お風呂



「一緒に風呂に入ろう」とにこにこと可愛らしい笑みで言われて、断れない程に花厳はカラ松に甘かった。脱衣所で一人冷静に考えてみても何が何だか理解できないし、全裸だし、と悶々としつつ体を洗って浴槽に沈むとカラ松が入ってきた。脱がせたいし洗いたいと言ったカラ松に少しの抵抗をした結果だ。湯舟にも入浴剤を入れた。何一つ隠していないカラ松から目を背け、白濁した水面に映る自分のシルエットだけを見下ろす。


「ハニー、つめてくれ」


浴槽にぴったりと背中をつけてるけど、と思った花厳の視界にカラ松の下半身が入りそうになってまた顔を伏せた。カラ松の足が背中に触れたものだから、慌てて前進すると湯舟のお湯が零れていく。ふう、と柔らかい声が耳元から聞こえた。


「あっ、あぁ……う、後ろなんだね?」
「当然だ。もっとこっち来ていいぞ」


我が家の浴槽はそんなには広くない。カラ松の足が伸びきらないくらいだ。まごついていると腹をぐっと寄せられ、カラ松の胸にもたれる形になった。密着している肌の、お湯とは違う生暖かさに目眩がする。


「あー、気持ち良いな」
「お腹撫でるの止めてもらっていいかなカラ松くん」
「すべすべだよなあ。みずみずしい」
「感想いらないから!」
「うっ」


軽く肘鉄を食らわせたカラ松の腹筋は固い。ぎゅうっと抱き寄せられるものだから諦めて力を抜く。少しの緊張の中に安心感。


「……お風呂、狭いのに」
「密着できていいぞ」
「何で一緒に入りたくなったの?」
「こうしたかった」


ちゅ、と肩に唇が落とされる。心地好くて目を瞑ると尻に何かが当たった。


「………え?」
「ハッハァー、ちょっと早かったな」
「何が」
「勃つのが」
「あがる!」
「ちょっ、待て待てハニー!最初からそういうつもりじゃなくてだな!こうなるかもとは思ってたがまさかこんな早くとは」
「わあっ、ちょっと離してカラ松くん!あたっ、当たってる!」


お湯の中でつるりと肌を滑った塊にカラ松が僅かに声を漏らす。湯の中で完全に見えないが既に臨戦体勢が整ってしまったらしい。我慢してほしいのは山々だが力強い腕が離してくれない。


「………あの、じゃあ……布団行こう?」
「おっ……おお、こんな俺を許してくれるのかマイエンジェル」
「はいはい」
「でもなぁ、勿体ないと思わないか?………ここでやってみないか」


とろりとした低くて甘ったるい声に立ち上がろうとした花厳をカラ松が押さえ付けた。回された両手が乳房を掬い上げる。本気でここで致すらしいカラ松を押し返すがびくともしない。


「ここでって……!」
「たまには違う場所でしてみよう」
「あっ、ちょっと……っ」
「ノンノン、抵抗しないでくれ。愛してるぜ」


耳元で囁かれた睦言に体の力が抜けていく。乳房を揉みしだきながら「ちゃんと気持ち良くするからな」とカラ松は嬉しそうに喉を鳴らす。カラ松にはとことん甘くなってしまう。惚れたものの弱みだろうか。ほんの少しの浮力を楽しむようにカラ松の指が上下する。尻に当たっている雄は既に固いのに手元にはまだ余裕があるらしい。生々しい感覚に目を瞑ると耳をかぷりと噛まれた。


「ぅ」
「耳赤いな」
「熱い、かも」
「じゃあ早く終わらせないとな」


そういう事じゃなくて。耳たぶを唇と舌で弄ばれて何も言えなくなってしまった花厳の腹を指が滑り降りる。閉じていた脚の合間に差し込まれ反射的に縮こまった体をまた引き寄せられた。


「力抜いて。俺にもたれてくれ。……おお、いいぞ」
「ご機嫌だね、カラ松くん……」
「そりゃあ愛しいハニーと一緒に風呂に入れてイチャイチャした上これからセックスできるしな!」
「さすがに怒るよ」
「はい……」


カラ松の鎖骨に後頭部を打ち付けると背後でたじろぐ。会う度に、家に招く度にこういう事になっている気がする。酷く甘ったるくされるので愛情は感じるものの体が持たない。ゆるゆるとそこを撫でる指先に別の熱を感じて少し悔しくなった。指がぐっと押し込まれて息を詰まらせるとカラ松の舌が首筋を伝った。


「んっぅ」
「濡れてるのか濡れていないのかよくわからないな。痛くないか?」
「痛くはない、けど……カラ松くん、お湯入ってくる……っん」


ぐるりと掻き回され、俯くと更に奥へと指が伸びる。もう既に知られ、暴かれ、教えられた一番良い場所を引っ掛かれた。


「ひっ、あ」
「大丈夫そうだな」
「あぅ……ん、あっぁ」
「よしよし」


親指でぷくりとした蕾を押し潰されながら膣内を解される。カラ松の腿を押せば背後で低い吐息。
ああ、そうだ。カラ松は今、我慢してくれているのだ。尻に当たったままの雄がそう告げている。このままではのぼせてしまいそうだしと、花厳はくるりと振り返りきょとんとした唇にそっとキスした。


「………は」
「我慢、しなくていいよ」
「えっ」
「……もう挿れていいよって」
「もっ………いいのかマイプリンセス……」


頷けば指がゆるりと引き抜かれた。カラ松の手が花厳の腰を返し膝立ちにさせる。露わになった乳房に顔を寄せて息を吐いたカラ松の、細められた目元が欲を帯びている。乳白色の中でカラ松の手が動いた。ちゃんと宛がわれたそれに、促されるままゆっくりと腰を落とした。


「ふっ……!」


奥まで滑り込んでくるカラ松の雄はいつもより熱い。湯舟の温度そのままの熱さにぎゅうっと締め付けてしまうとカラ松が下唇を噛んだ。


「やっぱりもう少し慣らした方が良かったんじゃないか……?すごい、締めてる」
「ご、ごめん……っ」
「痛いか」
「痛くはないよ、その」
「ん?」
「………ごめん、熱くて……カラ松くんでいっぱいで、気持ち良い」


ぴくっとカラ松の眉が動いた。同時にふう、と低い吐息。落ち着くまで待ってもらおうとカラ松の肩に手をかけると強く突き上げられた。湯が撥ねても気にせずに上下に揺すられる。


「あっ!」
「ハニー、ダメだ……それはダメだ」
「え、っ、あ、や」
「俺も気持ち良い、温かくて蕩けていて、吸い付いてる」
「い、言わなくていいっ、ん、あっぁ」
「俺を誘惑して、花厳は悪い子だな?ゴムをつけてないとこんなにやらしい」


久しぶりに何の隔たりもなく擦れ合う感覚にどうしようもなく気持ち良くなっているのはお互い様で。奥を穿たれてカラ松の首に縋ると耳元で獣じみた唸り声。


「うぐ、やば、花厳……出る。出そうだ。出していいか?やらしい花厳の子宮に出していいか?」
「あっ、やぁあっ、カラ松くん、カラ松くんっ」
「薬、飲んでるな?」
「のっ、んでるっ、あっ、あっ、や……――やああっ、ぁんんっ!」
「ッぐぅ……うっ、ぁ!」
「っ―――ぁ、ひっ、ぁあ……!」


最奥に当たって広がった熱がもっと熱くて、達したのにまた軽く達してしまったように体ががくがくと震えた。何度か揺すぶられて吐き出される。いつぶりかの感覚が堪らなく気持ち良くてカラ松の首に噛み付くと両腕に強く掻き抱かれた。


「はっ、はっ……やば……大丈夫か……」
「ふぅ、ふっ……」
「ゴム無しはやっぱり凄いな。すぐ出たぞ……花厳もすぐイったなぁ……中、まだ締めてる」
「言わなくて、いいってばぁ……」
「……中出し、好きだもんな」


耳元で胃を擽る程低く囁かれた言葉にぐうの音も出ない。激しく穿たれて中を甘く犯されて、揺すられながら一番奥に吐精されるのが好きだなんて、そんないやらしい事を肯定したくはないが事実だ。その瞬間が酷く幸福なのだと既にカラ松に見抜かれてしまっている。


「続きは布団でしようか。顔真っ赤だしな……っと」
「あぅ……っ」


砕けそうな腰を支えられながら雄を引き抜かれるとすぐに余韻が零れて乳白色に混じっていく。その様子を見たカラ松の指が深く挿入された。


「ひゃっ、ぁ……っ」
「掻き出しておかないと床汚すからな」
「あっあ、そ、んなにしないで……!」


ぐちゅぐちゅと浴室に響く精液を掻き出す音。どろりとした感覚と共にあっという間に処理されて気が付けばバスタオルで包まれ横抱きにされていた。
髪も体も拭うのをそこそこに、布団に押し倒されて唇を吸われる。舌を取られてぽたぽたと落ちてくる水滴に目を瞑ると再び挿入された。


「ふ、ふっ……!」
「今日はもう、ゴムつけなくていいかいハニー。いっぱいしような。おかしくなりそうなくらいセックスしような」
「何、それ……んっ」
「俺も中出し、大好きだからな。ハニーの子宮を俺の精液で満たしてやる」
「なんか、えっちな、ビデオみたい……っ」
「冗談だと思うか?」


見下ろしてくるカラ松の表情に背筋がひやりとしながら、それすら砕くように律動されて何度も何度もカラ松の熱を受け止めた。




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