。我ながら重症だと自覚している。かわいいと囁かれるだけで泣きたくなるくらい嬉しくなるのだから。
そんな私を知ってか知らずか、カラ松くんは私の耳たぶをかぷりと甘噛みしだした。


「っ、ぁ……あ、や、ひゃ、あっ」
「きっと気持ち良いんだな?いい子だ、花厳」
「あ、んんっ……!あぅ、から、カラ松くん、やあぁ」


カラ松くんに縋った事で察したのか、内壁をまさぐっていた指が前後に動き出した。軽く曲げられた指先が私のたまらなく気持ち良い所を刺激してくる。くちゅくちゅとはしたない音が耳に届いてきた。もうだめ。
ひゃうう、なんて自分のものとは思えない声で鳴いてあっという間に達した私をカラ松くんが抱きしめてくれた。無意識にびくびくとはねる腰を撫でたカラ松くんの熱い息が耳にかかる。


「俺も気持ち良くしてくれ」


目を細めたほんのりと赤い顔でそう言われると肯定しかできない。オオカミパジャマのファスナーを下まで下ろしきったカラ松くんは付属のポケットを探り、目当てのものを取り出した。
カラ松くんめ、最初からこのつもりだったな。
封を噛み切りながら下着から取り出した雄がファスナーの合間から飛び出してきた。ああ、反応してくれて嬉しいのと恥ずかしいのと。反り勃った雄に手際よくゴムを装着したカラ松くんによって、中途半端に下げられていたショートパンツとショーツを取り払われた。膝を割られ、脚の間にカラ松くんが割り込んできた。しっかりした胸板と腹筋が見える。素肌にこのパジャマは暑いかもしれない。それも宛がわれた熱情に遮られた。


「挿れるぞ」


いつも返事を待たないカラ松くんの雄が私の中を分け入ってくる。指とは全く違う質量に力が入ってしまうけれどカラ松くんはもろともしない。やや強引に押し進められていく。やだ、ああ、大きい。初めての時なんてすごく苦しかったけれど今となっては、もう、すごく気持ち良くて。一番奥まで挿入された時には、はあはあと荒い呼吸をする事しかできなくて。ごめんねカラ松くん、力入れちゃって。苦しくないかな、と見上げた先の瞳が獣染みていた。
どうしよう、かっこいい。
既にとろとろになっているらしい私の中でカラ松くんが前後に動き出す。はっきりとわかる雄の形に抑えられない声が漏れていく。


「ふぁっ、あ……!ゃ、ん、あっ、あっ」
「ふ……すごい、気持ち良いな……」
「あん、んっ……っあ、あう」
「俺の、気持ち良いか?」


甘ったるい、猫のような声しか出ないので必死に頷いておくとカラ松くんは満足げに笑みを浮かべて体重をかけて突き上げてきた。背骨に快感が走る。ぞくぞくする。カラ松くんの先端が一番奥に何度も触れる。お腹の一番奥はカラ松くんしか知らない場所。大きいそれが肉を分け入って押し上げて、乱暴だけど的確に、気持ち良い部分を愛撫してくれる。カラ松くんに縋るのが癖になってしまったが、彼はそれも快く受け入れてくれる。


「あっ、ん、んんっ……!」
「かわいい。花厳、好きだ」
「っあ!ぅ、あっ……だ、め、だって、からま、つく、っ」
「だって、ぎゅうって締まるんだ……っはあ、かわいいなあ、マジで、かわいいなあ……」


着飾らない、少し堪えるようなその声にまたお腹が熱くなる。びくっと跳ね出した脚をカラ松くんが抱えてくれた。折り畳まれてまた体重をかけられる。突き上げられてるというより、振り下ろされてる。分泌液が弾む淫らな音に肌がぶつかる音も加わって、いかにも情事真っ最中な音が出来上がった。それよりもずっと先に私は嬌声を抑えられていないけれど。
固くて大きなカラ松くんの雄を反応するままぎゅうぎゅうと締め付ける。強くなった摩擦にカラ松くんがいつもより低い声で唸った。


「ぐっ……、あ、花厳、もういく……っ」
「ふあ、あ、ぁっ……あ、あふ、っ、か、らまつくんっ、カラ松くんっ」
「はあ、よし、一緒にいこう、っ好きだ、好きだ……ッ」
「ぅ、っあ……!――は、ぁあっ、あッ、あんんっ……んっ、んん……!!」
「うッ、おおっ……!はァッ……!」


全身に快感が駆け巡って一際強くカラ松くんを締め付けると、彼もそのまま雄々しい吐息を零して達した。快感の余波で何度もはねる私の体を押さえ付けてカラ松くんはゆるゆると腰を動かす。これが堪らなく好きで、あまりに気持ち良くてまだ達してるかのような感覚を覚え何度も背筋を揺らした。
見上げると、とても心地良さそうにとろりとした顔のカラ松くんと目が合った。


「気持ち良かったか?」
「………すごく」
「俺も最高だった。だから」


もうちょっと最高になろうな。そう言って取り出されたいくつもの避妊具に、漸く明日の自分を心配するのだった。




←前 次→

top